キッズワールド

幼稚園・保育所向け番組のひろば

お話でてこい

くわしい内容 - 年少児向け -

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おむすびころりん
日本昔話
放送日:4月2日・4月9日
「ねずみ浄土」と呼ばれる日本の昔話で、おむすびのほかに、餅や団子を転がす話になっている地方もあります。いずれにしても、正直なおじいさんがねずみの国へいって、宝物をもらってくるのに、欲ばりじいさんはねずみの宝物をひとり占めしようとして、穴に閉じこめられてしまうというものです。
それは、単に欲ばりをいましめるためのお話ではなく、人間らしいやさしさを持つゆえに、幸福をさずかるという思いのあることを忘れるわけにはいきません。
古い信仰では地の底に楽園があると信じられ、土の穴を出入りするネズミは、人間の世界とその楽園を行き来できる神の使いと思われていました。
ですから、姿をみせてもすぐに隠れてしまうネズミに、だれもが幸運を授かりたいと祈ったのでしょう。そうした昔の人たちの心情が、ネズミにまつわる数々の昔話を生み出したのだと思われます。そして、現実から非現実への通り道一つにしても、理屈抜きに楽しく描き出す昔の人たちの豊かな想像力を思わずにはいられません。
いなばのしろうさぎ
日本昔話
放送日:4月16日・4月23日
むかし、ある小さな島に、一匹の白ウサギが住んでいました。
ウサギは海の向こうに見える因幡(いなば)という国へ渡りたくてたまりません。そこは前にウサギが住んでいた懐かしいところだったのです。
「ああ、なんとかして向こうに渡りたいもんだ。でも、泳げないし、舟もない」
ウサギは毎日海辺に立ちながら、そのことばかり考えていました。
ところがある日のこと、海辺に行くと一匹のワニザメが泳いでいるのを見つけました。ウサギはとたんにこのワニザメをだまして海を渡ろうと思いつきます。
ワニザメをうまくだましたウサギは、ワニザメの仲間の数を数えるふりをしながら、もう一息で向こう岸に着くというところで……。
オオクニヌシノミコトのおかげで、ウサギがやっと命拾いをするという有名な昔話。
ねこが顔をあらうわけ
リトアニア昔話
放送日:4月30日・5月7日
ネコはごちそうを食べたあと、なぜ顔を洗うのでしょう。それには、こんなわけがあるのです。
ある日、ネコが1羽のスズメを捕まえて食べようとしました。するとスズメは「待ってください!ネコさん、あなたはわたしを食べるつもりですか!」と叫びました。ネコが「あたりまえさ」というと、スズメは、こう言いました。
「ネコさん、あなた、恥ずかしくないのですか。どうして、ごはんを食べる前に、顔と手を洗わないんです?あなたの主人は、いつも、そうしているじゃありませんか」。
ネコは、なるほどと思いました。そこで、顔を洗おうと、スズメをおさえていた手をはなしました。そのとたん、スズメは、さっと空に舞いあがって逃げていってしまいました。それからというもの、ネコは、ごはんを食べてしまってから顔を洗うようになったのですって。

(実業之日本社)

かにかにこそこそ
日本昔話
放送日:5月14日・5月21日
昔々、あるところに心のやさしいじいさまがいました。じいさまは、川で捕まえたカニを家に持って帰ると、食いしん坊のばあさまに食べられないように、井戸の中に隠して飼っていました。そして、カニに「かにかに、こそこそ、じさ、きたど」といったら、井戸からあがってくるように教えました。
ところが、これを知ったばあさまは、じいさまが山仕事にいった留守に、じいさまになりすまして、「かにかに、こそこそ、じさ、きたど」といってカニを井戸から呼び出して捕まえ、大なべで煮て食べてしまったのです。
じいさまが山から帰ってくると、一羽のカラスが飛んできて、大きな声で鳴きました。
