ハレピョンブログ~NHK北九州だより~

昨シーズン(2017年)、プロ2年目で11勝を挙げ、
チームの19年ぶりの日本シリーズ進出に大きく貢献した
福岡県北九州市出身で横浜DeNAベイスターズの今永昇太投手。
今年プロ3年目を迎えるこの左腕投手は、今やチームにとって
欠かすことのできない存在です。

今回は、そんな今永投手のプロ初勝利を振り返ってみようと思います。

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2016年5月6日(金)にマツダスタジアムで行われた
広島カープ対DeNAベイスターズ6回戦。
降水確率も夕方まで高く試合開催が心配されましたが、
カープ先発は横山弘樹(よこやま ひろき)投手。
ベイスターズは今永昇太(いまなが しょうた)投手。
両ルーキーの先発で予定通り午後6時に始まりました。

前回の登板まで横山投手はすでに2勝をマークしていました。
一方、今永投手は5試合に登板して0勝4敗。
しかし、勝利がないながらも今永投手の防御率は2.45と、
堂々のセントラルリーグ5位。
味方打線の援護がなく、未勝利ながら見事な数字を残してきました。

防御率とは、投手が1試合平均で何点の自責点(ヒットやフォアボールなど
自分の責任で相手に取られた点)があるかを示したものです。
野球は通常9回まで戦いますので、防御率は自責点の合計に「9」をかけて
投球回数で割って計算します。
つまり、この時点で今永投手は、1試合9回まで投げたとして
平均で相手チームに取られた得点が2.45点というわけです。
野球では「6回以上投げて自責点3以内」で抑えれば「クオリティ・スタート」と呼ばれ、
大リーグでは先発投手の安定感を示す数字として一般的に使われています。

今永投手の、この日の登板までの成績を詳しく観てみますと、5試合に先発。
6回以上投げた試合が4試合。6回までに自責点「4」以上の試合は1試合もありません。
したがってクオリティ・スタートは4試合ということになります。
具体的には33回を投げて被安打23、被本塁打4、奪三振43、
4つのフォアボール、デッドボールは0。自責点9、そして防御率が2.45でした。

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今永投手は冒頭でも触れましたが、福岡県北九州市の出身です。
177cm80kg。福岡県立北筑(ほくちく)高校から駒澤大学を経て、
ドラフト1位でDeNAベイスターズに入団した左投げの投手です。
真上から投げ下ろすというよりは幾分斜めから投げる、
いわゆるスリークォーターで投球するピッチャーです。
140km台の速球にスライダー、カーブ、チェンジアップを
織り交ぜての投球が持ち味です。
驚くほど速い球は持っていませんが、その球は力強く、キレがあるため
相手打者はなかなかバットの芯でボールをとらえることが出来ず
三振を多く奪えるピッチャーです。
上記に示したとおり投球回数以上に三振を多く奪っていることからも、
それがお分かりいただけると思います。

今永投手は、高校時代までは、これといって全国的に注目を集めるような
成績は残していませんが、大学では1年生の春から登板して、
3年生の秋にはリーグ戦7勝を挙げ、MVP(Most Valuable Player=最優秀選手)、
最優秀投手などのタイトルを獲得。チームを優勝に導いた立役者の1人となりました。

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さて、この日の試合、今永投手は、マツダスタジアムのマウンドの傾斜に
やや苦しんだ印象でのスタートとなりました。
元々フォアボールが少ない投手ですが、広島カープの1番打者、
田中広輔(たなか こうすけ)選手にいきなりフォアボールを与えます。
しかし、2番菊池涼介(きくち りょうすけ)選手と
3番の丸佳浩(まる よしひろ)選手からは三振を奪い2アウト。
ただ、4番の新井貴浩(あらい たかひろ)選手にフォアボール。
2アウト1・2塁のピンチとなります。
本人も試合後に「調子は良くなかった」と話していましたが、
そこは自分が出来る最善のことを常に考える「男」です。
今シーズン、両足の裏に痛みを抱えているものの、
ここまで絶好調で強打者のエルドレッド選手を三振にきってとり、
カーブ打線を無得点に抑えます。

