コンプライアンス委員会

第1回(2013.1.15) ブリーフィング

日  時:平成25年1月15日(火) 13:15 〜 13:45

説明者:月尾座長、村上座長代理

 

(司会)

  • 本日、経営委員会の諮問機関である「『外国人向けテレビ国際放送』の強化に関する諮問委員会」の第1回会合が開催され、委員の互選により月尾委員が座長に決まり、座長の指名により村上委員が座長代理に決まりました。 まず初めに、月尾座長から一言申し上げます。

 

(月尾座長)

  • 本日、初回の会合が開かれ、NHKの国際放送担当の冷水理事と日本国際放送(JIB)の川上社長からご説明を受けた。
  • 時間に少し余裕があったので、各委員から今回の諮問委員会にどのような気持ちで参加しているのかを、お聞きした。
  • 主な意見の一つは、国際放送をどのような目的で実施するのか、明確にすることが必要ではないかということ。目標は一つではなく複数でもいい。1月1日の読売新聞に記事が出ていたが、民間が今年中にシンガポールで「ジャパン・チャンネル」を開局する。そういう中で公共放送として民間とは違う目的を持つ必要があり、その点について、これから議論していくことになる。
  • もうひとつは著作権処理の問題。特に古い番組を英語にして海外で放送する場合、肖像権をはじめ様々な問題があり、これをクリアできないことが日本の映像コンテンツの海外流通のネックになっている。これをどうするかも重要な議論だが、総務省の検討会との兼ね合いもあるので、諮問委員会では突っ込んだ形ではなく、何が問題なのかを明確にするにとどめることになると思う。
  • 私は2年前の今頃、ベトナムの中国国境に20日間ほど滞在したことがあった。その時村に1台しかないテレビを見ていた子供が「今一番好きな国は韓国だ」と答えたことに非常に驚いた。以前ベトナム人が最も嫌いな国は韓国だったが完全に逆転している。その背景にあるのが、韓国が一種の国策としてドラマなどを無償提供していることだ。
    また、ある雑誌にブータンの少女が「今の幸福度は10点満点中8点で、2点足りないのは韓国に生まれなかったこと」と答えたという記事が載っていた。そういう効果が映像コンテンツにはある。
    現在、日本は必ずしも国際的プレゼンスが高いとは言えない状況なので、日本のプレゼンスをあげるにはどうしたらいいかも議論したい。
  • また、国際放送の予算は、総務省からの交付金と受信料で今年度133億円だ。現在、英語だけで放送しているが、世界に浸透させるためには、多言語化が必要で、当然そのための予算がいる。予算をどうやって獲得していくかということも、方策として検討する必要があると思う。
  • さらに、JIBではNHKのOBが顧問的な立場で制作のアドバイスをしていると思うが、地上波や衛星波でもやっているように、民間のプロダクションからも提言を受け番組内容を考える方向になればと思っている。これは私の個人的な意見で、諮問委員会で今後議論になるかどうかわからないが、そう考えている。

 

 

