ハレピョンブログ~NHK北九州だより~

こんにちは!アナウンサーの吉松欣史です。

前回は2020年東京オリンピック・サッカー男子日本代表監督に就任した
森保一(もりやす はじめ)監督(49才)が大事にしている
「選手とのコミュニケーション」についてお届けしました。
その時の状況と選手個々の性格(特徴)を見極め、それぞれに合わせた「接し方」を
大事にしていることがお分かりいただけたと思います。
今回は、森保監督のその指導論とその考え方が生まれた背景についてお伝えしようと思います。

現在の森保監督の指導方針の原点は、高校を卒業し、広島に足を踏み入れた時点にありそうです。

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その2:<指導論・全力>

森保)僕が広島に長崎から出てきた時に、その年の新人は、(採用枠の関係もあり)6人中5人が
    マツダの本社採用で、僕一人だけ、今のマツダロジスティクス株式会社ですか、
    その当時のマツダ運輸さんにお世話になって、マツダサッカー部で
    サッカーを続けることができたんですけど・・・
    劣等感はありましたし、逆にそこでハングリー精神が培われたっていうところもありましたし、
    そういう、グループからちょっと外れた選手の気持ちは
    自分の経験から多少なりとも分かるのかなっていうような気がしますね。

    あと、僕は高校卒業して、マツダに入って、2年半は全く試合に絡めず、
    というより試合に出たことも無かったですし、特に最初の1年目、2年目もそうですね、
    結構、今、次の試合を想定してやっている紅白戦、そのメンバーにも入れず、
    (残りの)4~5人で練習やるっていう方に回ることが多くて、
    そういうところでやっている選手の気持ちも何となく分かるっていうところから・・・、
    自分の体験を通しての選手への接し方っていうのは、今の自分にあるのかもしれないですね。

    でも、本当、この紅白戦入れないとか、レギュラー組と一緒に、
    同じグループで練習できなくても、サッカーやっていることはすごい楽しかったんですよね。
    自分自身の中で悔しい部分はありましたけど、サッカーやれる幸せを感じながらやっていたので、
    そういう部分で特に試合に出られない選手に対して、まあ全体的にそうですけど、
    まずサッカーやれる喜びをみんなに感じてほしいなっていうふうには思って接していると思います。
    吉松さんいいことを聞いてくれましたね。そういうのはありますね。

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吉松)<笑>
    サッカーできる喜び。だからレギュラーじゃなくてもレギュラーであっても、
    現役時代の森保一って人は常に全力って感じがするんですよね。その辺りは?

森保)自分のプレースタイル考えても、上手い選手ではなかったので、じゃあ何が出来るとかそういうのを考えた時に、
    全力でとにかく自分の力を毎試合出し切って行こうと思って(サッカーを)やっていましたけどね。

 

吉松)ハンス・オフト(後の元日本代表監督)の影響などはどうだったのでしょうか?
    当時のマツダの監督さんですよね。

森保)オフトさんの影響というかオフトさんの教えは僕にとって、本当に大きなものがあって、
    オフトさんから指導を受けていなかったら・・・、恐らく、サッカー選手として日本代表になったりとか、
    クラブでレギュラーになったりとかっていうことは出来なかったと思います。
    何故かというと、自分の良さというか特徴をオフトさんから評価されて、お前の・・・、どういうんですかね、
    良さっていうか持ち味っていうか、そういう部分でこういうプレーしたら良いんじゃないかっていうことを、
    教えてもらえたことが後々にすごく大きかったと思います。
    そういう意味では自分の良さを引き出すプレーっていうものを指導してもらえてよかったなと思います。

 

吉松)今の指導論にも生きている部分ありますか?

森保)はい。もちろんそれはあります。
    サッカーは、フィールドには11人の選手が立って試合するわけですけど、
    その中で、それぞれのポジションで、役割っていうものがあって、
    その役割を担っていくために、みんなが同じ特徴を持った選手ではチームが成り立たないと思いますし、
    いろんな特徴がある選手が、ピッチに立って、11人、色んな特徴がある選手が一つのチームとして、
    一人一人が一つの歯車として、チームを動かすっていうやり方を自分も念頭に置いて、
    (サッカー指導を)考えられるのは、オフトさんの教えが大きいとは思います。
    まあオフトさんもチーム作りをする上で、各ポジションにはっきりと役割を伝えて、
    そうやってチーム作りをしてきたので、そこは今の自分に非常に生きているなとは思います。

 

吉松)だからこそレギュラーであってもそうでなくても、こういう事をすれば彼らは全力でやってくれるんじゃないかって、
    気づかされた部分があったでしょうね?

森保)そうですね、はい。
    そこはとにかくその選手の特徴を、生かせるように、あるいはウィークポイントをできるだけ改善できるように、
    そこは正しい評価を、選手個々によって自分がしていかなければいけないと思っています。

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吉松)監督はゲームの前に必ず90分間全力で戦おうと言いますよね。
    その背景にはどんな考えがあるのですか?

