【特集】専門家が教えるダイエット法 肥満を改善する食生活や運動メニュー

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【特集】専門家が教えるダイエット法 肥満を改善する食生活や運動メニュー

「肥満が気になる」「自分なりにダイエットしているが効果が感じられない」そんな方に向けて、最新のダイエット法&改善法をまとめます。肥満には主に皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つがあり、それぞれのタイプに合わせたダイエットを行うことが大切です。

【特集】肥満のリスク・デメリット 太る原因と関連する病気(糖尿病・がんなど)

肥満の見分け方とダイエット

肥満のタイプの簡単な見分け方とそれぞれの効果的なダイエットについて説明します。

肥満には、主に皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2つのタイプがあります。比較的若い時期から心筋梗塞などを起こすおそれがある内臓脂肪型肥満と下半身が太くなる皮下脂肪型肥満です。

内臓脂肪型肥満は「へそ周りの腹囲」でチェック

内臓脂肪型肥満チェック
へそ周りの平均

内臓脂肪型肥満かどうかは、簡単にチェックすることができます。メジャーを用意して、へその高さの腹囲を、素肌の上から測ります。
腹囲が、男性は85cm以上、女性は90cm以上あると、内臓脂肪型肥満の可能性が高いといえます。
すぐにダイエットを始めることがすすめられるのが、内臓脂肪型肥満です。高血圧や糖尿病、さらには心筋梗塞などさまざまな病気を、中年期から起こしやすいためです。

皮下脂肪型肥満は「おなかつかみ」でチェック

皮下脂肪型肥満の可能性
皮下脂肪型肥満は「おなかつかみチェック」

内臓脂肪型肥満のチェックでは当てはまらないが、BMIが25以上ある場合、皮下脂肪型肥満である可能性があります。〔BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕

「BMI」について詳しく知りたい方はこちら

皮下脂肪型肥満かどうかのチェックも、簡単に行うことができます。おなかに軽く力を入れた状態で、へそ周りをつまんでみます。しっかりたるみがつかめる場合は、皮下脂肪型肥満の可能性が高くなります。

2つのタイプで異なるダイエット

2つのタイプで異なるダイエット

内臓脂肪型肥満の場合、すぐにダイエットを始めることがすすめられますが、3~6か月で現在の体重を3%減らすことを目標に、ゆるやかなダイエットを心がけることがすすめられています。内臓脂肪は、「たまりやすいけど、減りやすい」という特徴があり、実際にこの「3%ダイエット」で、血圧、血糖、コレステロールなどの値が改善することがわかっています。

一方、皮下脂肪は内臓脂肪と比べると減りにくいという特徴があります。皮下脂肪型肥満の場合は、すぐに結果を求めずに、6か月~1年かけて現在の体重の3~5%減らすことを目標とした、じっくりダイエットを心がけてください。ウォーキングや自転車こぎなど、エネルギーを消費しながら筋肉を増やすことができる運動がおすすめです。筋肉がつくとエネルギーを消費しやすくなるため、リバウンドを防ぎやすくなります。

「【肥満チェック】内臓脂肪型・皮下脂肪型の違いと効果的なダイエット」について詳しく知りたい方はこちら

ダイエットの基本

ダイエットの基本

ダイエットの基本は、まずは毎日の体重測定を習慣化することです。
体重は1日の中でも変動するため、毎日同じ時間、同じ状況で測ることが重要です。朝、起床して排尿したあと、朝食をとる前に体重を測るのが理想的です。

次に、食事。食べすぎは当然肥満の原因となりますが、実は落とし穴となりやすいのが、中年以降も若い頃と同じだけ食べることです。中年以降になると、若い頃よりも基礎代謝量(じっとしているときでも消費されるエネルギー量)が減ってきます。

