てんかんとは
てんかんは、およそ100人に1人がかかると言われていて、多くの患者さんがいます。子どもの時に発症することが多く、てんかん発作が続くと脳の発達が妨げられてしまうので、少しでも早く診断して、適切な治療を開始することが重要です。
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てんかんは、およそ100人に1人がかかると言われていて、多くの患者さんがいます。子どもの時に発症することが多く、てんかん発作が続くと脳の発達が妨げられてしまうので、少しでも早く診断して、適切な治療を開始することが重要です。
てんかんは、突然、脳が興奮しててんかん発作が起きる病気で、手足がひきつったり、意識がなくなるなど、さまざまな症状が起こります。子どものてんかん発作は大きく2つのタイプに分けられます。ひとつは脳の一部から起きる「部分発作」、もうひとつは脳全体から起きる「全般発作」です。部分発作には手足がひきつったり、首や目が勝手に動く運動発作、光が見えたり、音が聞こえる、手がしびれたりする感覚発作、吐き気や頭痛が起きる自律神経発作などがあります。全般発作には突然意識がなくなる欠神[けっしん]発作、全身が硬直する強直[きょうちょく]発作、全身の筋肉に力が入らなくなる脱力発作などがあります。
てんかんを診断する上で重要な検査としては「脳波検査」とMRI・CTなどの「画像検査」があります。脳波検査では頭全体に電極をつけて脳波を調べ、脳の異常な興奮を記録します。一方、画像検査では脳の異常な興奮を引き起こす傷や形成不全、障害などがないかどうかを調べます。また、脳波測定と同時にビデオ撮影を行って、発作を起こしたときの意識や様子、どんなときに起きるのかなど詳しく調べる「長時間ビデオ脳波モニタリング」があります。
てんかん治療の基本は抗てんかん薬による薬物療法です。抗てんかん薬を服用することでおよそ7割の患者さんが発作を起こらなくすることができます。ただし、抗てんかん薬は、中枢神経を抑制するため、眠気やふらつきなどの副作用が現れやすく、1種類の抗てんかん薬を少量から開始します。
部分発作ではカルバマゼピンを最初に使い、十分に発作をコントロールできない場合にはバルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、レベチラセタム、クロバザムなどの抗てんかん薬に変更します。
一方、全般発作ではまず最初にバルプロ酸ナトリウムが使い、十分な効果が出ない場合にはラモトリギン、レベチラセタム、クロバザムなどの抗てんかん薬を併用します。ただし、全般発作で欠神発作や脱力発作がみられる場合にはカルバマゼピンは使用しません。
また、てんかん発作が起こっているときに発作を抑えるには、部分発作でも全般発作でもジアゼパム(座薬・内服薬)を使用します。
抗てんかん薬で発作が抑えられない場合を難治性てんかんといい、全般発作の場合には、幼児期~小学校低学年までは抗てんかん薬に加えてケトン食療法を検討します。部分発作の場合には、幼児~中学生までは手術を検討します。
ケトン食療法とは、バター・マヨネーズ・卵など脂肪の多いものを増やします。炭水化物とたんぱく質を合わせて1に対して脂肪を3~4の割合にする食事療法です。
難治性てんかんの部分発作で行われる手術としては、主にてんかん焦点切除術と選択的海馬扁桃核切除術があります。てんかん焦点切除術では、脳の形成異常があるところなど、てんかんの過剰興奮が起きる場所を手術で切除します。
選択的海馬扁桃核切除術は、脳の側頭葉が原因の部分発作のてんかんに行われる手術で、脳の片側の扁桃核や海馬を取り除きます。