変性すべり症とは

「変性すべり症」は、「椎骨」が本来の場所から3mm以上ずれている状態をいいます。前方にずれたものは「前方すべり症」、後方にずれたものは「後方すべり症」と呼ばれますが、ほとんどが「前方すべり症」です。椎骨がずれるため、ずれた部分を中心に腰椎の形が崩れ、神経の束「馬尾」を圧迫します。
「加齢」や「女性ホルモンの減少」が原因となり、椎間板の水分含量が低下したり、背骨の後方の椎骨と椎骨が連結する場所椎間関節が肥厚して大きくなったりして、背骨が不安定になるために起こります。
変性すべり症の症状


症状としては、「腰の痛み・しびれ」、「両脚の痛み・しびれ」、尿もれや頻尿などの「排尿障害」、進行すると「歩行困難」などが現れます。特に疲れた時に、これらの症状が強くなることが多くみられます。また、ある程度の距離を歩くと、脚に痛みやしびれが出て歩けなくなり、しばらく休むと症状が消えて再び歩けるようになる「間欠跛(は)行」の症状が現れるのも特徴です。
変性すべり症の治療


「変性すべり症」の治療には、主に「薬」と「手術」があります。
薬は、「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」、「アセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬」、「プレガバリン(神経障害性疼〔とう〕痛治療薬)」などが使われます。また、痛みが強い場合は、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす「神経ブロック」が行われることがあります。
手術には2つの方法があります。1つ目は「除圧術」です。麻酔をした後、背中の皮膚を縦に切開して圧迫部分の背骨などを切除します。そうすることで、馬尾や神経根への圧迫を取り除くことができます。2つ目は「固定術」です。脊椎が不安定だと、除圧だけでは再発の可能性があるとして、除圧術に加えて、脊椎の「固定術」を行うこともあります。変性した椎間板の一部を摘出し、摘出した箇所に自分の骨や、人工物を移植した後、チタン製のスクリューとロッドで固定します。