膝の痛みに効く薬の効果と副作用、変形性ひざ関節症の治療

更新日

変形性膝関節症ひざ痛足・脚関節

変形性ひざ関節症の薬による治療

変形性ひざ関節症の「薬」

変形性ひざ関節症の薬には「外用薬」「内服薬」「注射薬」があります。

変形性ひざ関節症の「外用薬」

変形性ひざ関節症の「外用薬」

変形性ひざ関節症の外用薬には、「塗り薬」と「貼り薬」があります。
塗り薬には、クリーム状(軟膏)、ゲル状など、さまざまな形状のものがあり、使用感の好みなどによって処方されます。
貼り薬には、湿布があります。湿布は副作用が少なく比較的安全に使える薬です。しかし、医療機関から処方される強力なタイプの湿布は、一度に何枚も使うと血液中の薬の濃度がのみ薬と同程度にまで高くなることがあります。胃腸障害や腎機能障害などの副作用を起こす可能性もあるため、使い方を指示通りに守ることが大切です。この他にオピオイドという強力な鎮痛薬の湿布もあります。

変形性ひざ関節症の「内服薬」

内服薬の種類と特徴

変形性ひざ関節症の「内服薬」

内服薬には、直接ひざに作用し、痛みや炎症を緩和させる「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」と「COX-2選択的阻害薬」、脳に作用することで痛みを抑える「アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)」、強力な痛み止め(鎮痛薬)である「オピオイド」、2016年に保険適用された「デュロキセチン」があります。

デュロキセチンとは

デュロキセチンの働き

デュロキセチンは変形性関節症の治療に使われるようになった比較的新しい薬で、それまでに使用されていた内服薬と働き方が異なります。
体には「痛みを伝える」神経経路と「痛みを和らげる」神経経路があります。デュロキセチンは痛みを和らげる経路の神経伝達物質を増やすことで、痛みを弱める作用を持っています。

それぞれの薬の副作用

変形性ひざ関節症の薬の副作用

「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」は、長期間に渡って使用すると、胃腸障害や腎臓障害、心血管障害が起こることがあります。「COX-2選択的阻害薬」も胃腸障害が起こる場合がありますが、NSAIDsより少ないのが特徴です。また、「アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)」も副作用が比較的少ないのですが、のみすぎると肝機能障害など起こす場合があります。「オピオイド」は、ふらつき・悪心・便秘・めまいなど。「デュロキセチン」の副作用は少し変わっていて、吐き気、眠気、口の渇きなどがあります。

薬による治療の問題点

変形性ひざ関節症の治療の選択肢が増えた一方で、新たな問題も発生しています。

作用機序の異なる薬が使えることで、例えば「NSAIDs」と「デュロキセチン」、あるいは「アセトアミノフェン」と「デュロキセチン」といったように併用が可能になり、複数の薬が処方されるようになりました。
たった一剤増えるだけと思われるかもしれませんが、さらにそれぞれの薬に対する副作用の予防薬も処方されます。こうした「多剤併用」は、薬の作用が必要以上に強く出たり、副作用が出やすくなることもあるため望ましくありません。特に高齢者は糖尿病や高血圧などの持病の薬を服用していることも多いので、注意が必要です。

薬の多剤併用を防ぐために、変形性ひざ関節症の治療においては、まず装具・外用薬などの局所療法から行っていくことが勧められます。また患者さんから医師に対して「薬を大量に服用したくない」といった意思を伝え、内服薬以外の治療法について相談することも大切です。

変形性ひざ関節症の「注射薬」

変形性ひざ関節症の「注射薬」

炎症がひどく、ひざに関節液がたまって痛む場合は、注射器で関節液を抜き、そこへ「ステロイド」や「ヒアルロン酸」を注射します。
「ステロイド」は痛みを急速に抑える効果が期待できますが、繰り返し使うと関節の骨や軟骨に悪影響があるという報告があります。年に何度も繰り返して行うことは一般的に推奨されていません。
「ヒアルロン酸」は、関節の動きを滑らかにし、痛みを和らげる効果があるとされています。ヒアルロン酸は関節液がたまっていない場合にも行うことができます。ヒアルロン酸は、ステロイドに比べると効き始めに時間がかかるのですが、痛みの症状を長く緩和し続けてくれる(数か月)と言われています。

変形性ひざ関節症の手術による治療

手術を行った方がよいと判断される場合

変形性ひざ関節症の治療

変形性ひざ関節症の治療の中で基本となるのは運動療法です。運動で痛みがある場合は、装具を使ったり、薬物治療を併用します。このような保存療法を3か月から6か月程度行い、それでも効果がなく、痛みが強い、そして活動範囲が狭くなってしまっている場合は、手術を検討します。自身のライフスタイルで「これだけは続けたい、けれどもひざの痛みでそれがかなわない」といった場合にも、手術による治療が考えられます。

痛みの少ない手術が普及

最近では、術後の痛みが少ない術式が普及しています。全身麻酔だけでなく神経ブロック、あるいはひざ関節の中に鎮痛薬を混合して使う方法です。
手術には、「骨切り術」「人工関節置換術」の2つがあります。

変形性ひざ関節症の手術

「変形性ひざ関節症の手術」についてはこちら

手術ができないケース

場合によっては、手術ができないケースもあります。脚にまひがある人は、術後にひざの痛みが改善したとしても脚を動かすことができないため、手術の対象となりません。また、重度の認知症の人も術後のリハビリが難しいため手術は行いません。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    ひざ痛 改善の極意「薬と手術」