子どもの糖尿病 正しく理解!

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糖尿病のイメージ

糖尿病の考え方は近年、大きく変わってきています。「成人病」から「生活習慣病」という呼び方に変わりましたが、この呼び方も正しくないのではと議論されています。また、「中高年の男性の病気」「肥満の人がかかる病気」「生活習慣の乱れが原因でかかる病気」「尿から糖分が出る病気といったイメージも必ずしも正しくありません。糖尿病は中高年の男性だけでなく、女性や若者、子どももかかる病気で、太っている人だけでなく、やせている人でもかかることがあります。また、生活習慣とは関係のないタイプの糖尿病もあります。重症になると尿に糖分が出ますが、軽症では尿糖が出ない場合もあります。

糖尿病のイメージ

そもそも糖尿病とは血液中のブドウ糖の濃度が高くなり過ぎる病気です。その状態が続くと体中の血管が傷つきさまざまな合併症につながります。3大合併症と言われるのは「神経障害」「網膜症」「腎症」です。最近の研究では、歯周病やがん、認知症のリスクが高くなることもわかってきました。
また、糖尿病には主に2つのタイプがあります。1型糖尿病は、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンをつくる細胞が、免疫の異常などによって壊れてしまうタイプ。
2型は、インスリンが不足したり、効き方が悪くなったりするタイプ。肥満や過食、運動不足、遺伝因子などが関係していて、中高年が特に気をつけたいタイプの糖尿病です。

子どもに多い1型糖尿病

10歳未満の子どもが発症する場合、多くは1型糖尿病です。自分の体を守るはずの免疫が暴走してインスリンを作る細胞を攻撃するため、その細胞が減少し、インスリンを作れなくなってしまいます。ある遺伝的因子をもっている人が、ウイルス感染などを引き金に発症する場合があるということなどがわかっていますが、その詳細に関してはよくわかっていないというのが現状です。
1型糖尿病になった子どもたちは、インスリンを作る細胞がなくなってしまうので、定期的にインスリン注射をする必要があります。1日4〜5回、自分で食事の量に合わせてインスリンの量を設定し、注射を行います。この注射を行わないと重篤な状態になり、命にかかわるケースもあります。

インスリン注射

子どもの糖尿病に対する偏見・差別など

子どもの糖尿病に対しては、様々な偏見や差別などがあると言われています。どういったことがあるのか。日本IDDMネットワークの協力で当事者の声を集めました。

14歳で発症した40代女性のエピソード

“糖尿病イコール太っている・中年がかかる病気”というイメージだけが広がっているため「ぜいたく病でしょ?」とか「中年がなるんじゃないの?」とよく言われました。まだ子どもだった私はすごく悲しかったです。周囲の人に病気のことを言えるようになったのは、30歳を過ぎてからかもしれません。

子ども時代、自分が糖尿病だと周囲に言えなかった

こういった偏見は残念ながら多くあります。糖尿病は代表的な生活習慣病とされているため、この病気にかかるのは自己責任と考える人も多いのですが、1型糖尿病は生活習慣とはほとんど関係がありません。
2型糖尿病も、ある遺伝因子をもった人の場合、少しの生活習慣の乱れで発症してしまいます。また、貧困などが原因で、食生活が偏ってしまうこともあるため、「生活習慣病」という呼び方も変えた方がいいのではないかという議論もあります。

糖尿病の女の子のご家族のエピソード

子どもが小学校6年生のときに1泊2日で行く宿泊研修があったのですが、子どもが糖尿病のために「できれば親も一緒に」と同行を求められました。子どもには内緒で同じ旅館に宿泊し、観光するポイントへも車で回りながら、常に近くで待機していました。

子どもの宿泊研修で常に近くで待機

糖尿病の男の子のご家族のエピソード

幼稚園在園中に発症し、インスリン注射や補食(血糖値の管理のためアメなどを食べること)などに関して幼稚園側の理解を得られず、退園することになりました。私たち家族にとって、病気になったことよりもつらい出来事でした。この先どうしたらよいのか、小学校にも行けないのではないかと毎日落ち込む日々でした。

補食などに関して幼稚園側からの理解が得られず退園

アンケートでは、幼稚園児の保護者はインスリン注射のために何度も通院を求められるといった声も多く見られました。
このような状況の改善のために必要なのは「患者の児童がどれくらい自己管理できるのか、どれくらい学校や幼稚園などの助けが必要なのか。このような情報を共有すること、さらに信頼関係が非常に重要」と専門家は指摘します。
アンケートには、“保育施設や学校からの理解が得られた”というエピソードもあります。“園長先生や担当の先生が病院にまで話を聞きに来てくれた”、“病気について熱心に勉強してくれた”、などというものです。

急増中!?子どもの2型糖尿病

子どもの中でも10代以上では2型糖尿病が増えています。2型糖尿病は肥満や過食、運動不足、遺伝因子などが原因と考えられていますが、特にコロナ禍での外出自粛期間には、家にこもって運動しないという生活習慣が続く家庭も多かったため、若年者の患者の増加が危惧されていました。子どもの2型糖尿病は、健康診断で尿糖が陽性になることなどで発見されることが多いのですが、何も症状がない場合がほとんどなので、そのまま放置したり、通院をやめてしまうことが少なくありません。しかし、治療をやめると合併症が進行し、30歳前後で合併症が重症化してしまうなど、かなり危険な状態となります。症状がなくても治療を継続することがとても大切です。

インスリン注射の負担を減らす自動注入装置

子どものインスリン注射の負担を減らすための方法として、血糖値の上がり下がりを計測し、必要なインスリンを自動的に注入する装置が最近登場しています。これによって、患者さん本人だけでなく、幼稚園や学校などの受け入れ側にとっても大きな負担減となります。このようなインスリンポンプを使った治療は、20歳未満の場合は医療費助成で無料になりますが、20歳以上になると従来のインスリン療法よりも月に2万円ほど負担が増えてしまうという問題があります。

インスリン注射の負担を減らす自動注入装置

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2024年1月 号に掲載されています。

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