詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年12月 号に掲載されています。

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高血圧の原因には遺伝的要因と環境要因があります。
遺伝的要因とは生まれつきの体質です。つまり、両親や兄弟・姉妹に高血圧があれば自分も高血圧になりやすいのです。
環境要因とは、食塩のとり過ぎ、肥満、運動不足、ストレス、大量飲酒、喫煙などの生活習慣です。遺伝的要因は自分では変えられませんが、環境要因は自分で変えられます。生活習慣を改めることが高血圧の予防や改善につながるのです。
食塩をとり過ぎると、なぜ血圧が上がるのでしょう。
私たちの体には体内の塩分の濃度を一定に保つ働きがあります。そのため、食塩をとり過ぎて体内に塩分が増えると、体内の水分も増えます。その結果、血液の量が増えることになります(上の図)
ただし通常は、余分な塩分と水分は腎臓から排せつされ、血液の量は正常に戻ります(上の図)
ところが、腎臓の働きが不十分で排せつが追いつかなくなると、血液の量が増えたままになり、血圧が上がります。また、増えた血液をがんばって排せつしようとするため、ますます血圧が上がります(上の図)
食塩によって血圧が上がりやすいことを「食塩感受性が高い」と言います。実は日本人は白人に比べて食塩感受性が高いことがわかっています。しかも日本人は食塩の摂取量が多いため、特に血圧が上がりやすいと言えます。また、食塩感受性は肥満・糖尿病・加齢などによっても高くなるため、注意が必要です。
肥満によって、なぜ血圧が上がるのでしょう。
血圧は自律神経やホルモンによって適切に調節されています。ところが肥満があると、お腹にたまった脂肪細胞から様々な物質が分泌され、それが自律神経やホルモンの働きを乱してしまいます。その結果、血管が必要以上に収縮したり、塩分が必要以上に体内にたまったりして、血圧が上がってしまうのです。
また、肥満の人は食べ過ぎることが多く、それが食塩のとり過ぎにつながって、いっそう血圧が上がりやすいと考えられます。
運動は余分な塩分を排せつする働きを高めますが、運動不足だと、それが不十分になり血圧が上がってしまいます。
ストレスによって緊張や不安を感じると、血管が収縮して血圧が上がります。
アルコールは、飲んだ直後には血管が広がって血圧が下がりますが、アルコールがさめた翌朝などに血圧が上がります。また、大量に飲む人は長年のうちに血圧が高くなってきます。
たばこは1本吸うたびに血圧の上昇が15分程度続くとされています。喫煙は脳卒中や心筋梗塞の直接のリスクでもあり、禁煙がすすめられます。
さらに、高血圧の最大の原因とも言えるのが加齢です。
このグラフは、各年代で高血圧の人がどれくらいの割合かを示しています。年齢とともに増加し、60代では男女とも6割以上、70代では男性8割程度・女性7割程度を占めています。
では、なぜ加齢によって血圧が上がるのでしょう。
若い時期には血管はしなやかなので、勢いよく流れてくる血液に対し血管の壁がクッションになり、血圧は上がりにくいのです。ところが、加齢とともに血管の壁はしなやかさを失って硬くなります。血管の壁が硬ければ、血液はそのまま勢いよくぶつかり血圧は高くなります。ちょうどホースが古くなって硬くなり膨らまなくなったようなものです。
高血圧の大半は、ここまでに挙げた遺伝的要因、環境要因、加齢が重なって起こります。しかしそれとは別に、ほかの病気が原因で起こる高血圧もあり「二次性高血圧」と呼ばれています。二次性高血圧の原因には、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、さまざまな腎臓病などがあります。
原発性アルドステロン症は、副腎から分泌されて血圧を上げるアルドステロンというホルモンが、異常に多く分泌される病気です。重症の高血圧になりやすく、脳卒中や心筋梗塞のリスクも特に高まります。
高血圧の患者さんの1割程度は二次性高血圧だと言われています。特に、薬を3種類以上使っても血圧が十分に下がらない場合は、二次性高血圧が疑われます。高血圧に詳しい医師に相談することをおすすめします。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年12月 号に掲載されています。