動脈硬化で起こる心筋梗塞

心筋梗塞は動脈硬化によって心臓の冠動脈が詰まって起こります。激しい発作に襲われ突然死することもある病気です。同じく動脈硬化で冠動脈が狭くなるのが狭心症です。
この心筋梗塞・狭心症を今後10年間に発症する確率が、コレステロールや血圧、血糖の検査値などから予測できるようになりました。
※日本動脈硬化学会のホームページには、発症率を計算するアプリ(2022年版動脈硬化性疾患予防ガイドラインに基づく)が公開されています。
以下は放送当時(2019年)のアプリを使って発症率を計算した例です。
60歳男性Aさんの心筋梗塞・狭心症の発症率は?

たとえば60歳の男性Aさん。
悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは150mg/dL。善玉と呼ばれるHDLコレステロールは50mg/dL。血圧は上が140mmHg、下が90mmHg。空腹時血糖値は120mg/dLで糖尿病予備群です。またAさんは喫煙しています。このAさんが10年以内に心筋梗塞・狭心症を発症する確率を計算すると、17%にもなります。
Bさんに比べ心筋梗塞・狭心症へのリスクは30倍!

同じ60歳男性でも、Bさんは、LDLコレステロールは90、HDLコレステロールは70、血圧は110と70、血糖値は正常、喫煙はしていません。Bさんの発症率を計算すると0.5%。つまり、AさんはBさんに比べ心筋梗塞・狭心症を30倍以上も起こしやすいのです。
Aさんは、ひとつひとつの値はそれほど高くないものの、少しずつのリスクが積み重なって心筋梗塞・狭心症の発症率を高めているのです。
ひとつでも減らせば心筋梗塞・狭心症の発症率は低くなる

しかし、Aさんも生活習慣の改善や薬による治療で数値などを改善すれば、発症率は低くなります。
LDLコレステロールが120まで下がれば発症率は11%。血糖値も正常になれば6.6%。さらに禁煙を継続すれば4.2%です。動脈硬化とそれによる心筋梗塞などの病気は、自己管理によってリスクをひとつでもふたつでも減らせば、予防できるということです。