心筋梗塞が起きたときの対処法は?

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心筋梗塞胸が痛い動悸(どうき)がする息切れがする・息苦しい胸・心臓循環器・血管

心筋梗塞は時間との勝負

激しい胸の痛みが起こり、突然死に至ることもある心筋梗塞。心臓の筋肉に血液を運ぶ血管が詰まることによって起こります。日本では、1年間に3万人以上の方が心筋梗塞で亡くなっています。

心筋梗塞による死亡者

心筋梗塞で亡くなる方の多くは病院到着前に命を落としていますが、適切な対応と医療技術の進歩によって多くの人が救命されるようになり、死亡する方は少しずつ減ってきています。発症直後の迅速で適切な判断が重要です。

いつもと違う症状があれば迷わず救急車

狭心症と同じような症状が、より強くなったり、長く続いたりする場合、心筋梗塞が疑われます。
激しい胸の痛みや圧迫感、締め付けられるような感じが胸の中央に感じられ、その症状が安静にしても収まらずに20分以上続いたり、冷や汗、吐き気、息苦しさなどを伴う場合は心筋梗塞の可能性が高くなります。

ただし、糖尿病の人や高齢者は、神経の働きが低下していて、心筋梗塞の症状を感じにくいことがあります。しかし、たとえ症状を感じにくくても、危険な状態であることに変わりはありません。
「いつもと違う」症状があれば、迷わず救急車を呼んでください。また、「大丈夫だ」と思っても容体が急変することがあるので、自分で車を運転して医療機関に行くことは避けてください。

周囲の人の対応は?

患者が意識をなくしていたら、胸やおなかの動きを見て、呼吸の状態を確認します。正常な呼吸がなければ、心停止の可能性が高いと考えられます。このような場合は心臓マッサージを行います。

心臓マッサージ

心臓マッサージは、両手で胸の真ん中を押します。
胸が5cm程度沈む強さで1分間に100〜120回のペースで行います。救急車が到着して救急隊員と交代するまで続けます。

AEDの使用法

もしAEDが近くにあれば、AEDを使用します。電極パッドを胸に貼り、ボタンを押して電気ショックを与えます。
音声ガイドに従えば、誰でも簡単に使うことができます。慌てずに使用することが大切です。

【動画で解説】心肺蘇生法の手順についてはこちら

心筋梗塞の検査

医療機関に到着し、心筋梗塞が疑われる場合はまず心電図の検査をします。心電図に「ST上昇」と呼ばれる異常があったら典型的な心筋梗塞です。

心電図の波形

専門的には「ST上昇型心筋梗塞」と呼びます。ST上昇は、心臓の筋肉「心筋」に血液が十分に流れていないため、心筋の一部が酸素や栄養を受け取れず、壊死が進行していることを示しています。こうした状態がわかったときは直ちに治療に行う必要があります。

ST上昇型心筋梗塞

カテーテル治療

刻一刻と心臓の筋肉が壊死していくので、少しでも早く血流を再開させることが必要になります。胸痛が起こってから6時間以内に医療機関で血流を再開させることが求められます。治療の基本はカテーテル治療です。

カテーテル治療

カテーテルという細い管を手首の動脈などから挿入し、冠動脈の詰まった部分まで到達させ、カテーテルの先につけたバルーンをふくらまして血管を広げます。広げた血管が再び狭くならないように、ステントと呼ばれる金属製の筒で支えます。
このステントは体の中に残したままにします。かつては、血管の細胞がステントのまわりで増殖して血管が再び狭くなってしまうことも少なくありませんでしたが、最近では、細胞の増殖を防ぐ薬を塗ったステントが主に使われているため、問題は起きにくくなっています。

バイパス手術

バイパス手術は、体の他の部分の血管を使って、血管が狭くなった部分を迂回して血液が流れる道を作る手術です。
心筋梗塞とともに、心臓の壁に穴があいたり、心筋が損傷したりする合併症が起こっていて、カテーテル治療が難しい場合に検討します。

バイパス手術

ただし、高齢者などは手術に耐えられない場合もあるため、総合的に判断して治療法を選びます。
また、地域によっては、カテーテル治療やバイパス手術を受けられる病院が近くにない、ということもあります。その場合は、詰まった血栓を薬剤で溶かす血栓溶解療法をまず行う場合もあります。

再発を防ぐために

心筋梗塞は再発しやすく、特に発症から1年は注意が必要です。そこで、血栓ができるのを防ぐ薬の服用、生活改善、心臓リハビリを中心に再発予防を行います。

再発防止のポイント

薬は、血液をサラサラにする抗血小板薬を1年間ほど服用します。
また、心筋梗塞によって心臓の機能が低下する心不全が起こることがあり、その場合は、心不全の治療も行います。
心臓を保護するACE阻害薬、ARB、心臓の負担を減らすβ遮断薬、最近は糖尿病の治療薬であるSGLT-2阻害薬の使用も検討します。

生活改善では、禁煙や、体重管理による肥満解消などを行います。心臓リハビリでは、運動療法、生活指導、カウンセリングなどを受け、機能回復と再発防止を図っていきます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年12月 号に掲載されています。

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