「カニの身は ばさの腹んなか こうらは流しの縁の下 ガア フン」
さあ、じいさまはびっくり仰天。いわれたとおり縁の下を見ると、カニのこうらや足がざくざくと出てきました……。
三枚の鳥の羽根
グリム
放送日:5月28日・6月4日
昔々あるところに、王様がおりました。王様には三人の王子がおりました。上の二人の兄さんは賢いのですが、いちばん下の弟ときたらどうものろまで、いつもばかにされていました。
さて、あるとき王様は自分の跡取りを決めようと思いました。でも、三人の兄弟のうち、だれに継がせたらいいのでしょうか。そこで王様は三人に鳥の羽を一枚ずつ渡して、その羽が飛んでいった方向に旅に出るように言いました。
「旅に出なさい。そして、いちばん上等のじゅうたんを持って帰ってきたものが、わしのあとをつぐのだ」。
いちばん上の兄さんの羽は東へ、二番目は西へ飛びました。でも弟の羽は飛んでいかずに地面に落ちてしまいました。さて、どうなるのでしょう。
にじのみずうみ
イタリア民話
放送日:6月11日・6月18日
あるところに、深い森にかこまれた湖がありました。この湖には、美しい水の精が住んでいて、毎日、泳いだり、小鳥たちと歌ったりするのを楽しみにしていました。
ある日のこと、悪い魔法使いがやってきて、水の精をつかまえて、お嫁さんにしようとしましたが、水の精は湖の底にかくれて出てきません。そこで、魔法使いは、雷を落として怖がらせて、湖の上に出させようとしたり、カワウソに化けて水の中で追いかけたりしますが、どうしてもつかまえられません。
魔法使いは、それならと、湖の上に宝石の虹をかけました。水の精はその美しさにみとれて、とうとう湖の底から出てきました。ところが、あわてた魔法使いは、自分が宝石売りに化けるのを忘れて近づいたので、水の精はまた、湖の底に逃げてしまいました。
怒った魔法使いは、宝石の虹をずたずたにひきさいて、湖に投げ込みました。その日から、この湖は七色に輝く美しい湖になったそうです。
たなばた
中国昔話
放送日:6月25日・7月2日
七月七日は「たなばた」。ささ竹に美しい色紙や千代紙の飾りをつるします。でも、どうしてこんな行事が行われるようになったのでしょう。
昔々、天の国に「織り姫」という美しいお姫様が住んでいました。織り姫は、一日中、機に向かって「とんとんぱたり、とんぱたり」と布を織っていました。
ところが、ふとしたことから、牛飼いの「けん牛」という若者と仲よくなって、機を織るのを怠けるようになり、けん牛も牛の世話をしなくなりました。
かんかんに怒った織り姫のお父さんは、二人の間に大きな川を造って、もう二度と会えないようにしてしまいました。この川が夏の夜空に美しく輝く天の川です。織り姫とけん牛は泣く泣くまた元のように仕事に精を出すようになりましたが……。
星にちなんだ美しい中国の伝説です。
うかれバイオリン
イギリス昔話
放送日:7月9日・7月16日
ひとりの気のいい若者が、あるお百姓のところで3年間も働きました。ところがお百姓がくれたのは、たったの30円。それでも若者は大喜びで旅に出ます。しばらくいくと、貧しい小人に出会ったので、若者はお金を全部あげてしまいました。小人はお礼に、不思議なバイオリンをくれました。
若者はまた旅を続けますが、途中、欲ばりのきこりに頼まれて、大きな木を切り倒してやります。ところが、きこりは約束のお金をくれません。そこで若者はバイオリンを弾き始めました。ずるいきこりはぴょんぴょん踊りだして、とまらなくなってしまいます……。
魔女ウィッペティー
イギリス昔話
放送日:7月23日・7月30日
若いお母さんが、独りぼっちで、男の赤ちゃんを育てていました。貧乏で、暮らしを立てるのはたいへんでしたが、お母さんはせっせとよく働き、子どもをたいそうかわいがっていました。
