詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年9月号に詳しく掲載されています。

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肺がんの最大の危険因子はなんと言っても「喫煙」です。そのほかにも、「有害化学物質」や「大気汚染」などによる環境因子が関係したり、最近では「女性ホルモン」の影響も示唆されたりしています。
研究によると、非喫煙者に比べて、喫煙者が肺がんになるリスクは、男性で4.4倍、女性で2.8倍と高くなります。
また、たばこを吸わなければ、男性の肺がん患者の68%が発症せずに済むと考えられています。それほど、たばこは肺がんのリスクを高める要因となっているのです。
たばこには「受動喫煙」による害もあります。受動喫煙とは、自分の意思とは関係なく煙を吸い込んでしまうことで、喫煙者の配慮が不足することによって起こります。受動喫煙による肺がん死亡のリスクは、受動喫煙の機会がない人と比べて、1.19倍になると報告されています。
アスベストなどの「有害化学物質」や、PM2.5による「大気汚染」も肺がんの原因になることがあります。
PM2.5とは粒の直径が2.5マイクロメートル以下の粒子を意味します。この粒子には有害な化学物質や発がん性物質を多く含んでおり、長期間吸引し続けると気管支の異常や肺がんの発症リスクが高まってしまいます。PM2.5が濃い場所で生活するのは、24時間喫煙をしているのとほぼ同じといわれています。
まだよく分かっていない部分もありますが、女性ホルモンの一種「エストロゲン」が、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、がん化を促進したりすることにより、肺がんの発生に関わると考えられています。
肺がんの予防には、肺がんにならないように努める「1次予防」と、定期的に検診を受けて早期に発見する「2次予防」があります。
肺がんの予防で最も大切なのは禁煙です。禁煙をしてから10年たつと、肺がんのリスクが喫煙者と比べて約半分になります。
また、禁煙は、脳卒中・心筋梗塞・高血圧・動脈硬化などの予防にもつながります。
PM2.5を大量に吸い込まないことも大切です。濃度の高い場所では、市販のマスクを使って、大量に吸い込まないようにすることが大切です。また、外出後は顔や手、衣服についたPM2.5を吸い込んでしまうのを防ぐため、うがい・手洗いのほか、衣服を着替えるようにしましょう。
PM2.5の拡散予想2次予防は、胸部X線検査、喀痰(かくたん)細胞診、CT検査が代表的なものです。40歳を超えたら、年に1回は胸部X線検査を受け、さらに50歳以上で喫煙習慣のある人は、喀痰細胞診を受けることが大切です。
CT検査には、被ばく量の少ない「低線量CT」があります。「低線量CT」は、通常のCTと比べて画像が鮮明ではないものの、10分の1の線量で検査することができるうえ、影の薄い超早期がんを見つけることもできます。
肺がんを早期発見する検査 詳しくはこちら食品に含まれる「イソフラボン」や「ビタミンC」は、肺がんを予防する効果があると考えられています。
国立がん研究センターの調査によると、たばこを吸わない男性の場合、イソフラボン摂取量が多いほど肺がんの発症リスクが低くなることが判明しています。
イソフラボンの多い大豆食品には、豆腐や納豆のほか、大豆の煮豆、湯葉、豆乳、おからなどがあります。
たばこを吸うと、体内に活性酸素が発生し、その処理をするためにビタミンCが大量に消費されます。ビタミンCが消費されてしまうと、活性酸素が増え続けます。活性酸素は体を老化させてしまいますので、がんなどの病気にもなりやすくなります。従って、ビタミンCを摂取すると、がんが発症しにくくなるといえます。
ビタミンCは、緑黄色野菜、レモン、アセロラ、赤ピーマン、パセリ、モロヘイヤ、ブロッコリー、いちご、キウイなどに多く含まれています。
ただし、緑黄食野菜に多く含まれる「β-カロテン」は、多く摂取すると肺がんのリスクを高めてしまう可能性があるという研究報告もあります。また、ビタミンCだけを大量摂取しても、余分なものは排泄(はいせつ)されてしまうこともわかっています。バランスよく摂取しましょう。
肺がんのQ&Aはこちら詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年9月号に詳しく掲載されています。