基礎代謝量
基礎代謝量

たとえば、男性で、多少は歩くがデスクワークが中心の人の適正な摂取エネルギー量は、25歳では1日2650キロカロリーですが、55歳では2450キロカロリーとなり、200キロカロリーの差があります。この55歳の男性が若い頃と同じだけ食事をとっていると、1か月で約6000キロカロリー余分にとることになります。体重にすると、1か月で約0.8kg増えることになります。

大きめ一口減らし

こうした食べすぎを防ぐためには、ごはんを「大きめ一口」分にあたる50gほど減らす習慣をつけることが有効です。1日3食で50gずつ減らせば、1日の摂取エネルギーを200キロカロリー以上減らすことができます。たとえば、体重80kgの人が毎日の200キロカロリー減らした場合、体重は1か月で0.8kg減ります。3か月続けると2.4kgの減量となり、ちょうど体重の3%減らすことができます。

ながら運動

健康的に減量するためには、運動も重要です。
運動は、家事や仕事をしながら行うような「ながら運動」を習慣化することがおすすめです。たとえば、洗濯物を干しながらスクワットをする、テレビを見ながら踏み台昇降をする、座った状態のまま上体ひねりや背中のストレッチをするなどです。デスクワークの人は、30分に1回はコピーをとりに行ったり、トイレに行ったりするなどして、立ち上がって少し歩くだけでもエネルギーを消費する運動になります。

ウォーキングや自転車こぎ、階段の上りなどの有酸素運動は、内臓脂肪を減らす効果が高いため、特にすすめられます。ウォーキングは、小分けでもよいので、毎日合計30分以上行うとよいです。階段の上りは筋肉を鍛える効果も期待できます。毎日2~3階分程度を目安に階段の上りを習慣にするとよいでしょう。

ただし、ひざや腰、股関節などに痛みがある人や、BMIが30以上の人は、運動は体に大きな負担となるおそれがあります。
〔BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕
必ず医師に相談したうえで、運動を考えるようにしてください。

「メタボを改善するゆるやかな健康ダイエット実践法」について詳しく知りたい方はこちら



肥満を改善!専門家が勧めるダイエットレシピ&食生活

食物繊維のスーパーパワー「上手にとるコツ」

食物繊維は肥満などを予防する効果をもっています。その効果を最大限に生かすには、1日24g以上とるのが理想的です。しかし、日本人の食物繊維の平均摂取量は1日およそ14gと非常に少なく、日本人の食事摂取基準で目標量として決められた男性21g以上、女性18g以上(18~64歳)にも満たないのが現状です。

食物繊維を十分にとるには

食物繊維の摂取量を増やすには、まず麦ごはんや精製度の少ない玄米や胚芽米、全粒粉のパンなどを取り入れるようにします。また、いつもの食事に野菜やきのこ、海藻などを加えるのも摂取量を手軽に増やすコツです。小さな工夫でも続ければ1日の食物繊維の量は確実に増えます。
また、根菜には食物繊維がたっぷり含まれています。いつものおかずにさらに1品、「根菜料理」を加えるのがお勧めです。

「食物繊維が手軽にとれる1日メニュー!朝食・昼食・夕食レシピ」の詳しく読みたい方はこちら
「食で健康「食物繊維たっぷり!やわらか根菜料理」を詳しく読みたい方はこちら

早食いを抑えて、食べすぎを防ぐ

早食いの人ほど、肥満度(BMI)が高いという調査結果があります。急いで早く食べると、脳が満腹感を得る前に、食べすぎてしまうことが原因のひとつと考えられます。食物繊維が多い料理は、よくかむために自然と食べる速さがゆっくりになるという利点もあります。



効果的にダイエット!肥満を改善する運動メニュー

(その1)スローステップ運動をやってみよう!