ある日、お母さんは、お金がなくなったので、ブタを売ろうとブタ小屋へ行くと、ブタが死にかかっていました。お母さんが泣き悲しんでいると、一人の風変わりなおばあさんがやって来て、何かの呪文を唱え、瓶の水を振りかけて、ブタを生き返らせてくれました。ところがおばあさんは、そのお礼に、赤ちゃんをくれ、と言うのです。そして、三日のうちにおばあさんの名前をあてなければ子どもを連れて行く、と脅かして、姿を消してしまいました。
困ったお母さんは、何とかしておばあさんの名前を知りたいと、当てもなく森をさまよううちに、どこからともなく、歌声が聞こえてきました……。
びんの中の怪物
グリム
放送日:8月6日・8月13日
むかし、あるところに〝のろまのハンス〟という男がいました。あるとき、ハンスは海辺でびんをひろいました。せんを開けてみるとその中から、おそろしい怪物が出てきました。でもハンスは、ちっともこわがりません。そこで怪物は、ハンスをおどかそうと思って、いろいろなことを言いますが、さっぱり効き目がありません。それどころか、ハンスは相手が怪物だということさえ、信じようとしないのです。
すっかり腹をたてた怪物は、いろいろな魔法を使って、自分が怪物だということを信じさせようとするのですが、ハンスはなかなか信じようとしません。そして、にやにや笑いながら「お前がもう一度、びんの中に入ってみせたら、怪物だと信じてもいい」といいます。
宇治の橋姫
日本昔話
放送日:8月20日・8月27日
昔々、あるところに宇治の橋姫という美しいお姫様が住んでいました。橋姫は、中将という身分の高い人のお嫁さんになり、かわいい子どもにも恵まれて幸せに暮らしていましたが、ある時、重い病気にかかって床に伏せってしまいました。
そんな時、中将は夢で「七色のワカメは橋姫の病気によく効く」と告げられます。そこで七色のワカメを探しに遠い海へ出かけていきましたが、中将はなぜかそのまま帰ってきませんでした。
やがて橋姫の病気はしぜんと治り、子どもの玉姫も大きくなったので、橋姫は遠い海辺へ中将を探しにいきました。あちらこちらと歩きまわっているうちに日が暮れて、ある一軒の小さな家に泊めてもらうことになりました。そして、その家の妖しげなおばあさんから、「中将は海の中の竜宮で暮らしています。今夜、ここへ来ますよ」と聞かされたのです……。
月とうさぎ
インド昔話
放送日:9月3日・9月10日
むかしむかし、インドの森の中に、一匹の心優しいウサギが住んでいました。ウサギには、カワウソとヤマイヌとサルの三匹の友だちがいました。
ある日、ウサギがみんなに言いました。
「ぼくたちは、いつでも自分の好きなものをおなかいっぱい食べているけれども、貧乏で食べ物を買えない人もいる。明日はぼくたち、ごちそうを食べないで、困っている人が訪ねてきたら、それをあげることにしようよ」。
「うん、それはいい考えだね」。
カワウソもヤマイヌもサルも大賛成。
次の日、カワウソは魚を七匹捕まえました。ヤマイヌは肉二切れとミルクを一杯、サルは果物をたくさん集めてきました。でもウサギは、草しか見つけることができませんでした。
これを見た神さまは、動物たちの心を試すために、わざと貧乏なお坊さんの姿になって、森を訪ねてきました。
コヨーテ・バンと七面鳥
アメリカ昔話
放送日:9月17日・9月24日
コヨーテのバンはあるとき、思い立って七面鳥をつかまえにいくことにしました。けれども奥さんのアウクスは頭からバンのことを信用していません。何しろバンというコヨーテは、口は達者でもなまけもので、狩りもへたなのです。
しかしバンは、七面鳥の群れを見つけると、うまく口先でごまかして、まんまと一羽をつかまえてしまったのです。バンは得意になって調子に乗り、もっと大きい七面鳥をつかまえて自慢してやろうと思います。そこでバンは、はじめにとらえた七面鳥を放して、命令します。
