2017年04月17日(月)放送

うつ病 信頼できる最新治療「軽症のうつ病」

軽症のうつ病とは

 うつ病は「気分が落ち込む」といった心の状態だけではなく、「食欲」や「体が重い」というような、 体にも症状が出る病気です。診断基準に使用されるのは以下の項目です。

症状

  • 憂うつで気分が落ち込む、もしくは興味や喜びの喪失
  • 食欲の異常
  • 睡眠の異常
  • そわそわするまたは体が重い
  • 疲れやすい
  • 自分を責める
  • 思考力・集中力がなくなる
  • 死にたいと思う

 こうした症状がほとんど1日中、2週間以上続き、仕事、学校、家庭の中などで、問題が生じているものをうつ病と診断します。
軽症のうつ病は、この項目を5つ以上満たす場合で、学校、仕事、家庭などでの生産性は落ちてはいるもののなんとか休まず続けられる程度のものを指します。

ガイドライン改訂

 日本うつ病学会は、2016年に「うつ病治療ガイドライン」を改訂しました。
 軽症のうつ病についても内容が新しくなり、「休養についてどう考えるか」について書き加えられました。うつ病になると、学校や仕事を休むことがありますが、今回の改訂で、休養については、漠然と休むのではなく、患者さんの状態に合わせて休むことや、何かに挑戦することや役割を回復していくことも、症状の重さによっては必要であることが明記されました。
 こうした考えの背景には、うつ病の治療方針が「ストレスを減らす」ことよりも「レジリエンスを刺激する」ことに重きを置くようになったことがあります。
 レジリエンスとは、誰しもが持っている「心の自己回復力」のことです。心には、ストレスがかかったとき、それを跳ね返す回復力があります。うつ病の治療では、この力を最大限に刺激するようにします。

軽症のうつ病の治療

軽症の治療

 軽症のうつ病の治療の柱になるのは「心理教育」と「支持的精神療法」です。
 心理教育では、本人や家族に、うつ病はどんな病気か、どんな治療が必要か情報を与えます。
 また、病状が一時的に軽くなったり消えたりする、寛解までは数ヶ月から1年程度かかること、それまでは、良くなったり悪くなったりを繰り返しながらゆっくりと回復していくことなど、これからたどっていく治療の経過を伝えます。支持的精神療法では、医師が患者さんのつらい体験や感じ方をよく聞いて、共感します。また、患者さんの抱えている問題を「その問題はこういうことでは」と一緒に考えて整理をしていきます。

薬物療法と認知行動療法

薬部療法と認知行動療法比較

 「心理教育」と「支持的精神療法」のみで良くなることがありますが、患者さんが更なる治療を希望する場合は薬を処方する「薬物療法」や、物の考え方や行動を修正する「認知行動療法」を行います。薬物療法は、食欲が無い 睡眠障害がある、ソワソワと落ち着かないなどの症状がある人に推奨されます。デメリットは、めまいなどの副作用があることです。
 認知行動療法は、ストレスの原因が明らかな人や、妊娠中や授乳中で薬の服用が好ましくない人に推奨されます。デメリットは、効果が出るまでに時間がかかること、日本には専門医が少なく、予約待ちがあることです。薬物療法認知行動療法を平行して行うこともできます。

自分でできること

 患者さんが自分で心がけることとしては、オランダの調査が参考になります。実際にうつ病から回復した患者さん自身が行って重要と考えられた方法を聞いたものです。
 特に多かった方法が以下の3点です。

自分でできること

「前向きな態度」
 3か月後や1年後など先のことではなく、「明日は公園へ行こう」など明日のことを考えたり、ポジティブな記憶を思い出したりする。
「生活リズムを整える」
 毎日決まった時間に家を出る。
「より積極的な行動」
 運動をする(ただし、無理は禁物なので、医師と相談しながら取り組みましょう)

(Van Grieken RA, et al. Health Expect.2013)

※2017年4月現在の情報です。

「うつ病 信頼できる最新治療」の詳しい内容については、きょうの健康テキスト7月号に掲載されています。
きょうの健康テキスト7月号