食事のポイントは「まごわやさしいよ」の食材
腸内細菌を整えるカギは食事です。食事を工夫すれば、2週間程度で腸内環境は改善されます。一方で腸内環境が悪くなるのはあっという間です。よい腸内環境を維持するには、持続的に食事をコントロールしていくことが重要です。食事のポイントは腸内環境をよくするために食べたい食材の頭文字を並べた「まごわやさしいよ」です。

「ま」は豆。大豆・納豆・豆腐など。大豆や大豆製品には良質なたんぱく質のほかに食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は腸内細菌の餌になります。納豆やみそなどの発酵食品は腸内細菌の餌になるだけではなく、悪い働きをする菌の増殖を抑える作用もあります。

「ご」はごま。ごまにはオレイン酸やリノール酸などの良質な油が含まれています。オレイン酸やリノール酸は血液中のLDLコレストロールを減少させる作用があり、動脈硬化予防が期待できます。また腸内細菌がオレイン酸・リノール酸を使って、肥満解消など体によい働きをするものを作っているという報告もあります。

「わ」はわかめ・もずく・ひじきなどの海藻類です。わかめなどの海藻類には水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は腸内細菌の餌となり、腸内細菌を育て活性化させる働きがあります。

「や」は野菜です。野菜には食物繊維が豊富に含まれています。おすすめはレタス・キャベツなどの葉物野菜より、にんじん・ごぼう・れんこんなどの根菜類ですが、大切なのはいろいろな種類の野菜をとることです。腸内には約1000種類もの腸内細菌が生息していて、それぞれ餌にする食物繊維も違います。そのため、摂取する食物繊維の種類が多いと、より多くの腸内細菌を活性化することにつながると考えられています。

「さ」は魚です。魚には良質なたんぱく質が多く含まれています。いわし・さばなどの青魚には良質な油であるDHAやEPAが豊富です。これらは腸内細菌の多様性を高めるという報告もあります。

「し」はしいたけなどのきのこ類。きのこ類には食物繊維が豊富で、免疫細胞にも作用すると言われています。


「い」はさつまいも・じゃがいも・里芋などのいも類。長寿の地域の京丹後市で調べたところ、毎日食べる高齢者は5%、週5〜6日食べる人も33%いることがわかっています。保存がきく食材なので常備しておくとよいでしょう。

「よ」はヨーグルト。ヨーグルトに含まれる乳酸菌はよい働きをする腸内細菌を増やす作用があり、腸内環境を整えます。1日1カップ(200g)を目安にとるとよいでしょう。ただし、ヨーグルトの種類は多くあり、自分に合わないものを食べると下痢などが起きる場合もあります。いろいろ試して自分のおなかと味覚に合ったヨーグルトを見つけましょう。
全粒穀物の主食にすると食物繊維の量が増える
「まごわやさしいよ」以外ですすめられるのは、全粒穀物です。白米や白いパンではなく、より食物繊維が豊富な玄米や麦をとり入れると、食物繊維の摂取量が増えます。すべてを変えるのではなく、パンを食べるなら全粒粉を使ったものにしたり、3食に1食は白米に玄米や雑穀を混ぜるだけでも、食物繊維を増やすことができます。