「おい、お前は自分でおれの女房のところへ歩いていって、コヨーテのバンにつかまったといって、料理してもらっていろ」
でも、自由になった七面鳥が、おいそれとそんな命令に従うわけがありません…。
パンをふんだ娘
アンデルセン
放送日:10月1日・10月8日
むかし、あるところにインゲルという高慢ちきな娘がいました。インゲルは隣り村の金持ちの家で働いていましたが、ある日、おみやげに大きなパンをもらって、自分の家に帰ることになりました。
とちゅうに、水たまりがありました。インゲルは美しい服を汚さないように、水たまりにパンを投げて渡ろうとしました。ところがパンをふんだとたん、パンはインゲルを乗せたまま、ぐんぐん水の中へ沈んでいったのです。そして水底の気味の悪い魔女の家で、石の像のように立ちつづけることになりました。上の世界では、おとうさんもおかあさんも、悲しみながら死んでいきましたが、インゲルの高慢な心は、なかなかなおりませんでした。でも、たった1人だけ、インゲルのことを「かわいそう」といってくれた女の子がいたのです…。
天人の羽衣
日本昔話
放送日:10月15日・10月22日
三保の松原という美しい海辺に、天女が舞い降りて、羽衣を松の木にかけて、水浴びを始めました。そこへ、一人の若者が通りかかって、羽衣を見つけ、取り上げてしまいました。天女が「どうぞ、返してください」と頼んでも聞き入れません。天に帰れなくなった天女は、しかたなく若者のお嫁さんになりました。
何年かたって、子どもも2人生まれましたが、天女は天に帰りたくてたまりませんでした。ところがある日のこと、赤ん坊をあやしていた上の子が、「いい子だ、いい子だ、ねんねしな。泣かねば羽衣見せてやる」と歌っているではありませんか。天女は夢かと喜びました。羽衣さえ見つかれば、なつかしい天に帰ることができるのです…。
いたずらおばけ
イギリス昔話
放送日:10月29日・11月5日
あるところに、とても陽気で、気前のいい小さなおばあさんが住んでいました。
ある天気のよい日、おばあさんは散歩に出かけましたが、しばらく行くと大きな金の花瓶が落ちているのを見つけました。
おばあさんは大喜びで、重い花瓶を持って帰り始めます。ところが途中で、金の花瓶は突然銀の花瓶に変わってしまいました。
でも、気のよいおばあさんはがっかりするどころか、あれこれと楽しいことを考えながら花瓶を抱えて歩いていきました。すると、銀の花瓶が今度は鉄の花瓶に変わってしまったのです。そしてまた少し行くと、今度はなんとただの石ころになってしまいました…。
はちかつぎ姫
日本昔話
放送日:11月12日・11月19日
子どものいない夫婦が、神さまにお願いして、ひとりの女の子をさずけてもらいました。そして神さまのいいつけどおり、女の子の頭に大きなはちをかぶせて、大切に育てます。近所の子どもたちが「はちかつぎ、はちかつぎ」とからかったので、女の子の名は、はちかつぎになりました。
はちかつぎが13になった時、おかあさんが死んで、おとうさんは新しいおくさんをもらいました。新しいおくさんは、はちかつぎを気味悪がって、毎日いじめてばかりいました。そしてある夜、人に頼んで、はちかつぎを、こっそり野原にすてさせたのです。
はちかつぎは、泣きながら、あてもなく歩いていくうちに、足をすべらせて、川に落ちてしまいます。でも大きなはちのおかげで、水に浮かんで、ぷかぷか流れていきました…。
ねことねずみ
イソップ
放送日:11月26日・12月3日
ある家の床下に、たくさんのネズミが住んでいました。好き勝手に暮らすうちに、家の人がネコを飼いはじめたので、さあ、たいへん!ネズミの仲間は、どんどん減っていきました。
そこで、なんとかしてネコをやっつけようと、みんなで相談をはじめますが、いい知恵が浮かびません。しまいに「ネコの首に鈴をつけたら」という案が出ましたが、さて、誰が鈴をつけに行くのでしょう?
