摂食えん下障害とは

食べたり飲んだりすることを摂食、口の中の食べ物や飲み物を安全にのどを通過させ、飲み込むことをえん下といいます。食べ物を飲み込むときには、喉頭蓋[こうとうがい]というふたが気道の入り口を塞ぎ、食べ物が気道に入らないようにすると同時に、のどの周囲では食べ物を食道に送るためのさまざまな動きが瞬時に起こっています。こうした一連の動きが、加齢や、脳卒中後の麻痺(まひ)など何らかの原因でスムーズに行えなくなると、食べ物や飲み物が誤って気道に入ってしまうことがあり、これを誤えんといいます。
飲み込みが悪く誤えんしやすい状態が続くと、誤えん性肺炎を起こしたり、食事や水分の摂取量が減って低栄養や脱水が起こることがあります。こうした摂食えん下障害の状態になると、好きな物を思うように食べられなくなり、食べる楽しみも失われてしまいます。「よくむせる」「たんがからんだようなしゃがれ声になる」「よくこぼす」などの症状が目立つときには注意が必要です。