2017年06月13日(火)放送

すい臓の病気 徹底解説「慢性すい炎」

長い年数で徐々に進行

慢性すい炎

 慢性すい炎は長い年数をかけて進行します。アルコールが主な原因で飲酒量が増えるほど発症しやすくなります。すい臓が少しずつ壊れていき通常は完治しません。急性すい炎が突然起り完治しやすいのとは対照的です。また、慢性すい炎はすい臓がんのリスクを高めます。

すい臓の組織と働きが壊れる

すい臓の組織と働きが壊れる①
すい臓の組織と働きが壊れる②

 慢性すい炎では、すい臓の組織が線維化したり、すい液を分泌するすい管にすい石ができたりします。その結果すい臓全体が硬くなり萎縮していきます。すい液の分泌も低下して、食べた物を消化・吸収する働きも失われてしまいます。

症状は変化していく

慢性すい炎 進行と症状

 慢性すい炎の症状は、初期は上腹部の痛みが中心です。しかし5年〜10年で後期に進行すると腹痛は軽減します。すい臓自体が大きく壊れてしまうからです。すい液の分泌も低下して消化吸収が悪くなるため、下痢、脂肪便、体重減少が起こります。脂肪便は食物の脂肪分が便に混じるもので、白っぽい、においと粘りが強いなどの特徴があります。また、すい臓からのインスリン分泌も低下するため糖尿病を発症しやすくなります。

早期なら進行を止められる可能性も

 慢性すい炎には早期の段階(早期慢性すい炎)があることが最近わかってきました。この段階なら進行を食い止められる可能性もあります。早期発見には超音波内視鏡などが使われます。内視鏡を胃まで挿入し超音波を発生させてすい臓を詳しく観察するものです。

さまざまな治療法

慢性すい炎 治療法

 慢性すい炎と診断されたら禁酒をします。飲酒が進行をはやめ腹痛の原因にもなるからです。喫煙も悪化因子であるため禁煙します。食事療法は、初期は腹痛を和らげるために脂肪の多いものを避ける、後期は消化・吸収の働きが落ちてくるので、適切なエネルギーを確保します。薬では、腹痛を抑える薬や低下した消化・吸収の働きを補う薬などが使われます。すい石の除去は体の外から衝撃波を当てて石を砕く方法です。「すいのう胞」の治療を行うこともあります。すいのう胞は、すい液などのたまった袋がすい臓の中にできるもので、内視鏡などで液体を取り除きます。

すい臓がんのリスク

 慢性すい炎ではすい臓がんのリスクが12倍に高まります。すい臓がんの検査を定期的に受けることがすすめられます。また、慢性すい炎を早い段階から治療することでリスクの低下が期待できます。

※2017年6月現在の情報です。

☆ 「すい臓の病気 徹底解説」に関する詳しい内容については、きょうの健康テキスト6月号に掲載されています。
きょうの健康テキスト6月号