コロナがもたらす「聞こえ」への悪影響

コロナが「聞こえ」に悪影響を与えていることが、専門家の間で懸念されています。
大きくは3つ、「コロナウイルス感染による難聴」「コロナ禍の“暮らし”による難聴」、そして「マスクでより聞き取りづらい」状況です。
コロナウイルス感染による難聴
まずは「コロナウイルス感染による難聴」です。コロナに感染すると、発熱や咳、倦怠感、味覚異常など、さまざまな症状を引き起こすことが知られていますが、実は「難聴」もそのひとつです。

海外では、難聴7.6%、耳鳴り14.8%という割合で、コロナ感染による「聴覚機能の合併症」が報告されています。稀ですが、コロナ感染をキッカケに手術が必要な重度の難聴になるケースもあります。
合併症を起こしやすい人の特徴までは明らかになっていませんが、まずは感染しないことが1番です。今後とも、感染対策はしっかり行いましょう。
コロナ禍の“暮らし”による難聴
続いては「コロナ禍の暮らしによる難聴」です。コロナ禍で定着した「リモート」による授業や会議で使用する「イヤホン」が、難聴を引き起こす可能性があります。その名も「イヤホン難聴」。長時間、大きな音を聞くことで、耳の器官にダメージがたまり、じわじわと難聴が進行します。

【イヤホン難聴への対策】
対策は3つあります。
- 音量を話し声程度にする。
- 使用時間「60分で休憩」を挟む。
- 環境音が入らず聞き取りやすいことから、音量を小さくして使用できる「ノイズキャンセル機能」を活用する。
コロナ禍の暮らしで心配される難聴はもう一つ、「過労や睡眠不足、ストレスによる難聴」です。特に労働力不足で仕事量が増えた人や、働き方の急変にストレスを抱えている人に見られ、急に発症するのが特徴です。

【過労・ストレスによる難聴への対策】
過労や睡眠不足、ストレスのいずれも、難聴の要因となる血流不全や、神経の不調をまねきます。生活リズムを整え、ストレスを解消することが重要です。おすすめは耳の休息、リラックス、そして血行アップも期待できる「山歩き」です。
マスクでより聞き取りづらい
最後はコロナ禍ですっかり定着した「マスク」が、特に難聴者に「より聞き取りづらい」状況を作っていることについてです。
人は「音(音声情報)」と「口の動き(視覚情報)」の両方を合わせて、より正確に言葉を理解することができます。難聴者は特に、「口の動き」が言葉を理解する重要な手掛かりになっています。

しかし、マスクにより音が遮られるのはもちろん、口の動きも見えなくなることで、多くの難聴者から「コミュニケーションが取りづらい」という悩みが寄せられています。
【マスクで難聴者と話すときのポイント】
まずは、マスクを着用している場合は「必要以上に距離をとらない」ことです。つぎに「ゆっくり話す」こと。そして、一番注意したいのが「フレーズを区切って話す」ことです。難聴者は「なんという言葉だったとのか」を推測し、整理する時間が必要です。

「難聴」を取り巻く状況は常に変化しています。難聴にならないための対策はもちろん、難聴に対する理解も深め、難聴であっても健やかに暮らせる社会づくりが大切です。