子どもや若者に多い「マイコプラズマ肺炎」に注意!その症状と治療法

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子どもや若者に多いマイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎は、ほかの肺炎と異なり、患者さんの多くが子どもや若い人で、重い持病などがない健康な人たちです。
原因は、マイコプラズマという細菌の感染ですが、感染しても軽度で済むことが多く、自然に治ったり外来治療でよくなったりします。ただし中には重症化することがあり、呼吸困難を起こして長期入院したり、人工呼吸器がないと生活できなくなるケースもあります。また、ほかの肺炎で良く使われる抗生物質(抗菌薬)が効きませんので、注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎の感染の仕組み

マイコプラズマ肺炎の感染の仕組み

マイコプラズマ肺炎は、かぜと同じように、発症した人のせきのしぶきを吸い込んだり、しぶきのついた手で鼻や口を触ったりすることで感染します。感染力はかぜほど強くはなく、学校などで広がる可能性は高くありません。ただ、家庭内で感染することは多く、接触する機会の多い幼い子どもと母親が共に感染するケースがよくみられます。感染を予防するためには、かぜと同様、手洗いやうがいをしっかり行い、発症した人はマスクをして、せきエチケットを守ることが大切です。

マイコプラズマ肺炎の症状と受診の目安

マイコプラズマによる症状

感染すると、通常は2~3週間の潜伏期間のあとに、気管支炎を発症します。まず現れる症状は、発熱、頭痛、全身のだるさなどです。せきは、それから数日遅れて始まることが多く、熱が下がったあとも数週間続きます。急性期には約40%の人に、息をするときぜんそくのように「ゼーゼーヒューヒュー」という音がします。

多くの人は肺炎に至る前に回復しますが、一部の人は肺炎を起こし、その場合は症状が長引いたり、重症化したりすることがあります。たとえ重症化しなくても、マイコプラズマ肺炎を起こした人は病歴がない人と比べて、その後の肺機能が低下すると考えられています。こうしたことからも、発症後は早く治療を受けることが大切です。

マイコプラズマ肺炎 受診の目安

マイコプラズマ肺炎を疑って受診する目安は、60歳未満であること、特に持病がないか、あっても軽い、強いせきが2~3週間以上続く、たんが出ないことの4つです。これらの項目すべてに当てはまる場合は、呼吸内科など専門医のいる医療機関を受診することがすすめられます。

マイコプラズマ肺炎の診断

マイコプラズマ肺炎を推定する要因

マイコプラズマ肺炎では、他の肺炎で使われる抗生物質(抗菌薬)が効かないため、迅速で的確な診断が重要です。
まず、長引くせきなどがあって肺炎が疑われる場合、問診、視診、胸部聴診が行われます。その結果、やはり肺炎が疑われるときは、血液検査と胸部エックス線検査が行われます。血液検査では、炎症反応の有無や白血球の数などを調べます。炎症反応があり、エックス線で肺に白い影が見られれば、肺炎と診断されます。

マイコプラズマ肺炎は、多くの場合、左右両方の肺に影が写ります。ただし、それだけではマイコプラズマ肺炎かどうかは判断できません。そのため、一般的には、年齢が乳幼児から比較的若い範囲である、せきが長引いている、白血球が増えていない、両方の肺に影があるといった特徴がそろっている場合に、マイコプラズマ肺炎を想定して早めに治療を始めます。

迅速診断が可能なマイコプラズマ抗原検査

マイコプラズマ抗原検査
マイコプラズマ抗原検査

従来は、マイコプラズマ肺炎を特定する検査は日数がかかったため一般的ではありませんでしたが、最近では簡便に診断できる検査が開発され、受けられる医療機関が増えています。「マイコプラズマ抗原検査」は、綿棒でのどの奥の粘膜をぬぐい、それを溶かした液体をプレートに垂らすと、マイコプラズマ肺炎かどうかを判定できます。検査から判定までにかかる時間は30分ほどです。

マイコプラズマ肺炎の治療

マイコプラズマ肺炎の治療

マイコプラズマ肺炎の可能性が高い場合には、そのほか多くの肺炎とは異なる抗生物質(抗菌薬)で治療が行われます。多くの肺炎では、ペニシリン系の薬が第一選択薬となりますが、マイコプラズマ肺炎には効きません。マイコプラズマ肺炎に対しては、マクロライド系の薬のエリスロマイシンやクラリスロマイシンののみ薬が第一選択薬として使われます。多くの場合効果があり、使用開始から2~3日で熱が下がります。

マクロライド系の薬が効かない場合、肺炎球菌などそのほかの肺炎の病原微生物の関与について疑い、調べる必要があります。そうした可能性が除外された場合は、マクロライド系の薬が効かない「耐性菌」によるマイコプラズマ肺炎が考えられます。その場合は、第二選択薬であるキノロン系やテトラサイクリン系ののみ薬を使用します。ただし、子どもの場合、テトラサイクリン系の薬は、骨や歯の発育に影響することがあるため、8歳未満の場合は原則として使用しません。
重症化した場合は入院して、テトラサイクリン系の注射薬による治療を受けます。呼吸困難を起こした場合は、副腎皮質ステロイドの点滴が行われます。

肺炎全般についてはこちらアレルギー性の肺炎(過敏性肺炎)についてはこちらQ&A「肺炎」はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年1月号に詳しく掲載されています。

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