ハレピョンブログ~NHK北九州だより~

こんにちは!アナウンサーの吉松欣史です。

先日、2020年(平成32年)東京オリンピックのサッカー男子日本代表監督に、
サッカーJ1・サンフレッチェ広島前監督、森保一(もりやす はじめ・49才)氏が就任することが
日本サッカー協会の理事会で決まりました。
森保監督との親交は、かれこれ20年近くになります。
普段は「温厚」で「柔和」な表情の持ち主ですが、ひとたびピッチに立つと、その表情は一変。
「鋭い眼光」で「闘争心」を全面に出します。
そんな森保監督と、私が広島放送局に勤務していた時、
すなわち森保監督がJ1、サンフレッチェ広島で監督を務めていた時代に、じっくりと話をする機会がありました。
その時の話をこのブログでお届けしたいと思います。

2015年(平成27年)、2年ぶり3回目の優勝を果たしたサンフレッチェ広島。
チームを3度のJリーグチャンピオンに導いたのは森保監督でした。

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森保監督は2012年(平成24年)にサンフレッチェ広島の監督就任。いきなりリーグ制覇。
2013年(平成25年)にリーグ連覇達成。
2014年(平成26年)シーズンはリーグ8位と後退したものの、Jリーグ杯は準優勝しています。
日本人監督でJリーグ連覇は元日本代表監督の岡田武史(おかだ たけし)さんが
横浜F・マリノス監督時代の2003年(平成15年)、2004年(平成16年)に達成して以来2人目。
リーグ優勝3度は、鹿島アントラーズを率いたオズワルド・オリベイラ元監督とならび、日本人では最多です。

森保監督は、静岡県出身。
長崎日大高校を卒業後、1987年(昭和62年)に18才でサンフレッチェ広島の前身、マツダSCに入団
(当初、マツダ本社は高卒採用枠に制限があり、森保監督は本社ではなく子会社に勤務)しました。

現役時代からとにかく動き回る、いわゆる「汗かき役」。
森保監督のマツダSC入団に大きく関わり、後にサンフレッチェ総監督も務めた
今西和男(いまにし かずお)氏は、監督・森保一をこう語ります。
「森保の指導力は、現役時代が大きく影響しているのではないかなと思います。
決して頭抜けてサッカーが上手いわけではなかったけどとにかく最後までよく走りました。
そして粘り強く戦う姿勢を崩しませんでした。
気の利いたポジションを取ったり、他の選手に指示を送ったり、首をよく左右に振って
周りの状況を見たり・・・、チームのために最後の最後まで頑張るタイプでした。」と。

「ポイチ」の愛称で親しまれている森保監督。
現役時代は、広島―京都―広島―仙台でプレーしましたが、
「常に全力で取り組む姿勢」はどのチームのサポーターにも愛され続けてきました。

そんな森保監督を、
その1:<コミュニケーション>
その2:<指導論・全力>
その3:<ぶれない姿勢>
その4:<感謝>

以上の4点に絞り、その横顔に迫りたいと思います。

その1:<コミュニケーション>

森保監督は、とにかく至るところで選手によく声を掛けます。
普段の練習でも長い時はピッチの脇で1時間ほど立ち話をすることも度々です。
まずその考え方を聞いてみました。

吉松)試合の中では、というより練習ではって言った方が良いでしょうか、
    レギュラーはいいとして、なかなか出場機会に恵まれない選手ほど、
    練習終わり等によく掛けているなっていう印象ですが?

森保)そうですかね。どうなんだろうな。
    そこは自分の中では意識している部分ではないんですけど、
    でもチーム全体を見ているなかで、今話した方がいいだろうなとか、
    今この選手と話したいなっていうふうに自分が思った時は、
    そこは自然とコミュニケーションは取るようにしています。

 

吉松)自分が言いたいことを言うというより、選手に言いたいことを言わせるということですか?

森保)両方あると思います。
    僕が聞き手になるときもありますし、僕がその選手に対して思っていることを、
    それがオンザピッチ(試合や練習中のこと)なのかオフザピッチ(プライベート時間のこと)なのか
    というのも含めて、両方のやり方があると思います。

 

吉松)つまり監督自身も納得したいし、選手にも納得してもらいたい。

森保)ただ、試合に出られない選手というのは、絶対満足はできないと思いますし、
    僕も全員の選手を使ってあげることはなかなか難しいことで、その中で、こう、
    納得はしてもらえないとは思っていても、自分のできる限りのことはその選手に対してやっていく、
    それは自分が選手を預かっている以上、義務があると思ってやっているだけですね。
    でも試合に出られない選手は多分納得はしてくれないだろうなってこともありますよ。

 

森保)ただ、大切なのは、試合で勝たなければいけないっていうことはありますけど、
    指導していく上で、僕が忘れてはいけないと思っていることは、まずは、チーム、
    預かっている選手の個を伸ばすということはわすれてはいけないと思っていますし、
    そういった部分で、試合に出られている、出られていないというのは別として、
    一人の選手が少しでも成長できるように、一緒にやっていく一年の中で、
    例え試合に出られなくても、ちょっと成長できたなって思ってもらえるような、
    そういう接し方はしたいなって思っていますし、選手を見ていきたいなって思っています。

    もちろんその接し方の中で、どう試合に出てない選手を扱っていくかっていう部分では、
    選手は駒ではないですし、心も持っていますし、そこの部分では、
    厳しいことを言ったりとかやらせたりしないといけない部分もありますし、
    あるいはサポートするというか、やさしく接した方がいいのかっていう、状況は見極めて、
    やっていかなければいけないなというふうには思っていますけど。

 

吉松)でも厳しい現実は選手には言っていかなければいけないので、
    これも伝える辛さっていうのもあるでしょうね?

