特集インデックス
脱水症状による食欲不振
脱水症状になると、めまいや食欲不振といった症状が現れ、悪化すると熱中症などの危険な病気につながります。
人は体重の約2%の水分が失われると、のどの渇きを感じます。
体重の約3%の水分が失われると、食欲不振、いらいら、皮膚が赤くなる、ひどい疲れなどの症状が起こります。そして、体重の約5%以上の水分が失われると、言葉がはっきりしなくなる、呼吸困難、ふらつき、けいれんが起こります。

とくに高齢者は、若い頃に比べて体内の水分量が減少している上に、のどの渇きを感じにくいので、水分の補給を怠りやすく、脱水症状を起こしやすいのです。
普通に生活しているだけでも、尿や汗、息などから絶えず水分を失っています。
高齢の人は、のどが渇いていなときでも、こまめに水分をとる習慣を身につけましょう。
記事『重症化しやすい高齢者の熱中症 原因や症状、予防法と対策について』はこちら
特集『脱水症状とは?』はこちら
胃の働きが低下することで起こる食欲不振
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、2013年に健康保険による治療の対象になった比較的新しい病気です。まだ、病名が広く知れ渡っていませんが、日本人の10人に1人はかかっているという意外と身近な病気なのです。
機能性ディスペプシアの代表的な症状は4つです。

「胃の痛み」、胃が熱くなる「しゃく熱感」、食べたらすぐお腹が張った感じがする「胃のもたれ」、最後に、すぐにお腹いっぱいになる「早期満腹感」です。
胃もたれや早期満腹感は、当然食事の後に起こるのですが、胃の痛みやしゃく熱感といった症状も、食後に起こることが多いということが最近分かってきました。
機能性ディスペプシアは、命に関わるようなこわい病気ではありませんが、こうした胃の不快な症状を抱えていると、精神的にも肉体的にも負担がかかり生活の質が下がります。
機能性ディスペプシアの原因、診断、治療について知りたい方はこちら
胃潰瘍
胃潰瘍は、胃の粘膜や組織が深くえぐれてしまう病気です。
えぐれる場所が血管の近くになると、出血してしまうこともあります。胃潰瘍は一晩でできると言われており、ある日突然発症し、通常は発症したその時の病状が一番ひどく、時間が経つにつれて治っていく病気です。
しかし、重症の場合は、胃の壁に穴があいたり、胃の出口が狭くなって食べ物の通りが悪くなることもあり、命にかかわることもあります。胃潰瘍になると、強い痛みが起こって気づきやすい気がしますが、自覚症状は個人差があり、大きな潰瘍ができても痛みを感じない人もいますので、痛みがないから安心というわけではありません。
こころの病気による食欲不振
軽症のうつ病 チェック法
うつ病は「気分が落ち込む」といった心の状態だけではなく、「食欲がない」「体が重い」というような体にも症状が出る病気です。

うつ病は検査などでは判定できないため、症状で判断します。
症状で判断するうつ病の診断基準1
- 憂うつ、気分の落ち込みがある
- 興味や喜びの喪失
症状で判断するうつ病の診断基準2
- 食欲の異常
- 睡眠の異常
- そわそわする、または体が重い
- 疲れやすい
- 自分を責める
- 思考力・集中力の低下
- 死にたいと思う
診断基準1のどちらか1つを含み、診断基準2の5つ以上の症状が、ほとんど一日中、2週間以上続き、仕事や家庭などに何らか問題が生じている場合にうつ病と診断します。
このうち軽症のうつ病は、日常生活において生産性は落ちてはいるものの、なんとか休まず続けられる程度のものを指します。
「軽症のうつ病の治療や自分でできること」を知りたい方はこちら
中等症・重症のうつ病についてはこちら
高齢者のうつ病と認知症 症状の違い
高齢者のうつ病と認知症は、見分けがつきにくく、適切な治療が受けられずに悪化することがあります。
うつ病の初期症状は、食欲低下、不眠、あるいは体調不良が目立ちます。
これに対し、認知症は物忘れなどの記憶障害が目立ちます。

