eGFRの値が低い理由、症状を改善する方法をステージ別に解説

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慢性腎臓病(CKD)腎不全体がだるいむくんでいる食欲がない腎臓循環器・血管

慢性腎臓病のステージとは

慢性腎臓病の治療は病気の重症度によって変わります。失われた腎臓機能は元に戻らないので、治療の目的は「進行を食い止め、遅らせる」「症状の改善」となります。
慢性腎臓病のステージは重症度を表すもので、老廃物を1分間にろ過できる量を示すeGFR(推算糸球体ろ過量)の値で分けられます。ステージはG1~ステージG5の5段階に分かれ、ステージG3はG3aとG3bの2つに分かれます。eGFRの値が低いほどステージが進み、腎臓の機能が低下していることになります。

ステージG1、G2の治療

ステージG1、G2の治療

ステージG1(eGFR90以上)では腎臓はほぼ健康といえますが、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病がある人はその治療をきちんと行います。
ステージG2(eGFR60~89)の段階では生活習慣の改善を行うことで、慢性腎臓病の進行を食い止めたり、遅らせたりすることができます。「喫煙」している人は禁煙しましょう。「暴飲・暴食」「運動不足」「不規則な生活」などがある場合は改善が必要です。「過剰なストレス」を避けることも大切です。

ステージG3、G4の治療

ステージG3、G4の治療

ステージG3(eGFR30~59)やG4(eGFR15~29)の段階では、腎臓の機能がかなり低下しているため、「疲れやすい」「血圧が高くなる」「尿が泡立つ」「夜、何度もトイレに行く」「貧血」「むくみ」などの自覚症状が現れます。生活習慣の改善に加えて、「食事療法」や「薬物療法」が必要になってきます。

ステージG3、G4の食事療法

「食塩」、「たんぱく質」、「カリウム」、「リン」の制限が必要です。
食塩のとり過ぎは高血圧につながるため、1日3g以上6g未満にします。
たんぱく質は体内で分解されて老廃物となり、ろ過する腎臓の負担を増やすため、摂取を制限します。たんぱく質の1日の摂取目標は、ステージG3aの場合、標準体重(身長m×身長m×22)1kg当たり、0.8~1.0g、ステージG3b以上の場合は、標準体重1kg当たり0.6~0.8gです。
カリウムは、慢性腎臓病が進行すると尿から排出されにくくなるため、ステージG3bの場合で1日2000mg未満、ステージG4では1日1500mg未満に制限します。
リンはたんぱく質を制限すれば自然と制限されるミネラルの1種ですが、最近はリンが含まれている食品添加物が増えているので、加工食品にも注意が必要です。

薬物療法

ステージG3以上で使われる主な薬は、降圧薬、利尿薬、経口吸着炭製剤、カリウム吸着剤、リン吸着剤、ホルモン製剤などです。

ステージG5の治療

ステージG5の場合には、腎不全の状態に陥り、腎臓が自力でろ過することができなくなっています。そのため、透析治療腎臓の移植が必要となってきます

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    新たな国民病 慢性腎臓病「ステージ別の治療」