<以下、質疑応答>

 (記者)  諮問委員会の目的を明確化することが大事だということだが、各委員から「こういう国際放送にしたい」という意見が出たのか。
 (月尾座長)  そういう意見はまだ出ていない。各委員からは、漠然と議論するのではなく、国際放送はどのような目的で実施するのか明確にしないと以後の議論が発散するというご指摘があった。
 (記者)  国策という話もあったが、韓国や中国がやっているように、日本の主張を海外に広めていくことも目的の一つと考えないのか。
 (月尾座長)  政治的なこととかなり関係するのでなかなか難しい。私は当面、文化を広く知ってもらうこと、例えば日本でしか見られない流氷を中国、韓国、台湾の人々が見に来ている。そういう自然も文化の一部だし、各地域にある伝統文化もそうだが、文化を知ることによって日本を理解してもらうことが当面の取り組みだと思う。政治的な主張の扱いを簡単にこの委員会で決めるべきではない。今回の諮問委員会は、番組審議会とは違うので、個別の番組内容についてどうするかは議論できないと思う。それは別の組織が行うことだ。方向として国際的課題にどう対処すべきかという議論をする可能性はあるが、それを明確にできるかどうかはかなり微妙な問題だと思う。
 (記者)  現在の国際放送は国策を反映したものではないと思うか。
 (月尾座長)  今回の諮問委員会に参加するということになり、急きょいくつか番組を見たが、必ずしもそうではない。どちらかというと、今申し上げたような、文化や技術を紹介する番組が多いと受け止めている。
 (記者)  NHKとJIBから説明を受けたということだが、突っ込んだ説明があったのか。
 (月尾座長)  十数ページの資料がまもなくNHK経営委員会ホームページで公開される。その資料に沿った説明で、それ以上詳しい説明はない。まだ確定ではないが、次回2月の諮問委員会では詳しく説明してもらい、質疑応答をするので、どういうことが問題になっているか議論されることになると思う。
 (記者)  資料の公開はいつになるのか。
 (事務局)  開催日の2週間後から1か月後の間を目途に、議事の概要と可能な資料を公開する。
 (記者)  民間とは違う形とおっしゃっていたが、どういったイメージか。
 (月尾座長)  1月1日の読売新聞の記事で紹介された「ジャパン・チャンネル」は商社の活動をバックアップしたり、日本製品が外国で売れるような番組を放送するという意向が伺える記事であった。NHKの場合、先端技術を紹介する形で、日本製品の購買に結び付くということも必要だが、単に日本製品を売るためだけでなく、文化を理解してもらい、日本のファンになってもらって、結果としてビジネスが広がっていけばいいというスタンス。露骨にビジネス支援ということではないという気持ちだ。
 (記者)  文化や自然を広く伝えることを当面重視したいということだが、今もすでにそういう番組を放送しているが、それでも日本の国際的プレゼンスがあがらない理由は何だと思うか。
 (月尾座長)  まず一つは新たな国際放送が始まってから4年しか歴史がないこと。受信環境の整備がかなり行われ、アメリカでの一部視聴まで入れると視聴世帯が2億世帯を突破するが、番組内容以前にこれまでは視聴環境が十分に整備されていなかったことと、歴史が浅く認知度が低いのが理由だと思う。諮問委員からこれまで国際放送をおこなってきたのに、なぜBBCなどのように見られていないのかを、放送局の立場から経緯を説明してほしいと意見もあったので、そこで明確になると思うが、現状ではBBCワールドなどと比べて投入金額が小さいことと、歴史が浅く、英語でしか放送していしないことも関係すると思う。その辺は次回、経緯を説明してもらってから、いろいろ検討していくことになると思う。
 (記者)  ベトナムでの体験の話があったが、韓国のドラマというのは?
 (月尾座長)  日本でよく放送されているごく普通の韓流ドラマ。日本は放映権を購入しているようだが、ベトナムやブータンではほとんど無償提供。24時間放送しているチャンネルもあると聞いている。
 (記者)  参考にする部分としては多言語化以外であるのか。
 (月尾座長)  韓国は97年にクールコリア戦略をつくり、国が積極的に関与している。番組の無償提供も国がほとんど支援している。日本はそういう状況にはないが、果たして日本のような国が国策としてどんどん売り込むのがいいのか、国が丸抱えですべての番組を買い上げて世界中に無償で提供するのがいいのかという疑問もある。
 そこまで国が丸抱えしていくことになると、国の意向に沿わない番組は放送できないということになってしまう。編集権の問題にも抵触するし、韓国のように国が丸抱えでやるようなことを、日本でやることは適切ではないと考えている。
 (記者)  国の支援や連携はいまのところ考えていないということか。
 (月尾座長)  テレビ国際放送への国の支援は経済的に24億円ぐらいいただいているわけで、もちろんそれが増えていくことも必要だ。日本では外務省、内閣府、経済産業省などいろんな役所が日本を海外に認知してもらうための広報予算を持っているが、そういったものをもう少しうまく統合し、ベクトルをそろえるようなことを考える必要があるのではないかと思う。役所は縦割りなので容易ではないが、観光庁が観光のためにつくっている番組をまとめて歩調をあわせるような方向にもっていくことが可能であればと思っている。
 (記者)  著作権がネックになるという話があったが、これを解決するアイディアは。
 (月尾座長)  大変に複雑で簡単ではない。新規の番組は、最初から承諾を得て自由に使えるような方向に動いているようだ。そういうことを進めていくことで新しい番組は海外を含め国内でも比較的容易に再放送できる方向になると思うが、過去の膨大なストックについては、放送の需要があるかどうかは別にして、なかなか簡単ではない。総務省がそれを検討しているという状況だと思う。
 (記者)  現在、NHKの子会社という形でJIBが業務を行っているが、今後も子会社のままでいいのか、完全に民間として自立するとかといったことも、踏み込んで議論される可能性はあるのか。
 (月尾座長)  今日もJIBの川上社長が、独自の予算調達、民間からの広告費を兼ねたような形で受託することを検討していると言われていた。独自の予算を増やしていく方向には努力されると思う。そのような費用では企業イメージを世界に知らせることはできるが、特定の商品を宣伝することは、国によって状況も違うので、なかなか難しい。少なくともJIBは独自で経営資源を増やす努力はすると言われていたので、我々もそれを議論する可能性はあると思う。
 (記者)  方向性として、将来的にはJIBを自立させて、独立採算でという考えか。
 (月尾座長)  独立採算までいくのかどうかは分からないが、私は多様な発信源があった方がよいと思っている。ジャパン・チャンネルなど別の発信源も出てくるが、NHKがJIBを吸収して一本ということではないほうがいいと思っている。少なくとも今のような状況ではJIBがあるほうがいいと思う。
 (事務局)  補足だが、総務省に法定子会社であるJIBのあり方について、法制度面での研究会があり、そこで検討されると聞いている。

 

以上