左足も下ろして両足をそろえる。

スローステップ運動とは、ゆっくりと踏み台を上り下りするだけの運動です。
高さ20センチほどの踏み台を用意し、①右足をのせる、②左足をのせて両足でまっすぐ立つ、③右足をおろす、④左足もおろして両足をそろえる、⑤今度は左足から台にのせ、右足をのせて両足で立ち、左足からおろす。これを左右交互に繰り返します。

【ポイント】

  • テンポはゆっくり
    足を動かすペースは1分間に80回が目安です。ゆったりとした音楽をかけて、それに合わせて動かすと楽しく運動ができます。「遅筋」が働くように、速く動きすぎないことが大切です。
  • 上げる足は交互に
    右足から上がったら、次は左足から上げる。左右の足を均等に鍛えましょう。
  • 台の上では両足が伸びきるように
    台の上に立ったら、ひざはしっかり伸びきるように意識します。
  • 1回10分、1日に2~3回が目安
    体力に自身のない方は、これより少なくても問題ありません。無理のないペースで続けてみて下さい。また、転倒にはくれぐれもご注意下さい。

スローステップ運動のダイエット効果

スローステップは背中やおしり、太ももなど大きな筋肉を使う全身運動で、ウォーキングに比べて消費量が大きく、減量効果が期待できます。また、心臓に対する負担もかかっているため、昇り降りすることはスクワット運動と同じで、体力と筋力アップにもつながります。

スローステップを毎日30分程度続けた場合は、2週間ぐらいで効果が出始め、さらに、1か月半ほど続けることで体力がアップしてきたことも実感できるようになります。

(その2)体力アップ!インターバル速歩とは

インターバル速歩とは「ゆっくり歩き」と「はや歩き」を交互に行う運動です。体力をつけるために「はや歩き」で「ややきつい」運動を行う必要があります。ただし、「はや歩き」だけを長時間行うと、息が切れたり、ひざが痛くなったりしてしまうことがあるため長続きしません。そこで、「はや歩き」のあとに、「ゆっくり歩き」を挟んでリラックスすることが大切です。

はや歩きのポイント

「はや歩き」3分間+「ゆっくり歩き」3分間=合計6分間を1セット

これを1日5セット以上、これを週4日以上行うと効果的です。「はや歩き」が1週間で合計60分(10セット)になるよう、まとめて行っても問題ありません。

期待できる効果

インターバル速歩 期待できる効果

  • 最大酸素摂取量が上がり、心肺機能が高まる効果も期待できます。
  • 筋力がつくと姿勢が良くなり、肥満気味だった人は体型も変わります。
  • 血圧が下がり、生活習慣病である高血糖や肥満にも効果が期待できます。

運動後30分以内に乳製品を摂取すると、太ももの筋肉がより効率的に太くなるという報告があります。
「ややきつい」運動をしたときに、筋肉は損傷し、修繕を行いますが、このタイミングでアミノ酸などを含んだ食品(乳製品)をとることで、修繕を助けるためと考えられています。
例えば、運動後30分以内に牛乳をコップ1~2杯(約200ml)とるのがオススメです。

(その3)水中ウォーキング

水中運動は体力に自信のない人や、関節痛などで悩む人も効率的に体を鍛えることができ、転倒予防や、高血圧・肥満などの生活習慣病の改善、むくみ、腰痛や肩こりの解消などの期待が見込めます。さらにこうした効果を得るために泳ぐ必要はなく、水中ウォーキングだけでも十分効果に期待ができます。

水中運動の特性

ただし、「心臓に疾患がある」、「日頃から強い頭痛がある」人は医師に相談の上、行うようにしましょう。
また、水中に入ってから血圧が降下して安定するまでにおよそ2分かかります。そのため、運動を始めるのは2分ほど経過してからにするのがいいでしょう。

水中ウォーキングでは全身の筋肉をバランスよく鍛えることができますが、歩き方を変えることによって、さらに狙った筋肉を効果的に鍛えることができます。そこでオススメなのが「前歩き」、「横歩き」、「後ろ歩き」の運動です。

「前歩き」、「横歩き」、「後ろ歩き」を好みで組み合わせて合計20分間を1セットとして、週に2回実践すると効果的です。

水中ウォーキングの正しいやり方についてはこちら