しわ・たるみの美容医療 受ける前に必ずチェック!

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皮膚

しわ・たるみの種類

しわやたるみといっても、いろいろな種類があります。乾燥するとできる目元や口元の「小じわ」。眉間や目尻、口の周りにできる「表情じわ」は、年齢を重ねると真顔の時でも戻らなくなります。そして「たるみ」。目の下やまぶた、ほうれい線などとなって現れます。

小じわ

表情じわ

たるみ

病的な状態の改善ということではなく、あくまでも見た目の治療という場合には、保険診療ではなく自由診療の美容医療で対処することになります。

しわ・たるみの治療法

美容医療については、日本形成外科学会の専門医などで作っている日本美容外科学会「JSAPS」をはじめとする美容医療に関わる学会や団体が、2020年に合同で美容医療診療指針を作成し、主な治療法を評価しています。

しわ・たるみの主な治療法と推奨度

レーザーや高周波、超音波などの機器を使った治療は、他の治療と比べると一度の効果は弱いものの、合併症が生じにくく治療に伴う痛みや腫れなども軽度なので○。

充填(てん)剤の治療は、ヒアルロン酸やコラーゲン製剤など体に吸収されるタイプについては、ほうれい線などの部位に適切に注入されれば、よい改善効果が見られるため◎。ただ、多くの場合は半年ほどで体内に吸収されて効果がなくなります。
シリコンゲルなど非吸収性の充填剤の場合は、トラブルになった場合摘出することが困難なので×。学会でも使用しないよう勧告されています。

筋肉の動きを抑える薬、ボツリヌス毒素製剤を顔の筋肉に直接注射することにより、しわを改善させる治療は眉間や目尻などの表情じわに効果があり、即効性があります。副作用も少ないため◎。ただし持続期間は半年程度。継続的な治療が必要です。

多血小板血漿(しょう)療法は、自分の血液から作った成分を充填剤として注射する治療です。比較的新しく安全な治療ですが、治療効果はあまり高くはありません。ですから指針では○。
ただし増殖因子を添加する場合は、しこりができるリスクが上がるため△です。

糸を皮下に挿入し皮膚を持ち上げ、たるみを引き上げる治療やフェイスリフトなどの手術に関しては、素材や手法が多岐にわたるため、指針では評価されていません。特に手術の場合は他の治療に比べてより長い効果が期待されますが、リスクもあります。治療を行う場合は、より慎重に検討する必要があります。

いずれの治療も使用する薬や機器の安全性を調べることが重要です。

美容医療を受ける前に

美容医療の増加に伴い、トラブルも増加していることから、厚生労働省は美容医療について注意を呼びかけています。

美容医療を受ける前にチェックしたい項目

トラブルの原因は、不適切な手術材料や手術方法の判断ミスなど医療者側によるもの。また患者側の問題もあります。術前説明の理解不足や術後の不適切なケアなどです。さらに、思っていた仕上がりと違うというトラブルも多いようです。宣伝やクリニックで見せられる術前術後の写真などに惑わされず、過度な期待はしないことも必要かもしれません。

トラブルになったら

まずは治療を受けたクリニック、担当医に相談することです。クリニックで治療が困難な場合は、治療内容を記載した「診療情報提供書」を作成してもらい、対応できる医療機関を受診してください。しかしその場合、健康保険の適用とならず自費診療となり、高額な治療費が発生するリスクがあります。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年5月 号に掲載されています。

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    美容医療 ここに注意!「しわ・たるみ」