激しいめまいが数日間続く前庭神経炎。検査や治療方法

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前庭神経炎とは

前庭神経炎

内耳のところにある、前庭神経という神経の機能が、急に障害されることで発症する病気です。前庭神経は平衡感覚を保つ役割をしていますので、この機能が急に障害されると、めまいが起こります。原因は分かっていませんが、ウイルスの感染内耳の血流障害で起こると言われています。

前庭神経炎による激しいめまいが起こると、食事をするのも、水をのむのも困難になりますので、入院して点滴治療を行うことが多いです。激しい回転性のめまいが1日で治まる人もいれば、3日ほど続く人もいます。

前庭神経炎の検査

前庭神経炎の主な検査は、「温度刺激検査」、「前庭誘発筋電位」、「ビデオヘッドインパルステスト」です。温度刺激検査は、片側の耳に水を入れて、めまいの起こる反応を見る検査です。通常私たちの体は、片方の耳に温水や冷水を入れるとめまいが起こるようになっています。しかし内耳に異常があると、めまいを感じないか、通常よりも軽いめまいしか感じないので、その原理を生かして異常を確認する方法です。

前庭誘発筋電位というのは、音の刺激で誘発される前庭神経の反応を首の表面に装着した電極で検知する検査です。ビデオヘッドインパルステストは、頭を動かしたときの眼球の運動を観察して前庭動眼反射を調べるものです。

前庭神経炎の急性期の治療

前庭神経炎の薬

前庭神経炎の治療は、めまいが起こっている急性期とめまいが治まってからの回復期に分けられます。急性期には、炎症を抑える力が強いステロイド薬、抗めまい薬、吐き気が強い場合は吐き気止めを点滴で行います。ほかに、前庭神経の機能を向上させるために、血流改善薬、ビタミン剤などを使うこともあります。

前庭神経炎の回復期の治療

リハビリテーション

退院してからは、めまいが治まっても、体のふらつきや不安定感はしばらく続くため、平衡感覚を取り戻すためのリハビリを行う必要があります。具体的には、体のバランスを保てるようにする訓練と、目の動きを安定させる訓練を行います。体のバランスを保てるようにする訓練は、目を閉じて、両脚立ち、片足立ちを1分目安で行います。また、その場で足ぶみをします。

最初はふらついて危険を伴う可能性があるので、支えがある場所で行ったり、家族に支えてもらったりして、行うようにしましょう。

目の動きを安定させる訓練は、親指を立てて見つめながら首を左右にふります。このとき、目を左右に動かすことを意識してください。リハビリは、少しずつでも毎日行うことが大切です。また、回復期の半年〜1年は、定期検査を欠かさないようにしてください。

前庭神経炎に似た病気

ワレンベルグ症候群
ワレンベルグ症候群の症状

前庭神経炎とよく似ためまい発作を起こす病気に「ワレンベルグ症候群」という病気があります。この病気は、脳の延髄と呼ばれる部分が障害されて起こる病気です。最初に激しいめまいが起こり、その後、ほかの症状も出てきますが、発症直後は、ほかの症状がみられないので、前庭神経炎と診断されてしまう場合があります。もし、前庭神経炎と診断されて、その後、いろいろな症状が出てきたら、要注意です。

ワレンベルグ症候群の主な症状は、眼瞼下垂や瞳孔が小さくなったり、熱、刺激などに対する顔の感覚が低下したり、息が漏れるような感じの声がれを起こしたりします。そして、急な激しいめまいが起こる前に、後頭部にガツンと痛みが生じることがあると言われています。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年3月号に詳しく掲載されています。

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