腹圧性尿失禁になったとき -私のチョイス-

子どもとなわとびができない!
3人の子どもがいるAさん(44歳)。尿もれに悩まされるようになったのは、およそ10年前の妊娠がきっかけでした。
「第1子を妊娠中にくしゃみをしたときや、産んだ後もちょっと激しい運動をしたり、子どもを抱っこしたりすると、もれることがあって。」
症状は、徐々に悪化し、子どもと一緒に遊ぶこともできなくなりました。
「なわとびとかトランポリンをすると、とぶたびに出てもれてしまう。出先でも、景色や会話よりこれ以上もれたくないという思いに集中してしまって、出産したらこうなるものなのかな、おむつを履いて生活していくしかないのかな。」
この状態をなんとかしたいと思ったAさんは、病院を訪ねました。
診断は「腹圧性尿失禁」でした。
腹圧性尿失禁とは

腹圧がかかったときに尿がもれる病気です。咳やくしゃみをする、走る、高いところのものを取る、あるいは重いものを持ち上げた瞬間などにもれます。
原因は「骨盤底筋」の緩みです。図中の赤い部分が骨盤底筋。ぼうこうなどの内臓をハンモックのように支え、尿道を締める役割をしている筋肉です。出産や加齢によって骨盤底筋が緩むと、尿道を締める力が弱まるととともに、尿道が傾きます。こうした状態で腹圧がかかると、弱い腹圧でも尿もれが起きてしまうのです。
腹圧性尿失禁の治療のチョイスには、骨盤底筋トレーニング・減量・手術があります。軽症の場合は、骨盤底筋トレーニングを行います。最近太って尿もれがひどくなった場合は、減量によって軽減することもあります。
重症だったAさんは、「TVT手術」を受けることになりました。
テープで尿道を支える手術!?

「TVT手術」とは、ポリプロピレンでできたテープを体内に入れて腹圧によって傾いてしまう尿道をしっかりと支える手術です。
手術にかかる時間は、麻酔を含めて1時間程度、入院は2泊3日。費用は3割負担の場合、10万円程度です。
手術の成果は、翌日から現れました。
「もう、生活の中でもれることはないです。ジョギングとか、友達にテニスとか誘われてできたときに、本当に手術をやってよかったと思いました。劇的に生活が楽しくなりました。」