オリオンと猟犬レラプス
ギリシャ神話
放送日:12月10日・12月17日
冬の夜空は特に星が美しく、さまざまな星座を見ることができますが、これは、有名な「オリオン座」とそれにまつわるお話です。
むかしむかしあるところに、背が高くてハンサムな、オリオンという狩りの名人がいました。オリオンの父は海の神さまでしたから、彼は水の上を歩く力も与えられており、どこへでも行きたいところへ行くことができました。
「この世におれほど強いものはないぞ」
オリオンはすっかり得意になって、ある島の美しいお姫さまに結婚を申し込みましたが、なかなか承知してもらえません。おまけに王さまから難題を出されたり、ひどい目にあわされたりしたあげく、ついにはサソリに噛まれて死んでしまい、サソリとともに天にあげられて、「オリオン座」になりました。また、オリオンの猟犬といわれた足の速いレラプスも「おおいぬ座」という星座になりました。
冬の夜空は美しいロマンでいっぱい。お話とともに星を楽しんでいただきましょう。
笠地蔵
日本昔話
放送日:12月24日・12月31日
昔々、あるところに貧乏なじいさまとばあさまが住んでいました。
ある年の暮れ、明日はお正月だというのにお金も米ももちもなく、二人は困ってしまいました。そこで、じいさまはすげがさを五つ作って、雪の降る中を遠い町まで売りに出かけましたが、夕方になっても、とうとう一つも売れませんでした。
「しかたがねえ。もう家さ帰るべ」
町から村外れまで戻って来たとき、いつも拝んでいるお地蔵様が六つ、半分雪に埋もれて、寒そうに並んでいるのが目に入りました。じいさまは気の毒に思って、さっそく地蔵さまの雪を丁寧に払うと、持っていたかさをみんなかぶせてあげました。かさが一つ足りなかったので、自分の古いかさも脱いでかぶせてあげました。そして、「地蔵さま、どうかよい正月を迎えてくなんしょ」といって、家へ帰ってきたのです。
さて、その晩、どんなことが起こったでしょう。
こどものすきな神様
新美南吉
放送日:1月7日・1月14日
村の近くの大きな森に、子どもの好きな神様が住んでいました。神様は時々村へ出てきて、大好きな子どもたちと遊びました。でも神様の姿は誰にも見えません。子どもたちは何とかして神様を見ようとします。
雪がどっさりと降って、あたり一面が真っ白となった冬の朝、子どもたちは一列に並んで、雪の上に顔を押しつけて顔のお面を作りました。子どもたちは全部で十三人。ところができた顔のお面は十四。子どもたちは神様が来ていることを知って喜びます。そして、神様を捕まえようと、学校ごっこを始めます。一人の子が先生となって、生徒を一列に並ばせます。一,二,三,四,五,六,七,八,九,十,十一,十二と、突然誰もいないところで十三と、かわいい声がしました。そら、神様だ、捕まえろ!と子どもたちは声のしたところを取り囲みました。驚いた神様は、あわてて子どもたちの足の下をくぐって、森へ逃げていってしまいます。土の香りと豊かな詩情があふれる南吉の童話です。

(ポプラ社)

ゆきむすめ
ロシア昔話/内田莉莎子訳
放送日:1月21日・1月28日
北の国のある村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。なんでもそろっていて、何不自由のないふたりでしたが、ただ子どもがなかったので、毎日さびしく暮らしていました。
ある寒い冬の日のこと、外は雪が積もって真っ白になりました。村の子どもたちが、雪投げをしたり、雪だるまを作ったりして、元気に遊んでいるのを見ていたおじいさんとおばあさんは、ふと、雪で白いきれいな雪むすめを作ることを思いつきました。
美しい雪むすめが出来上がりました。ところが、どうでしょう。その雪むすめはにっこり笑ってふたりの方へ歩き出したではありませんか。そして歌も歌い、お話もします。ふたりは大喜び、そしてたいへん幸せになりましたが……。
