熱中症は家で起こっている

新型コロナ対策で「ステイホーム」の時間が長くなっています。そんな今こそ熱中症に注意しなければなりません。熱中症で救急搬送された人のうち、「住居」で熱中症になった人は43%と最も多いのです。
高齢者は特に危ない
特に危険なのは高齢者です。高齢者は若い人に比べ、暑さを感じにくい、体温調節が十分できず体内の水分も少なく脱水状態になりやすい、心臓病や腎臓病などの持病が多い、などの理由で熱中症が重症化しやすいのです。実際に熱中症で亡くなる人の8割以上は高齢者です。
じわじわと熱中症に!

高齢者が室内で熱中症になるのは、掃除や料理などの最中とはかぎりません。多くの場合、蒸し暑い部屋で何もしていないときに、じわじわと長い時間をかけて体調が悪化していきます。そのため自身も周囲の人も気づきにくく重症化しやすくなります。熱中症で搬送されても「まさかこれが熱中症だとは思わなかった」とおっしゃる人もよくいます。
熱中症予防の鉄則
①エアコン

ステイホームの熱中症予防に欠かせないのは、まずエアコンです。夏の蒸し暑い部屋でエアコンなしはありえません。迷わずつけましょう。自分の部屋にエアコンがなければ、エアコンのある部屋に移動してください。エアコンを使う目安は「温度28度以上・湿度70%以上」。ただし体感ではわかりにくいので、温度計や湿度計を見てください。また、ほかの部屋ではなく自分が今いる場所の温度や湿度を確認してください。
エアコンを使いたがらない人もいます。しかしエアコンなしで一時的にしのいでも、暑さによる体の負担は蓄積していきます。エアコンなしの暑い日が2、3日続いたあとに、とうとう重い熱中症で倒れてしまったというケースがよくあるのです。
自宅にエアコンがない場合、昼は近くの図書館や公民館に早めに移動する、夜は扇風機・冷却材・水シャワーを活用するなど、工夫してください。
②水分
もう1つ欠かせないのが水分補給です。私たちは食事で摂取する水分のほかに、1日に1.2リットルほどの水を飲む必要があります。500ミリリットルのペットボトルなら2本と半分程度です。
特に高齢者はのどの渇きを感じにくいため、「のどがかわく前に」「こまめに」水を飲む必要があります。朝起きたとき・3度の食事のとき・10時と3時の休憩のとき・入浴の前後・夜寝る前など、タイミングを決めておくのがコツです。水は冷蔵庫で冷やしておきましょう。おいしくて飲みやすいだけでなく、冷たいほうが体に吸収されやすく体も冷やしてくれます。
「H・E・A・T」を心がけよう

熱中症予防のため日ごろから心がけたいポイントは「H・E・A・T」(ヒート)の4文字にまとめられます。
「H」はヘルスケア(Health Care)。毎日の健康管理こそ熱中症の対策です。食事は3食しっかりとりましょう。それだけで水分や塩分をかなり確保できます。体温や血圧、心拍数、体重を毎日チェックしましょう。
「E」はエンバイロンメント(Environment)環境です。涼しい生活環境はもちろんのこと、周囲の人と交流できる環境を整えることがより大事です。
「A」はアラート(Alert)。全国の各地で熱中症のリスクが極めて高いと予測される場合、環境省と気象庁が「熱中症警戒アラート」を発します。テレビなどの情報にぜひ注意してください。
「T」はトリートメント(Treatment)治療です。高血圧・心不全・糖尿病・腎臓病などの持病がある人は普段からしっかり治療しておきましょう。
この4項目は熱中症だけでなく新型コロナの対策にもなります。
暑い時間帯は高齢者に電話を
「ステイホーム」の今、高齢の人はより孤立しやすく、熱中症の発見が遅れて重くなってしまうことが心配です。そこで周囲の人たちは、昼のいちばん暑いときに、知り合いの高齢者に電話をかけ「お元気ですか」「部屋の温度は何度ですか」などと様子を確認するようにしてください。