小型化LDLコレステロールの最新検査

小型化LDLコレステロールは動脈硬化の強い危険因子のひとつです。通常サイズのLDLコレステロールより小さいため、血管の隙間にはいりこみやすく、酸化されやすく、長時間血液中にとどまります。これまで正確かつ簡単に測定する方法は開発されていなかったのですが、2021年の10月に新しい検査試薬が販売承認されました。
たとえLDLコレステロールが基準値(140mg/dL)未満におさまっていても、小型化LDLコレステロールが高い場合には、動脈硬化のリスクが高くなることが分かっています。そのため、小型化LDLコレステロールの検査がさまざまな病院で導入されはじめています。この検査試薬は、まだ保険適用はされていませんが、健康診断や人間ドックのオプションで検査を受けることが出来ます。
小型化LDLコレステロールのセルフチェック

小型化LDLコレステロールをセルフチェックする方法もあります。近くに小型化LDLコレステロールの検査を受けられる医療機関がない場合におすすめです。
健康診断の結果を見ながら、「non – HDL」を計算してみてください。総コレステロールの数値からHDLコレステロールの数値を引くことで算出することができます。non-HDLの数値が170mg/dL以上の場合、小型化LDLコレステロールの値が高くなっている可能性があります。健康診断の結果に総コレステロールという項目がない場合には、中性脂肪が基準値を超えていないかチェックしてください。LDLコレステロールが基準値(140mg/dL)より低くても、中性脂肪が基準値より高い場合には、注意が必要です。
家族性高コレステロール血症の最新検査

家族性高コレステロール血症とは、生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい、遺伝性の「脂質異常症」です。国内では40万人以上の患者がいるといわれています。自覚症状が少ないことから発見が遅れ、治療に結びつきにくいという特徴があります。
そんな家族性高コレステロール血症の最新検査は、アキレス腱(けん)の超音波検査です。
アキレス腱の厚さが男性で6ミリ以上、女性で5.5ミリ以上で、家族性高コレステロール血症を疑います。なぜアキレス腱の厚さによって病気が診断できるのかというと、LDLコレステロールは力がかかるところにたまりやすい性質があるからです。人間が立ったり歩いたりしている時も常に体重がかかるアキレス腱には、この病気の症状が現れやすいのです。そして、LDLコレステロールがアキレス腱にたまると、だんだんとアキレス腱が厚くなっていくのです。
これまでも、エックス線を使ったアキレス腱の検査は行われていました。ところがエックス線による測定では、他の組織とアキレス腱との見分けがつきにくいという課題もありました。今回、超音波を使った検査法を追加したことによって、よりアキレス腱が厚くなっているかどうかを診断しやすくなりました。
家族性高コレステロール血症の診断基準

家族性高コレステロール血症には3つの診断基準があります。このうちいずれか2つに当てはまると、家族性高コレステロール血症と診断されます。20代や30代でも、LDLコレステロールが高い人や、両親・兄弟・姉妹・子どもに家族性高コレステロール血症や狭心症・心筋梗塞を発症した人がいる場合には注意が必要です。