足の裏がしびれる原因とは 病気、セルフチェック、治療、筋肉の衰え

更新日

足根管症候群糖尿病神経障害しびれがある足・脚が痛い脳・神経

足の裏のしびれでも範囲によって異なる病気

今回は「指先や足裏の前方部分」と土踏まずやかかとを含めた「足裏全体」のしびれについてお伝えします。

足裏のしびれる範囲

指先から前方部分がしびれるケース

  • しびれの範囲が足の裏のつま先側の前方部分
  • 足にモチが貼り付いている感じ
  • 足の皮がぶ厚くなったような感じ
  • 砂利や剣山の上をはだしで歩いているような痛み

このような症状があった場合に疑われるのが、「足根管症候群」です。

足根管症候群とは

足の内くるぶしとかかとの間には靭帯があります。
この靭帯と足の骨の間には隙間のようなトンネル状の部分があり、これを「足根管」と言います。その中をかかと以外の足裏にいく後けい骨神経と血管が一緒に走っています。

足根管症候群はこのトンネル部分で神経が締め付けられて、しびれが出る病気です。初期では足の指先あたりだけがしびれる場合もありますが、進行すると、足裏の前方部分にしびれや痛みが出ます。

神経が締め付けられる原因はさまざま

加齢による筋肉の衰えや骨の変形などで扁平足になったり足首に負担がかかる歩き方をすることで、神経が圧迫されてしまう場合があります。
また「ガングリオン」というゼリー状の物質が詰まったコブができて神経を圧迫することもあります。
さらに本来は神経に沿って血管が走っていますが、動脈硬化により血管が蛇行してしまい神経にぶつかって、しびれを発生させることがあります。

足裏全体がしびれるケース

  • かかとを含めた足の裏全体がしびれる
  • 足裏に違和感がある

このような症状があり、糖尿病の疑い、または糖尿病の人は「糖尿病性神経障害」による足のしびれが発生している可能性があります。

初期段階では、しびれの範囲が指先だけや足の裏の前方部分など、足根管症候群とも似ていて紛らわしいことがあります。
そのほかにも腰部脊柱管狭窄症などでも同じような範囲がしびれる場合があります。医療機関では血液検査や触診、画像検査、電気を流して神経機能を確認する検査などを行い、総合的に診断を行います。
このぐらいのしびれならそのうち治ると思わず、気になる症状があれば早めに医療機関へ!

足根管症候群のセルフチェック

足根管症候群のセルフチェックの方法

  1. 足の内側のくるぶしとかかとの間の動脈を探します。
    指2本ぐらいで内くるぶしの下あたりを押さえて、ドクドクと拍動を感じる部分が動脈です。
  2. 動脈を探せたら足首を上に曲げて動脈のすぐ下を押します。ちょっと押した部分が痛いなと思うぐらいの強さで押します。
    この時、指先や足の裏にしびれが出るかを確認します。

しびれや痛みが出た場合は、足根管症候群の可能性があります。
普段しびれがあるのに、このチェック法ではしびれが出なかった場合には、腰部脊柱管狭窄症などほかの病気の可能性があります。

しびれは何科へ行く?

整形外科・脳神経外科・神経内科などの診療科へ。
今回の足のしびれは脊髄から枝分かれし全身への伸びる「末梢神経」の病気にあたります。「末梢神経」の病気を診療している医療機関を受診することも1つの手です。

日本脊髄外科学会のホームページでは、しびれや痛みの診療を行っている医療機関が掲載されています。

日本脊髄外科学会のホームページ
※NHKサイトを離れます

しびれの治療

足根管症候群の治療では薬物療法と装具療法を行います。

足裏のしびれ 薬物療法

薬物療法には消炎鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬などののみ薬で痛みやしびれを軽減させます。またビタミンB12などののみ薬で神経細胞の修復や保護を促します。痛みがひどい場合には神経ブロック注射を行うこともあります。

神経を締め付けている原因が扁平足などの場合に装具療法を行います。

扁平足などの場合に使う装具

足底板にもいろんなタイプがありますが、こちらはかかとから土踏まずまでをカバーするタイプのものです。患者さんに合わせてオーダーメイドで作成します。扁平足を治すことで足のしびれを改善させます。
これらの治療を行なっても効果があまりない、日常生活に支障が出るほどのしびれになった場合は手術を検討します。

手術は神経を圧迫しているコブがある場合は取り除きます。コブなどがない場合は神経の締め付けをなくすために周囲の組織を切り離すことや血管の蛇行を戻すなどの「神経剥離術」を行います。

糖尿病性神経障害の治療

基本的には薬物療法を中心に行い、糖尿病の治療を継続します。糖尿病によって足にしびれが出ると足の感覚が鈍くなり、傷があっても気がつきにくくなります。そのため日常でのフットケアも大切になります。

日常でのフットケア方法

  • 毎日、朝と晩、足のけがの有無や変化を確認
  • 万が一出血などのけがをしても、すぐわかるように色の明るい靴下にする
  • 靴に異物が入ってないか確認
  • 足をぬるま湯で洗ったあとには保湿などを行う

今回はフットケアの一部分の紹介ですが、心がけることが何よりも大切です。

足裏を鍛えて予防する!

足の裏のしびれの原因には足の裏の筋肉の衰えも関わっている場合があります。足の裏を鍛える体操で予防しましょう。用意するのはタオル1枚と足の裏全体が床につく高さの椅子です。

タオルを縦に置く
かかとをつけたまま、足の指でタオルを自分の方にたぐり寄せる

  1. タオルを縦に置き、片方の足をタオルの上に乗せます。
  2. かかとをつけたまま、足の指でタオルを自分の方にたぐり寄せます。

端までたぐり寄せたら、少し休憩をして反対の足も行いましょう。3回繰り返すのを1セットとして、1日に2セットほど行うと足裏の筋トレになります。

足のしびれに関する質問

『Q&A 足のしびれ』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2022年3月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    足のしびれ 部位別徹底対策「足の裏がしびれる!」