新たな肥満対策の薬「オルリスタット」 徹底解説!

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市販薬「オルリスタット」

オルリスタットは厚生労働省により2023年2月に承認された、肥満症を予防するための薬です。

市販薬「オルリスタット」とは

カプセル状で1日3回、食事中または食後に服用します。体に脂質が吸収されるのを防ぐ働きがあります。通常、小腸ではリパーゼという脂肪分解酵素によって脂質が分解され腸から吸収されますが、オルリスタットを服用するとリパーゼの働きを抑え込んで、その結果、脂質は分解されず便に含まれ排出されます。

リパーゼという脂肪分解酵素によって脂質が分解される
脂質が分解され腸から吸収される

オルリスタットを服用した場合の小腸
オルリスタットを服用するとリパーゼの働きを抑え込む

効果としては、適切な生活習慣の改善と組み合わせながら半年ほど服用することで、腹囲の減少や、内臓脂肪断面積の10%ほどの減少が期待できるとされています。薬自体が体に吸収されないので重篤な副作用は少ないということですが、不快な点として便が脂っぽくなることがあげられます。いつの間にか便が漏れて下着を汚すこともあると言います。

市販薬ですが要指導医薬品に分類されるので、購入するには薬剤師と対面・相談の上で、さらに以下のような条件を満たすことが必要です。「3か月以上、生活習慣改善の取り組みを行なっていること」「体重や腹囲などを1か月以上(少なくとも直近1か月)記録していること」「定期的に健康診断を受けていること」などです。他にも腹囲による制限や、糖尿病など健康障害を併発している場合や、BMIが35以上だと購入できないなどの制限があります。まずは薬局の薬剤師に相談してみてください。

新たな処方薬「セマグルチド」についてはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年5月 号に掲載されています。

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