【バセドウ病・橋本病】女性に多く気づきにくい甲状腺ホルモンの病気

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ホルモンとは

ホルモンの由来と働き

ホルモンは、「hormaein」(ホルメイン)という、「呼び覚ます・刺激する」という意味のギリシャ語が由来となっています。
内分泌腺という器官から血中に分泌されるホルモンは、全身の臓器や器官を調節する働きがある、私たちの体や心を健やかに保つために欠かせない物質です。

脳にある下垂体からは成長ホルモン、プロラクチン、バソプレシン、甲状腺からは甲状腺ホルモン、すい臓からはインスリンなどが分泌されるように、ホルモンの種類は多く、実に100種類以上あります。
私たちはホルモンなくしては生きていく事ができませんが、それぞれ、多すぎても少なすぎても病気の原因になってしまいます。

甲状腺ホルモンとは

甲状腺ホルモンの働きと甲状腺ホルモンの代表的な病気

甲状腺は喉仏の下辺りにある器官で蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺ホルモンは、その甲状腺から分泌されるホルモンで、いわば"体を元気にするホルモン"です。新陳代謝を活発にしたり、交感神経や心臓などの活動を高めたり、汗や脈拍を調節するなどの働きがあります。
甲状腺ホルモンの分泌量は、多すぎても少なすぎても問題になります。甲状腺ホルモンが過剰になる病気の代表がバセドウ病で、少なくなる病気の代表が橋本病です。

甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病

甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病は、甲状腺機能亢進[こうしん]症の1つで、自己免疫疾患です。バセドウ病は200人~300人に1人発症すると言われています。男性も発症しますが、女性に多く発症するのが特徴で、特に20~40歳代の女性に多く見られます。
甲状腺ホルモンに関わる病気は、更年期や加齢の症状と似ているので、見逃さないよう注意が必要です。

バセドウ病の主な症状

バセドウ病の主な症状

「動悸(き)、息切れ」「疲れやすい」「暑がり、汗をかく」「イライラして落ち着かない」「食欲はあるのに体重減少」「手足の震え」「眼球の突出」「首の腫れ」などの症状があります。

バセドウ病で首が腫れている画像

首の腫れに関しては、上記の画像のように甲状腺が全体に腫れることがあります。非常に弾力がありますが、痛みは特にありません。目が大きくなる症状は、目の奥にある筋肉や脂肪に炎症がおき、腫れて目が前に押し出されることよって現れます。ただし、目の症状が現れる方は3人に1人ぐらいですので、全ての人に現れるわけではありません。

バセドウ病の検査方法

バセドウ病の検査の甲状腺シンチグラフィーの説明イラスト

バセドウ病の症状が疑われたら、まず内科を受診してください。症状と血液検査からほぼ診断がつきます。

血液検査以外では、ほかの甲状腺の病気との鑑別のために行われる、甲状腺シンチグラフィーという検査があります。甲状腺シンチグラフィーは、甲状腺ホルモンの原料であるヨウ素が甲状腺にどれくらい集まっているのかを調べる画像検査です。バセドウ病では大量の甲状腺ホルモンが作られますので、発症している場合は甲状腺が大きく黒く映し出されます。

バセドウ病の治療法

バセドウ病の治療の3本柱

バセドウ病の治療は「抗甲状腺薬」「放射性カプセル」「手術」の3つです。
このうち8割の患者さんに抗甲状腺薬を使用します。抗甲状腺薬は甲状腺のホルモンを作ることを抑える薬で、きちんと服用することで、約4割の方は治療することができます。ただし、バセドウ病は慢性の病気ですので、1年以上は服用することになります。

甲状腺が非常に大きい場合や若くて妊娠を望む時などは、手術を選択することもあります。手術は甲状腺を摘出しますので、確実な治療法です。ただ、首に手術のあとが残ってしまうために、治療法としては約1%程度しか行われていません。

放射性カプセルによる治療の説明イラスト

放射性カプセルは、ヨウ素131という放射性物質が入ったカプセルを服用する治療法です。体に吸収されたヨウ素131のほとんどが甲状腺に取り込まれ、甲状腺の細胞を壊します。

微量の放射線を出し続けて効果が持続しますので、基本的に放射性カプセルを服用するのは1回だけです。放出される放射性物質は非常に微量ですので、発がんのリスクはほとんどありません。しかし、赤ちゃんや小さな子どもは放射能に対して非常に感受性が高いため、放射性カプセルを服用した時は赤ちゃんや小さな子どもを抱くことや人混みの中に出かけることは控えることが必要です。

服用から1年以上経過すれば、放射能は身体からなくなっていくので、その後は普通に生活して問題ありません。

放射性カプセルを服用する際の注意点

ヨウ素を多く含む食品の一覧図

放射性カプセルを服用する時は、ヨウ素を多く含む食品を食べないようにする必要があります。微量でも摂取してしまうと、放射能が甲状腺に吸収されなくなってしまうからです。

ヨウ素が多く含まれる食品は、海藻類、昆布エキスの含まれる調味料、昆布加工品などです。控える期間はカプセルを服用する1週間前から、服用後の数日です。また、抗甲状腺カプセルを服用した後に、甲状腺ホルモンが低下する場合があり、その場合は、甲状腺ホルモンを服用することで正常に保つようにしていきます。

甲状腺ホルモンが低下する橋本病

橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起こる病気で、自己免疫疾患の1つです。バセドウ病と同様に男性よりも女性に多く発症する病気で、成人女性の10人~20人に1人と言われています。中でも、特に40歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。

橋本病の主な症状

橋本病の主な症状

橋本病は甲状腺ホルモンの分泌量が低下するために、新陳代謝が衰えて元気がなくなったり、神経や臓器の機能が低下したりします。

その他、症状には、「むくみ、しわがれ声」「皮膚の乾燥」「寒がり、体が冷たい」「無気力、疲れやすい、うつ症状」「食欲はないのに体重増加」「首の腫れ」「コレステロール値が高くなる」などがあります。自分で気づくのは難しい病気ですが、これらの症状が3つ以上ある場合は、内科を受診することが勧められます。

橋本病の治療法

橋本病の治療法の説明イラスト

橋本病は甲状腺ホルモンが少なくなる病気なので、薬を服用して甲状腺ホルモンを補充するのが治療の基本になります。慢性疾患であるため、薬を一生続けることが多くなります。ただし、甲状腺ホルモンはもともと体内にあるホルモンですので、一生服用しても副作用はほとんどありません。

また、治療する際はヨウ素の制限を行うことも必要です。ヨウ素を多くとると甲状腺の機能が低下してしまうことがあるため、海藻類などを大量にとることは控えましょう。ただし、厳密なものではないので少量をとるぐらいであれば影響はほとんどなく、状況によっては甲状腺ホルモンの薬の量を調節することも可能です。

妊娠を希望する方や高血糖の方は橋本病の治療が必要

橋本病の治療が勧められる方の条件

甲状腺ホルモンが少ないことが不妊や流産の原因になることもあるので、妊娠を希望される女性の方は甲状腺ホルモンのコントロールが重要になります。また、LDLコレレステロールが高い方も治療を受けることが必要です。

甲状腺ホルモンの病気は更年期症状と似ている

甲状腺ホルモンの病気は、更年期症状と非常に似ているために、見逃されやすい病気ですが、甲状腺ホルモンの病気は適切に治療することによって、症状を抑えて、正常に生活を送ることができるようになります。

疑わしい症状がある場合は、内科を受診するようにしましょう。特に40歳以上の女性に多い病気ですので、該当する方は数年に1度でも良いので血液検査を受けることが勧められます。