2017年03月09日(木)放送

こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「薬の選択」

骨粗しょう症の薬が必要な人

薬が必要な人

 骨粗しょう症によって骨折を起こした人は、再び骨折する危険性が2~4倍になるという報告があります。骨粗しょう症の予防や治療には、運動と食事が大切です。しかし、それだけでは不十分な場合には、骨折を防ぐために、薬による治療が行われます。

 薬による治療が必要なのは、第一に、ほんの少しの衝撃で骨折した脆弱[ぜいじゃく]性骨折がある人です。骨密度が低くて骨折があれば、骨粗しょう症と診断されます。骨折がない人でも、骨密度が若年成人の平均骨密度の70%以下だと、骨粗しょう症と診断され、薬が使われます。さらに、骨密度が若年成人の平均の70~80%未満の場合でも、家族歴などの危険因子がある人は骨折のリスクが高いので、薬による治療が勧められます。

薬のタイプ

骨粗しょう症の薬

 薬には、

①骨を壊す働きを抑える薬
②骨を作る働きを高める薬
③骨の作り替えのバランスを整える薬

の3つのタイプがあります。

健康な成人
骨粗しょう症

 薬を理解するうえで、まず知って起きたいのは、骨の新陳代謝です。破骨細胞が古い骨を壊して小さな穴を開け、その穴に骨芽細胞がやってきて、新しい骨を作っていきます。健康な成人の場合、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスがとれているので、骨は新しく丈夫な骨になります。しかし、骨粗しょう症の場合、破骨細胞の骨を壊す働きが、骨芽細胞の骨を作る働きを上回り、骨の量が減少してしまいます。

①骨を壊す働きを抑える薬は、
破骨細胞の働きを抑える作用があります。骨を壊す働きを抑えられることで、骨を作る働きとのバランスを保つことができます。

②骨を作る働きを高める薬は、
骨芽細胞の働きを高めて骨を作る作用がある薬です。骨を作る作用を活性化させることで、骨を壊す作用とのバランスを保ちます。

③骨の作り替えのバランスを整える薬は、
骨を壊す働きを抑え、さらに、骨を作る作用を促進させる効果もあります。これら2つの作用によって、作り替えのバランスが調整されます。

①骨を壊す働きを抑える薬

①骨を壊す働きを抑える薬

 ビスホスホネートデノスマブSERM[サーム]があります。

薬のタイプ①

【ビスホスホネート】
 ビスホスホネートは、服用するタイプ医療機関で注射するタイプや、点滴をするタイプがあります。これまでは1日1回週1回月1回、使うものでしたが、2016年には、年に1回、点滴で投与するタイプの新薬が登場しました。
 服用するタイプのビスホスホネートを使用する場合、服薬前後には空腹状態にしておく必要があり、しかも、服用後30分間は上体を起こしておく必要もあります。
 これは、服用前後に食事をしてしまうと、薬の吸収が大きく低下し、治療効果に影響するからです。また、服用してすぐ横になると薬の成分が逆流し、食道が炎症を起こしたり、潰瘍ができたりする恐れがあります。
【デノスマブ】
 デノスマブは半年に1回、医療機関で皮下注射するものです。骨密度を上げる効果は高いと言われており、比較的重症の方に使われます。
【SERM】
 SERMは女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。それほど骨折のリスクが高くない閉経後の50歳代、60歳代の女性に多く使われています。

②骨を作る働きを高める薬

薬のタイプ②

【副甲状腺ホルモン薬】
 副甲状腺ホルモン薬には注射薬があります。週に1回医療機関で注射するタイプと、毎日自己注射するタイプがあります。骨折が複数ある人、骨密度が極めて低い人に使われる薬です。

③骨の作り替えのバランスを整える薬

薬のタイプ③

【活性化ビタミンD₃薬】
 活性型ビタミンD₃薬は、破骨細胞の働きを抑えることによって骨を壊す作用を抑制します。また、小腸からのカルシウム吸収を促し、骨を作る働きも促進します。

薬の選択

 多くの薬のなかから、患者さんの骨折の危険性年齢ライフスタイルなどにあわせて選択されます。また、「背骨に効果が高い薬」や「太ももの付け根の骨に効果が高い薬」など、骨折した部位によっても適した薬が異なるので、総合的に判断して使います。
 骨粗しょう症の薬は、正しい用法で継続して使えば、骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。

副作用

 一部のビスホスホネートに吐き気胃痛などの消化器症状が、SERMでは更年期障害の悪化がみられることがあります。ただし、重大な副作用は少ないのが、これらの薬の特徴です。また、ビスホスホネートの副作用として、ごくまれに抜歯などの歯科治療によって顎の骨が壊死[えし]するケースが報告されています。歯科治療を受ける際には、ビスホスホネートを使っていることを伝えてください。

※2017年3月現在の情報です。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト3月号に掲載されています。
きょうの健康テキスト3月号