「主婦湿疹」とも呼ばれる「手湿疹」とは?4つの原因と診察(問診・パッチテスト)

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手湿疹 かゆみがある 乾燥する 手・腕

手湿疹とは

手湿疹は「主婦湿疹」とも呼ばれるほど、多くの主婦を悩ませる病気です。
男性よりも女性に多く見られ、水仕事が多い職業にも発症者が多い病気です。また、新型コロナ感染対策のために手洗いやアルコール消毒を行うことが増え、手湿疹になるというケースもあります。

また、手のひらには毛が生えていません。つまり、毛と一緒にある皮脂腺もないので、皮脂が分泌されず、冬場は特に乾燥しやすくなります。手湿疹には、皮膚が厚くなってかたくなるものや、小さな水ぶくれが指にたくさんできるものなどさまざまな症状があり、混在することも多いです。かゆみのほか、亀裂が入ると痛みを伴います。症状に合わせた治療が大事です。

手湿疹の主な原因

手湿疹は原因によって主に4つに分けられます。

刺激性接触皮膚炎

「刺激性接触皮膚炎」は、手湿疹のおよそ7割を占めます。アレルギーとは関係なく、誰でも発症します。洗剤などが原因となって皮膚の脂分が抜けてしまい、皮膚バリアが破壊され、外部刺激に対して敏感になり炎症を起こすのです。

アレルギー性接触皮膚炎

「アレルギー性接触皮膚炎」は、皮膚に触れた化学物質によって、免疫反応が起きることで発症します。その物質が皮膚に触れると敏感に反応するようになり、炎症が起きます。人によって、アレルギー物質は異なりますが、主なものを紹介します。

アレルギー性接触皮膚炎の主な原因

植物(ウルシ・サクラソウなど)、ウルシかぶれは有名ですが、サクラソウなど園芸で扱う植物でもかぶれる場合があります。
ゴム製品、ゴム手袋を装着していると、かぶれる場合があります。ゴム製品に含まれるラテックスでアレルギーを起こすこともありますが、現在ではラテックスフリーの手袋も市販されています。しかし、同じくゴム製品に含まれる加硫促進剤でもかぶれが起きる場合があります。

その他、シャンプーやヘアカラー、金属のニッケル、コバルト、クロムなどでも手湿疹になることがあります。この金属は、アクセサリーだけでなく、土や、石、セメントなどにも含まれています。
また、樹脂を扱う歯科衛生士などはレジンなどの樹脂でかぶれを起こす場合もあります。樹脂を扱う際に手袋をして保護していても、空気中に樹脂の成分が浮遊しているため、かぶれる場合があります。

これらに触れると、およそ24時間~48時間をピークに強いかゆみと炎症が発生します。金属は、かゆみなどの症状が現れるのに数日~1週間などかかる場合もあります。

たんぱく質接触皮膚炎

たんぱく質接触皮膚炎の原因と症状

「たんぱく質接触皮膚炎」は触れた後にすぐにかゆくなる手湿疹です。魚アレルギーや甲殻類アレルギーがある場合に生魚・エビやカニなどに触れると、すぐにじんましんが現れ、その後水ぶくれが生じて手湿疹になるというものです。

アトピー型手湿疹

アトピー性皮膚炎や、花粉症を代表とするアレルギー性鼻炎の人が起こしやすい手湿疹です。つまり、アトピー性皮膚炎の一症状として手湿疹が見られるということです。

診断と治療法

手湿疹の治療開始には、原因の特定が大事になります。
問診では、何に接触をしたのか、どのような症状だったか、さらに、職業やアレルギー性の病歴がないかなどを聞きます。受診する際に炎症やかぶれが治っている場合があるので、写真などを撮って医師に見てもらうようにしましょう。

問診だけでは原因が特定できない場合には、パッチテストを行います。皮膚炎の原因となりやすい物質を皮膚に約48時間貼り付けて、発疹が出るかを調べます。

手湿疹の診察(問診とパッチテストについて)

手湿疹の原因が分かれば、原因物質との接触を避け、再発、悪化を防ぎます。また、手を洗った後は保湿剤を塗るなどして手を保護します。
湿疹がひどい場合にはステロイドの外用剤を塗り、炎症を抑える治療を行います。ステロイドにはレベルがあるので、皮膚科医に相談をしましょう。

悪化防止や、予防のためには保湿剤が有効です。保湿剤の種類は、「乾燥肌」のページに詳しく掲載しています。

乾燥肌の治療・予防法についてはこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年12月号に詳しく掲載されています。

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