2つの検査でナルコレプシーを診断~PSGとMSLT~


ナルコレプシーの検査は、夜間から翌日夕方頃までかけて検査を行うため、最低1泊の入院が必要です。検査では "とにかく眠る"ことで、睡眠の状態を調べます。ナルコレプシーには、睡眠中にも現れやすい特徴があります。
ナルコレプシーを診断する検査は、主に2つあります。
1つ目は、「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」。夜間の睡眠状態を評価する精密検査です。この検査では、睡眠中のさまざまな生体情報を同時に記録することができます。
2つ目は、「反復睡眠潜時検査(MSLT)」。日中の眠気を評価する精密検査です。通常、PSGを施行した翌日に4~5回行います。脳波・あごの筋肉、顎筋電図・眼球運動の測定を行い、「入眠までの時間」の測定と、「レム睡眠の出現の有無」を測定します。
健康な人の場合、眠りにつくまでの時間の平均は8分以上ですが、ナルコレプシー患者の場合は数分以下と、有意に早いのが特徴です。また健康な人では、入眠直後の寝入りばなには、眠りの浅い「レム睡眠」は観察されませんが、ナルコレプシー患者の場合は現れやすくなっています。またナルコレプシー患者では、眠っている間にもレム睡眠が多く、途中で目が覚める「中途覚醒」が起こりやすいことも特徴です。
「薬」と「生活改善」で症状を改善!治療は続けることが大切

残念ながら、ナルコレプシーの根治的な治療は現時点では存在しません。しかし、対症的な治療を続けることで、強い眠気などの症状を改善することができます。治療は「薬」と「生活習慣の見直し」です。
【薬】現れる症状によって選択が異なる

ナルコレプシーの薬には、主に「中枢神経刺激薬」 と「三環系抗うつ薬」の2つがあります。
ナルコレプシーの特徴的な症状のひとつに、日中の耐え難い強い眠気と居眠り(睡眠発作)があります。
「睡眠発作」がある人は、中枢神経刺激薬 「モダフィニル」を服用します。モダフィニルは朝1回のんで、効果は約12時間続きます。副作用は、投与初期に頭痛が生じることが比較的多く、次いで動悸(どうき)、吐き気、食欲低下などが起きることがあります。どの症状も次第に軽くなる場合が多いといわれています。
「睡眠発作」に加え、強い感情的な刺激によって起こる「情動脱力発作」がある人は、モダフィニルのほかに、少量の三環系抗うつ薬「クロミプラミン」を1日1回服用します。クロミプラミンの主な副作用は、便秘・口の渇き・目のかすみ。最初は少量から開始して、1~2週間かけて徐々に用量を増やすことで、副作用を軽減することができます。
生活習慣の見直し 4か条~積極的に睡眠をとることで症状軽減

ナルコレプシーの治療では、「生活習慣の見直し」も非常に大切です。症状を和らげるには、次の4か条を意識しましょう。
- 十分な夜間睡眠をとり、規則的な生活を心がける
- 昼休みなどに積極的に短時間の昼寝をする
- 可能であれば、数時間に1回ずつ計画的に15分程度の昼寝をする
- カフェインを適宜摂取してもよい