知っておこう 変形性ひざ関節症の2大手術法
ひざの痛みの大半の原因が変形性ひざ関節症です。
なんとか痛みから解放されたいと手術を選択する患者さんの数は年々増えており、国内での手術件数は10万件にもなっています。
変形性ひざ関節症の手術方法には、「骨切(こつき)り術」「人工関節置換術」の主に2つの方法があります。目的やひざの状態に合わせて手術方法を選択しましょう。
積極的な活動がしたい人は「骨切り術」
骨切り術は、脚を矯正して痛みをとる手術です。手術を受けるためには、以下のような条件があります。
- 関節の外側がすり減っていない(内側のみがすり減っている)
- 筋力や骨がある程度、丈夫である(70代前半までの人に勧められる)
手術方法

すねの骨・けい骨に切り込みを入れます。

そして、脚をまっすぐに矯正して、人工骨を挿入。

プレートで固定します。1年後、手術でプレートを抜きます。
【特徴】
手術前のひざの状態にもよりますが、ひざを深く曲げられるようになることが多いです。手術後、正座や激しいスポーツも行うことができることも多く、まだまだ積極的に活動したいという人にはよいかもしれません。
80歳以上でも大丈夫 人工関節置換術
人工関節置換術は、ひざ関節を人工関節に置き換える手術です。骨切り術とは違い、骨がもろい80歳以上の方にも行うことができます。
手術方法

まず大腿骨、脛骨のそれぞれに対して傷んだ骨と軟骨を削り取ります。続いて、削り取った部分を人工関節に置き換えます。
【特徴】
人工関節に大きな負担がかかると壊れることがあるため、激しいスポーツや正座はできません。ただ、日常生活を送るうえでは問題はありません。
回復するためには 手術後のリハビリが重要
手術直後は痛みが残り、ひざが曲がらない状態になっています。そこで、手術後はリハビリを行い、ひざを曲げやすくしたり筋力をつけたりする必要があります。高齢者は安静にしているとその間にも筋力が低下し、リハビリが困難になってしまうので早期からのリハビリが必要です。
リスクも十分に知ろう
手術を受けるかどうか悩んでいる人は、手術で期待できる効果や体への負担、伴うリスクについて十分に理解しておく必要があります。手術を受けることにより、感染症やひざの表面のしびれなどの合併症、人工関節置換術では人工物のゆるみが起こる可能性もあります。
それらを十分に理解した上で手術を受けるかどうか検討するとよいでしょう。