高齢者の場合、認知症など他の病気との鑑別が必要となります。実際にはうつ病と認知症が合併することもありますし、また内科系の病気や脳外科系の病気で意識が障害されていることで、うつ病や認知症と誤解されている場合もあるので、医療機関などで詳しい診察と検査を行います。
記事『高齢者のうつ病と認知症の違い 初期症状・進行のしかた・検査方法』はこちら
高齢者の「肺炎」と食欲不振
高齢者の肺炎の症状
肺炎になると、38℃以上の発熱や強いせきが3~4日以上続いて、軽減しません。黄色や緑色のうみのような痰も出ます。これらの症状に加えて、息苦しさや胸の痛みなどが起こります。
ところが、高齢者や重い持病がある人は、体力や免疫機能が低下していることから、こうした肺炎の典型的な症状が出ないことがあります。

【肺炎の典型的な症状が出ない場合】
- ハアハアと呼吸が浅く速い
- 何となく元気がない
- 体が異常にだるい
- 食欲がない
といった症状も肺炎の可能性があるため、注意が必要です。
本人が体調の変化に気づいていないこともあるので、周りの人もいつもと違う様子を見逃さないようにしてください。
記事『死因にもなる「肺炎」 原因や症状、予防法、後遺症、かぜとの違い』はこちら
誤えん性肺炎
本来は食道に送られるものが、誤って気道に入り込んでしまうことを「誤えん」といいます。
この「誤えん」によって起こるのが「誤えん性肺炎」です。誤えん性肺炎は、65歳以上の高齢者に起こる肺炎の多くを占めています。
高齢者や重い持病がある人に多い「誤えん性肺炎」では、「ハアハアと呼吸が浅く速い」「何となく元気がない」「体が異常にだるい」「食欲がない」といった症状が多くみられます。「せん妄」といって、話す言葉やふるまいなど意識に混乱がみられることもあります。
記事『高齢者に多い肺炎「誤えん性肺炎」原因、症状と日常生活でできる予防』はこちら
味覚障害による食欲低下
味覚障害は、味がわからない、味が薄く感じるなど、味覚の低下や異常によって生活に支障が出る状態です。味覚障害が起きると、食欲がなくなって栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分や糖分をとりすぎたり、健康に影響が及ぶこともあります。
記事『味が分からない 味覚障害の症状や原因・検査・治療法を徹底解説!』はこちら
新型コロナウイルス感染症による味覚障害
新型コロナウイルス感染症の患者さんのおよそ半数に、味覚障害や嗅覚障害が起こることが報告されています(新型コロナウイルスに関する情報は、2021年3月現在のもの)。
味覚障害や嗅覚障害は、新型コロナウイルス以外の原因でも起こりますが、急に味が分からなくなったり、においが分からなくなったりする場合は、新型コロナウイルスを発症している可能性があります。
新型コロナウイルス「知っておきたい基礎知識&いま、私たちにできること」はこちら
薬の副作用で起こる食欲低下
75歳以上で薬を使っている人では、1か月に1つの薬局で7種類以上の薬を受け取っている割合が26%にものぼります。薬が6種類以上になると、副作用を起こす割合が10~15%にまで高まります。
高齢者に多い薬の副作用には「ふらつき・転倒」「物忘れ」「うつ」「せん妄」「便秘」「排尿障害」のほか、「食欲低下」などがあります。
高齢者は、若い人に比べ、副作用が重症になりやすく様々な臓器に及びやすいのが特徴です。食欲低下は、日常的な症状のため、薬の副作用だと気付きにくいことがあります。
記事『高齢者の薬に関する注意点 ふらつきなどの副作用・多すぎる薬』はこちら
食欲不振におすすめのレシピ
夏バテ予防のレシピ
夏は暑さで食欲が低下するうえ、たくさん汗をかいたり大量が消耗したりして、栄養不足に陥りがちです。すると、疲れやだるさなど、夏バテの症状が現れやすくなります。
夏バテを防ぐには、食欲がなくても、できるだけ栄養バランスのよい食事をおいしく食べるようにすることが大切です。特に不足しがちなビタミンB1、ビタミンC、良質たんぱく質の3つの栄養素を意識してとるようにしましょう。
えのきだけの梅しそ和え

- えのきだけ(100g)を軽くゆでて冷ます
- 千切りにした大葉とめんつゆで のばした梅肉(梅干し1コ分)とえのきだけを和えて完成
豚しゃぶサラダ

- ちぎったサニーレタスを敷く
- 水で戻したわかめ(20g)、ゆでた豚肉(しゃぶしゃぶ用80g)、スライスした たまねぎ(4分の1コ分)を盛る
- ごまドレッシングを適量かけて完成