変形性股関節症の生活改善 痛みに対処する歩き方や自宅でできる運動

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変形性股関節症の治療

変形性股関節症の治療には、関節の負担を減らす「生活改善」、関節を動きやすくする「運動療法」、炎症を抑える「薬物療法」、症状が進行している場合に行われる「手術療法」の4つが挙げられます。
この記事では生活改善と運動療法のポイントについて解説します。

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生活スタイルの改善

変形性股関節症は、歩く、しゃがむ、立つといった生活動作でかかる負担によって徐々に進行し、悪化します。そのため、日常生活で股関節にかかる負担を可能な限り軽減することが大切です。
例えば、正座をしたりあぐらをかいたりすると、股関節を深く曲げて座る姿勢になるので、股関節に過度の負担がかかります。できるだけ避けることが望ましいです。

生活改善① 洋式の生活

股関節の痛みの対処 洋式の生活

和室での生活スタイルではなく、いすを使い、なるべく洋式の生活にしましょう。足を深く曲げたり、その状態から足を伸ばすといった動作は股関節の軟骨に大きな負担がかかり傷みやすくなります。
洋式トイレやベッドなどを使うことで日常生活での股関節への負担を少なくできます。

生活改善② 歩行時の注意

股関節の痛みの対処法 歩行時の注意点

変形性股関節症の人にとって、股関節に最も負荷がかかるのが、歩行です。歩くときも股関節に負担をかけないようにしましょう。早足で歩くと股関節に負担がかかります。できるだけゆっくり、疲れないペースで歩きましょう。
また、長時間歩くと負担も増すので、10分~15分ほど歩いたら一度休憩を取るようにしたり、痛みがあるときは無理をせず、短い距離でもできるだけ車で移動するようにしましょう。

生活改善③ 荷物の持ち方

重い荷物を持つ、また片手で荷物を持つといった動作も股関節に負担をかけます。荷物はなるべく少なくなるようにして、10kg以内にとどめることを心がけるとよいでしょう。荷物の移動には、カートを利用するのも股関節の負担を減らす効果的な手段です。また、バッグを手に持つよりも、リュックで背負ったほうが股関節の負担を軽減できます。

軽い運動を継続

変形性股関節症には、股関節の周囲の筋肉を軽く鍛える運動がすすめられます。具体的には水中ウォーキング、ウォーキング、サイクリングなどです。運動は継続が大事です。毎日続けることで股関節の痛みが和らぎ、動きも良くなってくることが期待できます。そうすれば家事や仕事も楽になります。反対に、股関節を気にしてまったく運動しないでいると、症状が悪化するおそれがあります。ただし、股関節を傷めるほどの激しい運動は避けてください。

自宅でできる運動

変形性股関節症の人が自宅で簡単にできる運動を紹介します。股関節や腰、脚に痛みが出ないよう無理のない範囲で行ってください。また運動中に強い痛みが出たらすぐに中止してください。

運動① 脚を前に上げる

運動① 脚を前に上げる

  • 仰向けになり、左のひざを曲げる
  • 右のひざは伸ばしたまま 脚をゆっくり30度ぐらい上げていく
  • 3秒止める→下ろす
  • 左右の脚をかえて行う(それぞれ10回ずつ)

太ももの前側にある筋肉(大腿四頭筋)が鍛えられます。それにより脚を前に伸ばすときの股関節の動きがスムーズになります。この筋肉は歩くためにも特に大事です。

運動② 脚を後ろに上げる

脚を後ろに上げる

  • うつ伏せになる
  • 右の脚を後ろにゆっくり10度ぐらい上げる
  • 3秒止める→下ろす
  • 左右の脚をかえて行う(それぞれ10回ずつ)
  • お尻の筋肉(大でん筋)が鍛えられます。それにより脚を後ろに伸ばすときの股関節の動きがスムーズになります。ヒップアップの効果も期待できます。

腹ばいの姿勢がきつい人は、四つんばいになり脚を後ろに伸ばす運動を行ってください。

四つんばいになり脚を後ろに伸ばす運動

運動③ 脚を外に開く

脚を外に開く

  • 横向きに寝て上体を少し起こし、左のひざを曲げる
  • 右脚を横にゆっくり30度ぐらい上げていく
  • 3秒止める→下ろす
  • 左右をかえて行う(それぞれ10回ずつ)

腰の横の筋肉が鍛えられます。それにより脚を外に広げるときの股関節の動きがスムーズになります。

運動④ 脚を内に閉じる

脚を内に閉じる

  • 仰向けになり、柔らかいボールをひざの間にはさむ
  • ボールを押しながらゆっくり脚を閉じる
  • 3秒止める→力を抜く(10回繰り返す)

太ももの内側の筋肉が鍛えられます。それにより脚を内側に閉じるときの股関節の動きが、スムーズになります。ボールのかわりに枕や大きめのタオルを丸めてはさんでもかまいません。

これらの運動で「脚を前に出す・後ろに出す・脚を開く・閉じる」という股関節の重要な4つの動きがトレーニングできます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年4月 号に掲載されています。

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この記事は以下の番組から作成しています

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