森保)公式戦の場合、お金を払って見に来て下さるサポーターがいる、
    その中で我々はあの・・・、仕事として大好きなサッカーを出来るわけですけど、
    まずは応援して下さるサポーターのみなさんに勝利をお届けする!
    これが一番の恩返しというか、やらなければいけないことだと思いますけど、
    結果はやはり約束出来ないですし、ただ我々がそうやって応援して下さるサポーターに出来ることは、
    まず90分、自分たちの持っている力を出し切ることをお見せすることかなと。
    結果は自分たちでコントロール出来ないけど、自分たちの力を出し切ることは、
    自分自身で、チームで出来るんじゃないのかっていうことです。
    プロとしてサポーターのみなさんに出来る、絶対出来るっていうことは、全力を出し切ることかなって思って・・・、
    そういう想いを持って選手には「全力で」と伝えています。
    選手の時から、とにかく今自分にできることを精一杯やろうっていうことを思っていましたので、
    その考えは今も変わらないですね。
      
    サンフレッチェの試合を見に来てもらって、勝てれば本当に喜んでもらって、
    スタジアムを後にしていただけると思います。でも負けることも勿論あります。
    そういう時、サンフレッチェは負けたけど・・・、負け試合ですごく悔しいし・・。
    選手に対しても色々な思いがサポーターの皆さんにも出てくると思いますけど、
    でも試合を見に行って、負けたけど、とりあえずサンフレッチェの選手は
    最後まで頑張っていたよなとか、諦めずに戦ってくれたよなっていうふうに見てもらえるように、
    そこは感じてもらえるように選手にはプレーしてほしいなって思っています。

 

吉松)ちょっといじわるな言い方ですが、
    プロとしたら全力でやることは当たり前じゃないかなっていう見方もあると思うんですよ。
    でも、森保監督は、あえて全力でっていう言葉を使うんですよね?

森保)本当に「全力」とか「やり続ける」とかっていうのは言葉でいうのは簡単ですけど、
    多分スポーツだけではなくて、日常生活でも本当に自分が魂こめて最後までやり続けることが出来ているか、
    全力を出し切ってやっているか、集中してやっているか、っていった場合には、
    いろんな場面で100パーセント、自分の持っているものをぶつけてないことは沢山あると思いますし・・・。
    だからこそあえて、選手には毎回そういう全力でプレーすることを伝えるようにしています。
      
    試合の流れの中で、勝っている時は勿論気持ちよくプレー出来ますけど、
    負けていたりする時は、やっぱこう・・・、何ていうんですかね・・・、
    上手く力が発揮出来なかったりとか、チームとして上手くいってない中でプレーしなければいけないところで、
    集中が切れがちになったりとか、投げやりになって、これぐらいやっとけばいいだろっていうふうに
    状況によってはなりがちなので、それは勝っても負けてもやり続けるというか、
    全ての力を出し切るというところを、しっかりやっていこうということは選手には言うようにしています。

    当たり前のことですけど、当たり前のことをやり続ける。
    それは実は一番難しいことで、でもそこをベースにしてやって行こうよ!
    という話を選手にはいつもしています。

 

吉松)当たり前のことを当たり前にやって全力を常に出し切るために実践していることはありますか?

森保)メリハリつけて物事を行うということですかね。
    休む時は休んで、やる時は集中してやるっていう、いつも全力って言いますけど、
    全てどんな局面でも全力でやっていたら、それはどこかでエネルギーが切れてしまいますし・・・、
    なのでやる時はやる。休む時は休むっていうふうにメリハリをつけて行動するようにはしています。

 

そんな森保監督を選手はどう見ているのでしょうか?
2015年10月17日の川崎フロンターレ戦で、途中出場で試合終了間際に決勝ゴールを上げた
山岸智(やまぎし さとる)さんにきいてみると・・・。

山岸)熱いっす。熱い監督だと思いますけど。
    本当に自分の考えているスタイルっていうのを曲げないって言うか、すごく熱い監督だなと思います。
    監督は一人一人シビアに見ていると思いますし、僕もかつて病気で離脱した時に、
    長い期間離脱しなきゃいけなくて、その時、
    「ヤマ(山岸選手の愛称)の力は絶対必要だから待っているぞ」という言葉を言われましたね。
    その時は、ああ救われたなって感じで・・・、
    ケガや病気でチームを離れても自分は必要とされてるって気持ちになって、
    今出来ることをちゃんとやろうと・・・。
    その辺を自分もかみしめながらその時はやっていました。

 

※よく言われることですが、辛いことや乗り越えなければならない時、
  それをやらされていると思うか、チャンスと思うかは自分次第です。
  自らの経験をまさに全力で後輩の選手たちに教えるその姿をみて、
  毎年のようにチームの選手は入れ替わりますが、常に選手が同じ方向を見ていられる、
  チーム戦力を維持出来ているのは、「常に前向きに全力で」!
  森保監督のその考え方が原点になっている気がしました。

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<今日のひと言>
衝撃を受けたこと・・・、最期は笑劇に!

(ショックの無い人生なんてありません。
そこから自分自身で出来ることをしっかりやって
「あー、かつてこんな事があってむちゃくちゃ焦ったわー、こんな困った事があって冷や汗をかいたなー」
と笑い話に出来るくらい強くなりたいですし、そんな心に余裕がある人生を送りたいものですね。)