“幸せホルモン“がUP!?メンタル不調の漢方薬

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こころ

メンタル不調の改善で注目される漢方薬。いま、その驚きの効果が最新科学で解明されてきています。“幸せホルモン”とも呼ばれるオキシトシンの分泌効果に迫る研究を取材しました。

幸せホルモン

最新科学で漢方薬の謎に挑む!

研究を行ったのは、福島県立医科大学医学部の下村健寿主任教授と前島裕子特任教授。これまで、2人が研究してきたのは出産や授乳に関係するホルモン“オキシトシン”。近年、ストレスや不安を軽減させる働きがあるということがわかり、“幸せホルモン”とも呼ばれています。このホルモンを分泌できる薬がないかと長年研究を続けている中で、“オキシトシン”と同じようにストレスや不安を軽減する作用がある「加味帰脾湯(かみきひとう)」に注目しました。

福島県立医科大学医学部の下村健寿主任教授と前島裕子特任教授

そこで、まず2人はラットに加味帰脾湯を与えて、脳の中にあるオキシトシンを分泌する細胞が活性化するかどうかを調べてみました。
すると水だけを与えたラットに比べ、活性化していた細胞は約3倍多いことがわかりました。また、別の実験でも加味帰脾湯によってオキシトシンの分泌量が高まることが確認されました。

ラットの脳

オキシトシンの分泌量

※出典 Yuko Maejima,Kenju Shimomura,et al.Identification of oxytocin receptor activating chemical components from traditional Japanese medicines. Journal of Food and Drug Analysis. 2021.

さらに2人は加味帰脾湯に使われている14種類の生薬の中で、どの生薬がオキシトシンの分泌に深く関係しているかを調べました。すると、「当帰(とうき)」と「大棗(たいそう)」「生姜(しょうきょう)」の3つの生薬の組み合わせによって、オキシトシンの分泌が増加することを突き止めました。研究は、まだ動物実験の段階ですが、これまで知られていなかった漢方薬の効果のメカニズムが徐々に明らかになってきています。

オキシトシンの分泌が増加する生薬

漢方薬を正しく安全に使うには

ご紹介した漢方薬は、薬局やインターネット通販でも手に入れることができます。しかし、症状の裏には大きな病気が潜んでいる可能性もあります。ぜひ、かかりつけ医や漢方の専門医に相談し、診断を受けてから処方を受けることをお勧めします。

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この記事は以下の番組から作成しています。

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