2017年03月20日(月)放送

難聴と思ったら 最新情報「加齢性難聴」

誰でも起こる可能性のある加齢性難聴

加齢性難聴の頻度

 加齢によって起こる難聴で、「年齢以外に特別な原因がないもの」が加齢性難聴です。加齢性難聴は誰でも起こる可能性があります。50歳頃から始まり65歳をこえると急に増加するといわれています。その頻度は、60歳代前半では5〜10人に1人、60歳代後半では3人に1人、75歳以上になると7割以上との報告もあります。「年のせいだから」と放置していると、さまざまな危険が出てきます。難聴が長引くと認知症をひき起こすとの報告もあります。

加齢性難聴の原因

有毛細胞 電子顕微鏡写真

 耳の構造は、外耳、中耳、内耳に分けられていますが、加齢とともに内耳の蝸牛[かぎゅう]と呼ばれる器官の内側にある有毛細胞が障害されて難聴が起こります。有毛細胞は、鼓膜から伝わってきた音の振動をキャッチして、電気信号に変えて脳へ送る役割をしています。正常な状態では整然と並んでいますが、加齢とともに有毛細胞は壊れてなくなっていきます。有毛細胞は、いったん壊れてしまうと再生しないため、加齢性難聴は治りにくいとされています。通常は両方の耳が聞こえにくくなるのが特徴です。

加齢性難聴の予防

加齢性難聴 悪化の原因

 加齢とともに誰でも起こる可能性がある加齢性難聴ですが、悪化させる原因を取り除くことで予防はできます。糖尿病があると加齢性難聴を悪化させることが全国規模の疫学調査であきらかになっています。また動脈硬化や高血圧などの生活習慣病が悪影響を及ぼすことは間違いないとされています。喫煙やアルコールのとり過ぎは特に注意が必要です。また騒音などは体の中に「酸化ストレス」を増加させ、正常な細胞の組織を壊してしまうため、難聴を起こしやすくするといわれています。

加齢性難聴の治療

遺伝性難聴

 加齢性難聴は根本的な治療法はなく、補聴器で聞こえを補うことが大切です。難聴の原因が他の病気の可能性もあるため、まずは耳鼻咽喉科を受診して加齢性難聴と診断されたら医師の指導のもとで自分に合った補聴器を選ぶことが大切です。加齢性難聴と診断されて補聴器を使用しているのに聞こえがどんどん悪くなる場合は、遺伝性難聴という他の病気の可能性があります。臨床遺伝専門医のいる医療機関で検査をしましょう。遺伝性難聴と診断された場合は「残存聴力活用型人工内耳」と呼ばれる新しい治療法が有効です。高齢だからとあきらめずに適切な治療を受けるようにしましょう。

※2017年3月現在の情報です。

難聴と思ったら 最新情報「加齢性難聴」の詳しい内容については、きょうの健康テキスト3月号に掲載されています。
きょうの健康テキスト3月号