花粉症治療のギモン:根本的に治す治療、効果的な薬、手術

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花粉症鼻水が出る鼻がおかしいのど
花粉症のギモン

花粉症治療のギモン①
「放っておいてもいつか治る?」

花粉症がある人のなかには、中高年になって花粉症が軽くなり、自然に治る人がいます。
ただ、若いうちは花粉症が自然に治ることはほとんどありません。花粉が飛んでいる時期に症状を放っておくと、症状が悪化して治療しても症状を抑えるのが難しくなってしまうので、早めに治療を開始することが大切です。

花粉症治療のギモン②
「根本的に治す方法は?」

花粉症のなかで最も多いスギ花粉症には、根本的に治すことを目指す治療法のアレルゲン免疫療法があります。花粉症の原因物質(アレルゲン)であるスギ花粉のエキスを少しずつ体の中に取り込んで、徐々にスギ花粉に体を慣らして、症状が起こらないように体質を改善していく治療法です。

舌下免疫療法

現在、主流となっているのはスギ花粉のエキスを舌の下に入れる「舌下(ぜっか)免疫療法」です。舌下免疫療法には、液剤タイプ錠剤タイプがあります。

液剤タイプは1日1回、舌の下に液状のエキスを滴下(てきか)します。エキスはのみこまず、2分間保ちます。最初の滴下は医療機関で行いますが、それ以降は自宅で行います。
錠剤タイプは、1日1回、錠剤を舌の下に置きます。錠剤はすぐに溶けますが、のみこまず、1分間保ちます。最初の1週間は成分の少ないものを、2週目以降は成分の多いものを服用します。
どちらの場合ものみ込んだあと、5分間はうがいや飲食を控えてください。治療期間は最低2年間で、基本的には長期に安定した効果を得るために3年以上継続することが勧められています。

【治療開始時期】
スギ花粉が飛散している時期には舌下免疫療法は開始できません。体内に取り込むスギ花粉が多くなりすぎて副作用が出やすくなるためです。治療を始める時期は、スギ花粉が飛散していない6月から11月くらいまでです。

【副作用】
2割程度の人に口の中がかゆくなったり、腫れたりする症状がみられますが、ほとんどは軽症で、一時的なものです。

舌下免疫療法

液剤は12歳以上で使えます。錠剤には年齢制限はありませんが、舌の下で薬を保持したり、副作用が現れたときにそれを自分で伝えたりする必要があることから、現実的には5歳以上くらいが対象となります。また、重症のぜんそくがある人は使用できません。重症ではなくてもぜんそくのある人は症状が悪化したり、こう原病などの治療で使われる全身性ステロイド薬を使っている人などは、舌下免疫療法が効きにくいことがあります。
妊娠している人のほか、高血圧などの治療で使われるβ遮断薬やを使っている人も注意が必要です。また、ごくまれに強いアレルギー反応が起こることがあるので、注意や説明をよく聞いて、使用している薬を必ず医師に伝えてください。

舌下免疫療法は、治療を行っている医療機関が限られています。耳鼻咽喉科で、受けることができるかどうかや、実施している医療機関について相談するとよいでしょう。

花粉症治療のギモン③
「効果的な薬の使い方は?」

初期療法で期待される効果

症状が悪化すると薬が効きにくくなるため、効果的に薬を使うためには、「初期療法」が有効です。初期療法は医療機関で行う治療法で、花粉の飛散開始日の予測を目安にして、花粉が本格的に飛ぶ前から薬を使いはじめます。そうすることで、症状が出るのを遅らせたり、ピーク時の症状を抑え、全体の症状を軽くできる可能性があります。

また、即効性のある薬であれば、症状が少し出たところで薬を使い始めても効果的です。初期療法は、花粉症のあるすべての人が対象で、特に、例年強い症状が出ている人に勧められます。

花粉症の薬の選択

医療機関で処方される薬は、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド薬など数多くの種類があります。自分に合う薬に出合うまでに時間がかかる場合もありますが、根気よく治療を続けていきましょう。自分に合う薬を見つけるためにも、受診の際は症状の経過を医師に詳しく伝えてください。

受診しなくても薬局などで購入できる市販薬があります。ただし、花粉症の適切な治療を受けるために医療機関を受診することも大切です。かぜや副鼻くう炎など、花粉症に似た症状が出る病気があるからです。

花粉症治療のギモン④
「薬以外の方法は?」

主にレーザーなどによって鼻の粘膜を焼く手術があります。ただし、手術を受けてもやがて粘膜は再生してしまうため、花粉症を根治することはできません。効果が続くのは1~2年程度とされています。薬を使いたくない人、薬を使っても十分な効果が得られない人などを対象に行われます。

この手術行っている医療機関は限られています。希望する場合は、あらかじめ医療機関に、手術ができるかどうか問い合わせてください。

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詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年1月 号に掲載されています。

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