【高血圧に注意】脳の細い血管が詰まる脳梗塞「ラクナ梗塞」とは?

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細い血管で起こる「ラクナ梗塞」

ラクナ梗塞の「ラクナ」とは、ラテン語で「小さなくぼみ」という意味で脳の深い場所に発生する直径15mm以下の小さな脳梗塞のことです。脳の奥には、太い血管から枝分かれした穿通枝(せんつうし)と呼ばれる細い血管があります。この穿通枝の先が詰まるのがラクナ梗塞です。特に高齢者や男性に多く発症する傾向があります。脳の太い血管が詰まる脳梗塞の場合は、脳の神経細胞が広範囲にダメージを受けるため、体のまひや言語障害などさまざまな症状が現れます。

ラクナ梗塞は、ダメージを受ける部分が小さいので症状が現れないことが多く、無症候性脳梗塞とも呼ばれています。そのため、ラクナ梗塞が起こっていていも、気づかないことがよくあります。ただし、症状がなくても安心はできません。放って置くと、本格的な脳梗塞や、脳出血を発症したり、認知症になるリスクが高くなります。

ラクナ梗塞の検査

ラクナ梗塞の検査

ラクナ梗塞は、MRI検査で見つけることができます。赤い丸で囲んだところが脳梗塞によって障害された部分です。ラクナ梗塞では小さな梗塞が多発していることがわかります。

ラクナ梗塞の原因「高血圧」に注意

脳卒中の発症率

ラクナ梗塞を引き起こす原因として注目されているのが高血圧です。例えば、上の血圧が120未満で下の血圧が140mm以上だと、脳卒中の発症率は約3倍高くなります。

高血圧が長期間続くと、穿通枝の抹消で動脈硬化が進行し、ラクナ梗塞を発症しやすくなります。また、2型糖尿病の人の3~6割に、慢性腎臓病の人の4割に、ラクナ梗塞が起こっていたとの報告もあります。

血圧を管理するためには、まず食生活に注意して食塩の摂取量を減らすようにします。禁煙し、お酒を多く飲む習慣がある場合は改善します。そしてウォーキングのような有酸素運動を1日に30分間度続けて行えば、血圧を下げる効果が期待できます。降圧薬が必要な場合は、きちんと服用しましょう。

血圧を毎日正しく測ることも大切です。家庭で測る血圧は正常でも、病院で測ると高くなる人がいます(白衣高血圧)。医師や看護師が測ると、患者さんが緊張することが原因と考えられています。そのため、医療機関では家庭で測る血圧を重視します。

正しい血圧の測り方

①腕を心臓の高さにする
姿勢を正した状態で血圧を測る腕と心臓の高さが同じになるようにします。

②素肌か肌着の上からカフを巻く
カフは、皮膚との隙間が少なくなるように、ぴったり巻きます。巻く位置は、ひじの関節の1~2cm上あたりです。

③リラックスした状態で測定する
測定中は会話をしないようにします。

④測定した値を記録する
朝晩それぞれ2回計測し、数値はすべて記録しましょう。測定した時間も一緒に記録をして、毎日できる限り同じ時間帯に測るようにします。

ラクナ梗塞が多発して起こる血管性認知症

認知症で最も多いのは、アルツハイマー型認知症です。特殊なたんぱく質が脳の神経細胞を破壊するために起こると考えられています。アルツハイマー型認知症は、認知機能が徐々に低下していき、それに伴って記憶障害の程度も進行していきます。

そして次に多いのがラクナ梗塞が多発して起こる血管性認知症です。ラクナ梗塞が多発して脳の血管が詰まると、神経細胞に必要な酸素と栄養が送られなくなり、認知機能に障害が起こることがあるのです。

血管性認知症の症状

血管性認知症は、記憶障害が「まだら」に現れます。そのため、「まだら認知症」とも言われています。その他にも、歩行障害・転倒、頻尿・尿意切迫、まひ、ささいなことでもすぐ感情が表に出る感情失禁といった症状が現れます。

【症状の一例】

  • 興味のあることはよく覚えていても、興味のないことはまったく覚えていない。
  • 朝は自分で着替えられず反応もなかったが、夕方になると自分で着替えられ、会話もできる。

早期発見にはこうした症状を見逃さないことが大切です。血管性認知症と診断された場合は、ラクナ梗塞がこれ以上起こるのを防ぐために、血圧をしっかり管理しましょう。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年5月号に詳しく掲載されています。

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