おにはうち ふくはそと
西本鶏介
放送日:2月4日・2月11日
昔、ある村に、お百姓さんとそのおかみさんがすんでいました。ひどい貧乏暮らしで、節分の日がきても、豆まきをする豆もありませんでした。村のあちこちでは、もうにぎやケイスケかに豆まきが始まっています。「うちでも豆まきがしたいなあ」。お百姓さんはしばらく考えていましたが、急に立ち上がって、からっぽのますをかかえて、かけ声だけの豆まきをしようとしました。でも、くやしいやら、はずかしいやら、なかなか声がでません。そして、勇気を出して声をはりあげたとき、「おにはうち、ふくはそと」とあべこべにどなってしまいました。
喜んだのは、ほかの家から追い出された赤鬼と青鬼。さっそくお百姓さんの家に飛び込んできました。そして、この鬼のおかげで、お百姓さんはかえって幸せになるというお話です。
白鳥の王子1
アンデルセン
放送日:2月18日・2月25日
昔々ある国に、1人の王さまが、11人の王子と、エリザというかわいいお姫様と一緒に暮らしていました。子どもたちのお母さんは早くに亡くなったので、王様はやがて新しいおきさきを迎えましたが、このおきさきは意地の悪い魔女でした。
おきさきはエリザをお城から追い出して、遠い田舎のお百姓さんの家に住まわせると、11人の王子も白鳥の姿に変えて、「どこへでも飛んでお行き」と、追い払ってしまいました。
エリザは心を決めて、兄さんたちを探しに旅に出ました。そして、あちらこちらと尋ね歩いて、ようやくある海辺で、金の冠をかぶった11羽の白鳥に巡り会うことができたのです。エリザは、夢の中で美しい仙女に、「とげだらけのイラクサで糸をつくって、11人分のシャツを編んで白鳥に着せなさい。そうすれば兄さんたちは、元の姿に戻ります。でも、その間は一言も口をきいてはなりません」と教えられます。
白鳥の王子2
アンデルセン
放送日:3月4日・3月11日
エリザは仙女の言葉どおり、イラクサを集めて糸を作り、シャツを編む仕事にかかりました。それは、とてもつらい仕事でしたが、兄さんたちのことを思うと、毎日、せっせと編まずにはいられませんでした。
ところが、そんなある日、この国の若い王様が森へ猟に来て、美しいエリザを見つけ、すっかり気に入ってしまったのです。王様はエリザをご殿に連れて帰り、おきさきにしました。
エリザはなおも休まず、シャツを作り続けましたが、ある夜、墓場へイラクサを摘みに行ったことから、「おきさきは魔女だ」と言う者が出てきました。でも、口をきくことのできないエリザは、誰にも訳を話すことができません。とうとう、町の広場で火あぶりの刑と決まってしまいました。
いよいよその日──エリザは刑場へ引き出される車の上で、なおもシャツを編み続けていました。すると、そこへ11羽の白鳥が、さーっと舞い下りてきたのです……。
こくだいのげひ
日本昔話
放送日:3月18日・3月25日
あるお寺に、ひとりの和尚さんがすんでいました。和尚さんは近所の八百屋さんとたいそう仲良しでした。
ある日、いつものように八百屋さんがお寺へ遊びにいくと、なぜか和尚さんはしょんぼりとして元気がありません。わけをたずねると、都から偉い坊さんが来て、和尚さんと難しい問答をすることになったのだそうです。それが心配で心配で、和尚さんは夜も眠れないというのでした。
「なんだ、そげんこつか。そんならわたしが代わってあげましょう」
八百屋さんは笑っていいました。
さて、いよいよその日、和尚さんの衣を着た八百屋さんは、偉い坊さんがやってくるなり、大きな声でこう問いかけました。
「コクダイノ ゲヒ ボンナン?」
さあ、坊さんは何のことやらさっぱりわかりません。すっかり困って、目をぱちくりさせるばかり……。