緑内障になると、最初は視野の一部が欠け、徐々に欠けた部分が増えて視野が狭くなります。急に暗闇が出現するのではなく、初期は「一部分が少しかすむ」という程度から始まります。中期には「もやが徐々に広がる」ようになり、後期になると「霧の中にいるようにぼんやりする」という見え方になります。
欠けた視野は元に戻すことができず、治療が遅れると失明に至る場合もあります。
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緑内障の原因
私たちがものを見ることができるのは、光が眼球を通して網膜に届き、視神経を経て脳に伝わるからです。緑内障は、眼圧によって視神経が障害されることで起こります。
眼圧は、眼球が形を保つために必要な圧力で、目の中の水分である「房水」によって調整されています。房水は、水晶体を支えている組織で作られ、角膜の隅にある出口「隅角」から流れ出ていくことで、常に一定の眼圧がかかるような仕組みになっています。しかし、隅角が詰まったり閉じたりすると、房水が流れにくくなり、眼圧が上がって、視神経の出口(視神経乳頭)が圧迫されます。そのため、情報が脳に伝達されにくくなり、見えにくくなります。
緑内障3つのタイプ
緑内障には次の3つのタイプがあります。
1.隅角が閉じていて眼圧が高いタイプ
2.隅角は開いているが、隅角付近の組織が目詰まりを起こし房水が流れにくくなっているため、眼圧が高いタイプ
3.隅角が開いていて眼圧が正常なタイプ
実は、日本人の緑内障の7割ほどを占めているのが、3の隅角が開いていて眼圧が正常なタイプです。眼圧が正常範囲にあっても、その人の視神経にとっては、障害されるには十分高い眼圧だったということです。眼圧が正常でも緑内障を発症する理由は、明らかにはなっていませんが、神経の出口である視神経乳頭が通常より圧力に弱いのではないかと考えられています。
緑内障の検査
緑内障で欠けた視野は元に戻すことができないため、早く発見して治療を開始することが大切です。緑内障を診断するためには、視力検査、眼圧検査、眼底検査、隅角検査、視野検査が行われます。これらの検査の結果から、総合的に緑内障かどうかを診断します。
健康診断や人間ドックでも、視力や眼圧の検査は行われますが、それだけで緑内障を診断することはできません。視力が低下するのは緑内障がかなり進行した段階であること、日本人の緑内障は眼圧が正常範囲にあることが多いからです。40歳を過ぎたら緑内障を起こしやすくなるので、数年ごとに眼科を受診し、眼底や隅角、視野検査を受けることをお勧めします。
緑内障の治療
緑内障治療の中心は、点眼薬による眼圧を下げる「眼圧下降治療」です。障害された視神経が元に戻ることはありませんが、生涯、視野を保つのに有効であることは確認されています。点眼薬を使用しても、徐々に障害が進むことはありますが、将来の失明を回避できることが多いのです。眼圧が正常なタイプにも、目薬を使うことで進行を抑えることができます。
隅角が詰まったり閉じたりしている場合や、目薬を使っても眼圧が下がらない場合には、レーザー治療や手術を行い、房水を流れやすくして眼圧を下げます。
目薬には、房水を流れやすくする「プロスタグランジン関連薬」と、房水の量を減らす「β遮断薬」「炭酸脱水酵素阻害薬」などがあります。
前者と後者を組み合わせたり、3種類以上を併用する場合があり、最近では配合剤も出ています。複数の目薬をさす場合には、それぞれ5分以上間隔をあけることが必要です。
目薬をさすときには、次の4つのポイントに注意してさしましょう。目薬をうっかりさし忘れないことも大切です。
【点眼薬のさし方のポイント】
- 容器がまつ毛に触れないようにする
- たらすのは一滴
- まばたきをせず、軽く目を閉じる
- 目頭を軽く抑える
緑内障に関する質問
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