2回以降も、キレのある速球を有効に使い7回を7安打されたものの
連打は許しませんでした。
また奪った三振は9つ。与えたフォアボール3、失点、自責点ともに「0」でした。
マウンド上での仕草から集中力の高さがうかがえました。
キャッチャーのサインを覗き込む前に利き腕の左腕を後ろから前に1回転。
そして自分の足下から視線をキャッチャー方向へと向けます。
この時の目つきの鋭さは、幾度も幾度もプロの世界でピンチを脱してきた
ベテラン選手のように感じます。

プロ野球解説者の大野豊さんに今永投手についてうかがったところ、
「表示される球速以上に打者の手元でキレがあるんだろうね。
とらえたと思った球がとらえられない。バッターボックスでないと
分からない部分があるんだろうね。」と話していました。
加えて、投手の善し悪しの判断材料となるランナーを出してからの
粘りのピッチングも見事なものでした。
試合は6対0でベイスターズの勝利。今永投手は見事、プロ初勝利!
そしてベイスターズは、今シーズン初の3連勝となりました。

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そして試合後の、インタビューで、また今永投手の魅力が光りました。
「単純に(初勝利)が遅すぎたかなと思うんですけど、
こんなに勝つことが大変なんだなと思って、今、ちょっとほっとしています。
負けが付くっていうのは、ここまでの4敗というのは、
やっぱり自分の力が及ばなかったので、今日は広島に勝ったっていうよりは、
過去の自分に勝ったので、何とか初勝利をつかめたのかなと思います。
今日は調子が悪いっていうことを割り切って(考えて)・・・、
じゃあ、その中でどうしようと思った時に、真っ直ぐ(ストレート)は意外と走っていたので、
バッターの反応を見ながら何とか(相手バッターのタイミングを)外しながら
投げられたと思います。強い気持ちを前面出して投げました。」と話してくれました。
「過去の自分に勝った!」、印象に残る言葉となりました。

今永投手のコメント。いつも感じることですが、
とてもルーキーとは思えないほど冷静に自己分析されたもので、
何年もプロの世界で生きてきた選手のように感じます。
良い数字が残せていなくても他人に責任を押しつけるのではなく、
決して奢らず、決して腐らず、常に自分に足りないものを見つけ出し、
それを補うために何が必要かを追求しています。
その姿勢に後ろ向きの部分はありません。
自分に必要なものを探し続けているのですから、
見つけられた時には満足感も喜びもあるでしょう。
そして同時に、その分だけ過去の自分より強くなっているのですから、
やはり「前向きな姿勢」は大切なのだなと、改めて感じさせられます。

今シーズン、今永投手が目指すのは、もちろん「チームが日本一になること」、
そして個人の目標については、「やっぱり15勝以上はしたいですね。
どのチームを見ても11勝くらいで止まっているエースピッチャーっていないと思うので、
その壁を一壁も二壁も越えていかないと、その信頼は勝ち取れないと思うので、
そういった意味の15勝ですね。」と話してくれました。
そのために、今永投手は新たな変化球を習得しようと奮闘しています。
今永投手の投球そのものはもちろん、試合後の「コメント」などにも注目してみて下さい。
今永投手のハートの熱さと、冷静な分析力、そして野球の楽しさが広がると思いますよ!

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☆今永昇太投手個人成績
2016年:22試合  8勝9敗 防御率2.93
2017年:24試合11勝7敗 防御率2.98

 

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<今日のひと言>
人生の「価値」ある「勝ち」をつかむため、「完敗」した時こそ「乾杯」を!!

(敗戦から学ぶべきことは沢山あります。くよくよするだけなのか、その完敗を糧にするのかは自分次第です。ただ、そこで学ぶこと、前を向くことが出来れば、喜びの「乾杯」が待っているはずです。)