厳しくなった高血圧の降圧目標 診断基準と血圧の正常値とは

更新日

高血圧 全身

降圧目標の厳格化

厳しくなった降圧目標

高血圧の人は血圧をどこまで下げるべきか。それを降圧目標といいますが、その値が、2019年から収縮期血圧(上の血圧)130mmHg未満、かつ、拡張期血圧(下の血圧)80未満に変わりました。従来は140未満かつ90未満でしたが、どちらも10ずつ厳しくなったのです。130未満かつ80未満まで下げれば、高血圧が原因で起こる脳卒中心筋梗塞は、より確実に防げると考えられます。
なお、これらは75歳未満の場合です。また診察室血圧の場合です。
※血圧の単位はmmHg(以下同じ)

高血圧、高値血圧、降圧目標の診断基準

高血圧、高値血圧、降圧目標の診断基準

上の血圧130~139、下の血圧80~89は、これまで「正常高値」と呼んでいましたが、現在では「高値血圧」と呼びます。高血圧とは診断されないものの、正常ではない高い血圧といった意味になります。

家庭血圧の場合

家庭血圧の場合の診断基準

診断基準140/90以上と降圧目標130/80未満は、医療機関などで血圧を測定した場合です。家庭で自分で血圧を測定した場合は、診断基準は135/85以上、降圧目標は125/75未満と、いずれも5ずつ低い値になります。

家でも測ろう!ただしい家庭血圧の測り方

高血圧の診断 具体例

高血圧の診断 具体例1

米山さん(仮名)は、すでに高血圧と診断され薬をのんでいます。現在の血圧は136/84。従来の降圧目標140/90未満は達成しています。しかしこれで安心せず、新しい降圧目標130/80未満まで しっかり治療します。といっても、すぐに薬を増やすわけではありません。まずは生活習慣の改善を行います。そうすれば薬の効きも良くなり目標達成できることが多いのです。

大切な臓器を守る 高血圧の薬が重要な理由

高血圧の診断 具体例2

白石さん(仮名)は、高血圧と診断されたことはありません。しかし、最近少し血圧が上がってきて、健康診断では 134/86でした。高血圧とは診断されませんが、やはり生活習慣の改善を開始し、130/80未満を目指すことがすすめられます。

後期高齢者の場合

後期高齢者の場合の降圧目標

ここまで示してきた降圧目標130/80未満は、75歳未満の場合です。75歳以上の降圧目標は、原則として140/90未満です。(いずれも診察室血圧)

生活習慣の改善で高血圧予防

高血圧につながる生活習慣

高血圧と診断された場合、薬を使って治療することもありますが、まず大事なのは生活習慣の改善です。高血圧につながる塩分のとり過ぎ、肥満、運動不足などを改めます。こうした生活習慣の改善は、高血圧の予防にもなります。

とりわけ塩分のとり過ぎは、日本人の高血圧で最大の問題です。さらに最近は、肥満がそれに並ぶほどの問題になっています。肥満によっておなかにたまる脂肪はさまざまな物質を分泌しますが、その影響で血圧が上がってしまうのです。

高血圧のQ&A

『Q&A高血圧』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年10月号に詳しく掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    高血圧対策 ここが肝心!「ここまで下げよう」