- 検診のために医療機関を受診したところ、心房細動と診断。「抗凝固薬」の使用をすすめられました。しかし、動悸などの自覚症状は特にありません。それでも薬はのむべきでしょうか?
専門家による回答
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心房細動と診断された人すべてが服用するとは限りません。
しかし、心房細動は注意の必要な病気です。心房細動が起きると心臓内で血液がよどみ、血栓ができるからです。心臓内でできた血栓は直径数センチと大きいため、その血栓が血流に乗って頸動脈へ流れていき、脳の血管をつまらせる、「心原性脳塞栓症」を起こす恐れがあるので注意が必要です。
心房細動の自覚症状には、不規則な脈により「胸がどきどきする」などの動悸や、まれですが「倦怠感」を覚える場合などがあります。症状の出方は個人差が非常に大きく、まったく無症状の人もいます。「心原性脳塞栓症」を起こす恐れのあることを考えたとき、自覚症状の有無はあまり関係なく、自覚症状が無くても心臓の中で血栓を作らないように抗凝固薬をのんで、予防することが重要な場合もあります。
抗凝固薬を使うかどうかは、心房細動以外に脳梗塞を起こす危険因子を持っているかどうかも含めて、総合的に検討することが必要です。下記で該当するものがないかチェックしましょう。
心不全
高血圧
75歳以上
糖尿病
脳梗塞または脳卒中の前触れ発作である一過性脳虚血発作
該当するものが多ければ多いほど脳梗塞の発症率が高まることもわかってきていますので、1つでも該当する場合は抗凝固薬の使用が推奨されます。
抗凝固薬は傷口からの出血が止まりにくい、などの症状が出ることがありますが、脳梗塞は命を落とすリスクもありますので、該当する人は抗凝固薬の使用について前向きに検討して頂きたいです。
(2019年5月6日(月)放送関連)