【Q&A】アルツハイマー型認知症はどう進行する?

更新日

80歳の父親は、短期記憶に問題があり、受診したところ「アルツハイマー型認知症」と診断されました。今のところ生活に支障はなく、家族のことが分からないなどの症状もありません。
今後の病状はどんなペースで進行するのですか?人によってさまざまですか?進行の度合いを知るために注目しておくべきポイントはありますか?(56歳 男性)

専門家による回答

短期記憶(数十秒~1、2分前の出来事の記憶)というよりは、近時記憶とか近接記憶(数分から数日前の出来事の記憶)に問題かと思われます。アルツハイマー型認知症の初期症状でしょう。初期は他の症状は目立ちません。
なお、「アルツハイマー型認知症」と医療機関で診断される人の中には、真の「アルツハイマー病」のほかに、「嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)性認知症(グレイン病)」や「神経原線維変化(優位)型認知症」が含まれます。真のアルツハイマー病以外の認知症では、もの忘れは老化の範囲を超えていますが、生活上の変化があまり見られず、人生の最後まで生活にひどく困ることもありません。
もし、症状が最近3、4年の間にあまり悪くなっていないようなら、真のアルツハイマー病以外の認知症の可能性があり、その場合は今後とも進行は緩やかでしょう。
一方、「進行を遅らせる薬」を服用しても、目立ってもの忘れがひどくなったり、ものごとの手ぎわが悪くなったりしているようなら、真のアルツハイマー病の可能性が高いといえます。(最近はアミロイドPETという検査で、高い確率で、真のアルツハイマー病が診断できるようになってきていますが、一般の医療機関では難しく、大学病院や研究所でのみ可能です)
最近の数年を振り返ることができれば、これからの経過の予測に参考になります。家族のことが分からなくなるのは高度に進行してからです。そこまで進行させずに人生を全うできる人も最近は増えました。

(2018年6月11日(月)〜13日(水)放送関連)

関連する病気の記事一覧