小腸や大腸に炎症が起き、だるさなど全身症状も現れるクローン病

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進行すると手術が必要になる

潰瘍性大腸炎とクローン病
大腸の図

クローン病は、潰瘍性大腸炎と同様に、免疫細胞の過剰な反応によって腸に炎症が起こる病気です。潰瘍性大腸炎では、炎症が起きるのは大腸の粘膜だけです。一方、クローン病では、大腸だけでなく小腸にも炎症が多発します。また、口腔内から肛門まで、消化管のいろいろな部位に炎症が起こる可能性があります。また炎症が広い範囲に及ぶため、だるさや食欲不振などの全身症状が現れることもあります。

クローン病の炎症は、消化管の粘膜の表面にとどまらず、粘膜下層から炎症がはじまり、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜にまで及びます。腸の深いところまで炎症が及ぶと、潰瘍ができて腸が狭くなる狭窄(きょうさく)や腸に穴があく穿孔(せんこう)、そして、腸と腸がつながって内部でトンネルが形成される瘻孔(ろうこう)など腸の変形が起こります。こうした腸の変形は自然に元に戻ることはないので、手術が必要になることもあります。

クローン病の原因は、まだはっきりとわかっていませんが、免疫の働きを担う白血球の一種、マクロファージの機能異常によって起こると考えられています。マクロファージは体内のさまざまな場所に入り込むため、全身に症状を引き起こすこともあります。

小腸の内視鏡検査①カプセル内視鏡検査

カプセル内視鏡
カプセル内視鏡

クローン病の診断には、大腸だけではなく小腸を観察することが重要です。小腸を観察するのに使われるカプセル内視鏡は、長さが約3cm、幅が約1cmの大きさでカプセルの片側にカメラが付いています。カプセル内視鏡を口からのみ込み、小腸の中を移動させながら、様子を撮影していきます。その間は、激しい運動をしなければ、仕事や家事など通常の生活しながら検査することができます。

小腸の内視鏡検査②バルーン内視鏡検査

小腸の内視鏡検査②バルーン内視鏡検査
小腸の内視鏡検査②バルーン内視鏡検査

小腸の検査では、バルーン内視鏡も使われます。バルーン内視鏡は、曲がりくねった小腸を観察しやすくするために、バルーン(風船)を組み合わせて構成されています。バルーンを膨らませて小腸を広げて固定し、内視鏡を進めながら、小腸内を観察します。狭くなっているところを広げたり、出血があれば止血したりすることができます。

クローン病の治療

経腸栄養療法と中心静脈栄養療法
クローン病、薬による治療

クローン病になると、小腸で十分に栄養を吸収することができなくなります。また、食事による腸の負担を減らすために腸を休ませる必要があります。そのため、食べること以外で栄養を補給する栄養療法が行われます。経腸栄養療法は鼻から十二指腸まで挿入したチューブを通して、消化しやすい栄養剤を注入します。中心静脈栄養療法は胸などの静脈から挿入したカテーテルを通して栄養剤を注入します。腸の狭窄が強い場合や炎症が広範囲に及んでいる場合に行われます。

また、クローン病の薬による治療では、軽症の場合は5-アミノサリチル酸製剤が使われ、中等症の場合はステロイド薬と免疫調節薬を併用します。重症の場合、従来から使われている抗TNF-α抗体製剤のほか、抗IL-12/23p40抗体製剤という新しい薬が使われることもあります。抗IL-12/23p40抗体製剤は、クローン病の発症に関わると考えられている物質の働きを抑え、症状を改善します。また、痔などの肛門の症状がある場合は、抗菌薬が使われます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年9月号に詳しく掲載されています。

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