森保)そうですね。厳しいことを選手には言っていかなければいけないっていう部分では、
    自分にとっての辛さもありますけど、選手を評価してあげる
    正しい評価をしてあげるっていうことは自分がやらなければいけない仕事だと思いますので、
    ただほめる時にだけ近寄っていく、選手に近寄っていくのではなくて、
    選手に厳しいこと言わなければいけない時も、そこから逃げないように、
    うやむやにしないようには、自分自身心がけています。

 

吉松)これは少ないかもしれないですけど、声をかけてあげることで、
    自分から這い上がってなんとしてもレギュラー取ってやろうっていうことだけじゃなくて、
    ちょっとした甘えが生まれる恐れはないでしょうか?

森保)そこも考え方によってはひょっとしてあると思います。
    リバウンドメンタリティというか、そういう部分を引き出すために、
    選手がへこんでいるときに手をさしのべるのではなくて、その選手を見守っててあげて、
    その選手が自ら這い上がってくるのを待たなければいけないというのもあると思いますし、
    コミュニケーションをとったりとかして、その選手を引き上げてあげるとか、
    背中を押して上げるとか、そういうことも必要だと思いますし、両方ともあると思いますね。

    でも、どちらかというと、どうなんだろうな、そこは、厳しく這い上がることを中心に、
    それを基本的に考えている人からしたら、僕はちょっと甘いかもしれないですね。

 

吉松)そういう声の掛け方、接し方は自らの体験によるものですか?

森保)どうなんですかね。でも僕は自分の体験からいうと、自分がいつもあっけらかんと、
    ダメな時も、そこから這い上がろうと割と自分で思えましたし、ダメな状況の時に、
    下を向くよりも次どうやってやろうとか、あるいは実はダメな状況をあまり分かっていなくて
    脳天気にやるという方が自分の中では多かったので、自分の体験からすると
    選手に対して手を差し伸べるっていう方ではないのかなと思いますけど。

    自分の体験の中で、普段はしゃべらない、ほとんどこう、会話することのないっていうか、
    監督と一言二言話すだけでコミュニケーションが取れた気もしていましたし、
    自分が選手だった時に、そこは自分の体験からすると、ちょっとでも会話交わしたりするだけでも、
    選手って肩の力抜けて自然体になれるのかなっていうようには思ったりしますね。

 

吉松)やっぱり選手個々の能力をいかに伸ばすかということが、選手に対する声かけの原点なんですかね?

森保)そう思っています。もちろんチームのコンセプトは大切ですし、
    それに向かって、選手、チームはやっていかなければいけないですけど、
    選手一人一人の個を伸ばすっていう部分を、忘れてはいけないと思いますね。

 

吉松)チームのコンセプトも大事だけど個人の能力も欠かせない?

森保)そうですね。バランス取ってやっていかなければならないと思いますね。
    いくらチームのコンセプトを掲げても、それに見合う個の質がなければ、
    絵に描いた餅にチームのコンセプトはなってしまうと思いますし、
    より個のレベルが上がればチーム力は上がると思いますので、
    そこでは個のレベルアップは絶対的に必要だと思います。

    ただ考え方の基本は、一試合一試合、全部勝ちたいと思いますし、
    チャンピオンになりたいと思っていつもやっていますけど・・・
    でも結果は別だっていうこと、自分の思い通りのコントロールできないこというのはあって・・・、
    でも選手を伸ばすこと、一人一人を見てあげて伸ばすことは、
    そこはいつでも出来る、いつでもというかいつもやらなければいけない!
    そこは自分自身がコントロールできる部分だと思っていますので、
    自分ができることをしっかりとやるというベースが・・・、選手をこう見てあげて、
    こう伸ばすっていう風な考え方につながっていると思います。

 

※人間には、コミュニケーションというツールがあります。
  しかし、伝え手には「伝え手」の「意図」や「接し方」などがあり、
  受け手にも言われる側の「気持ち」や「感情」などがあります。
  特に言わなければならないこと、褒める以外のことを伝えるタイミングや伝え方を考えさせられました。

※次回は、森保監督がコミュニケーションを大切にする、その考え方が生まれた背景などに迫ります。

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<今日のひと言>
味方の見方は大切に!

(親身に想ってくれる人の判断や意見を大切にし、また自分の考え方をぶつけながらも指示を仰ぐことも大切です!)