どれが正解?むくみ対策
脚などにむくみが起こると、見た目が太く見えるだけでなく、だるさ、重く感じる、痛みなどの症状も出てきます。そんなとき、みなさんはどんな対策をしていますか?街の人たちに聞いてみると、下のような答えがありました。中には、効果が期待できないものもあります。

水分を控えることは、むくみ防止には効果がありません。しかも、体が水分不足になると静脈に血栓ができる危険もあり、特に夏は熱中症の危険も高くなるので注意が必要です。ただし、心不全などのために主治医から水分を控えるように言われている場合は別です。
入浴がむくみのセルフケアとして有効だという実験などはありませんが、いくつかの理由からお勧めできます。水圧がかかることにより、リンパの流れがよくなることが期待できます。また、むくんでいるときは感染症にかかりやすいので、皮膚を清潔にすることはその予防になります。入浴中に体をさすると、リンパの流れが活性化されます。強い力で揉むのではなく、子どもの頭をなでるような気持ちでやさしく、気持ちよくさすりましょう。
医療用の弾性ストッキングは、むくみを改善するというエビデンスもあります。ただし、きつい洋服の着用は良くありません。弾性ストッキングの場合は、ふくらはぎ全体に圧力をかけて筋肉のポンプ機能を助けるような働きをしますが、きつい洋服は、例えばウエストなど体の一部に負荷がかかります。すると、リンパの流れが悪くなったり、皮膚が傷ついて感染症にかかる恐れもあります。
アルコールが直接むくみの原因になることはありません。飲み過ぎて顔がむくんだと思っている人は、飲んでいるときに長時間同じ姿勢で座っていたり、おつまみで塩分の多いものを食べたりしたことが影響している可能性があります。飲み過ぎは心臓や腎臓、肝臓など、むくみを伴う病気の原因ともなります。多量の飲酒はやめた方がよいでしょう。
安静にするのは、むくみに対しては逆効果です。特に脚のむくみに関しては、適度な運動が効果的です。
むくみ解消!カンタンゆる体操
運動科学総合研究所所長の高岡英夫さんが開発したゆる体操というものがあります。誰でも簡単に行うことができ、むくみ解消にも役立ちます。
1.肩ユッタリ回し体操
まず、右手で左肩をさすります。「気持ちよく。気持ちよく」と声に出しながらさすることがポイント。子どもの頭をなでる気持ちで優しくさすりましょう。反対側も行います。

そして、「ユッタリ」と言いながら両肩を前から後ろに向かって大きく回します。前(ユッ)→上(タ)→後ろ(リ)→下(ィ)と、動きと言葉を合わせて行うとよいでしょう。脚を前後に開いて行ってもよいでしょう。
リンパの流れを活性化させるとともに、肩こりにも効果的な運動です。
2.脇フワ体操
むくみ解消に大きな働きをするリンパの要、脇の下を「気持ちよく」さすります。次に、上腕の内側と外側、肩の周りも「気持ちよく」さすります。

そして右脚に体重をのせ、「フーワー」と言いながら軽く右肘を曲げて、右脇をゆっくり大きく開いて脇腹を伸ばします。反対側も同様に行います。
3.足首クロス体操
床に座って両脚を伸ばし、左右に広げた両腕を体の後で支え、首が両肩の間に埋まっていく感じをイメージしながら体全体の力を抜きます。

左脚を右脚にのせ、両足首を交差させます。足首をゆるめて密着する面が多くなるようにして、左足首で右足首をさするように動かします。同様に反対側も行います。リンパの流れの活性化に効果的です。
4.膝コゾ体操

仰向けに寝て両膝を立て、全身の力を抜きます。右膝に左脚のふくらはぎをのせ、「コゾコゾ」と言いながら左脚のふくらはぎを前後に動かします。イタ気持ちいいところを探しながら動かします。脚のむくみに効果的です。同様に反対側も行います。
“むくみ”の多くは、あわてて病院に駆け込むほどのものではなく、運動やセルフケアで改善できます。紹介したような体操などで体を動かし、“むくみ”解消に努めましょう。それが健康的な暮らしにもつながります。