過活動膀胱(ぼうこう)の新しい治療 「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」

「過活動膀胱」が原因で、尿意を我慢できずにもらしてしまう「切迫性尿失禁」を起こしている場合、「ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法」という新しい治療が2019年12月から保険適用で受けられるようになりました。
「毒素」と聞くと不安になる人もいるかもしれませんが、「ボツリヌス毒素」は、筋肉を収縮させるアセチルコリンの放出を止めることによって筋肉を緩める作用があり、もともと、脳梗塞の後遺症で手足の筋肉が突っ張る「けいれん」や、まぶたがピクピクする「眼瞼(がんけん)けいれん」などの病気にも使用されてきました。
過活動膀胱の治療では、尿道から膀胱内に入れた内視鏡で「ボツリヌス毒素」を膀胱の内壁の筋肉に約30か所注入します。膀胱の神経に作用して膀胱の筋肉を緩めてくれるため、「過活動膀胱」の改善が期待されます。行動療法(生活指導や膀胱訓練など)と薬による治療を12週間以上行っても無効な“難治性”の過活動膀胱が対象となります。
まだある!過活動膀胱の新しい治療 「仙骨神経刺激療法(SNM)」

過活動膀胱に対しては、2017年9月から「仙骨神経刺激療法(SNM)」も保険適用になっています。
「仙骨神経刺激療法」は、お尻の皮膚の下に埋め込んだ刺激装置から、排尿に関わる「仙骨神経」に持続的に「電気刺激」を与える治療です。電気刺激を発生させることで、過活動膀胱を抑えることができます。
この治療も、難治性の過活動膀胱が対象となります。また、「仙骨神経刺激療法」は「ボツリヌス毒素膀胱壁内治療法」より少し体への負担が大きい治療のため、専門家とよく相談してから行うかどうかを決めることが大切です。