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NHK経営委員会

NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申への対応について

 

 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会(以下「審議委員会」という。)の答申814号・815号・816号において、開示すべきとされた資料を開示します。

 

 経営委員会では、開示すべきとされた2度目の答申であることを重く受け止め、慎重に、幅広く検討を重ねてきました。途中、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、経営委員会はリモートによるテレビ会議システムにより開催していたこともあり、2月4日に同答申が出されてから、開示の判断に至るまで4か月以上の時間を要しました。

 

 経営委員会の議事録は、放送法第41条に基づき作成していますが、対象文書は、整理、精査されていない粗起こしのものです。通常、議事録は経営委員会において内容を確認したうえで、委員長または委員長職務代行者および監査委員会が選定する監査委員1人が署名するという公表のプロセスを経ていますが、対象文書は、公表する議事録とは異なり、内部での作成の過程に位置づけられる資料であり、整理、精査されていないだけでなく、経営委員会での確認を経ていないものです。

 

 経営委員会で幅広く、真摯に検討した結果、非公表を前提とした議論を開示することは極めて異例の対応ですが、経営委員会が「役員の職務の執行の監督」という極めて重要な権限行使として会長を注意したという特異な事案であり、開示すべきとされた審議委員会の2度目の答申を尊重し、対象文書を開示することにします。

 

 なお、2018年当時の経営委員会での非公表を前提としたやりとりが、経営委員会の預かり知らぬところで、マスコミに報じられたことは大変遺憾であります。今後、ガバナンスの基本である情報管理の徹底に向けて、更なる機密保持の強化を検討してまいります。

 

【参考】

 

1.非公表とした経緯について

 これまで国会で、経営委員長に対して、郵政3社からの申入れに関するやりとりと、上田前会長に対する注意に関する経営委員会での非公表のやりとりを公表すべきという指摘を受けてきましたが、郵政3社という相手方のある案件であり、また、非公表を前提とした議論であったことから、今後の経営委員会の運営に支障をきたすおそれが考えられたため、経営委員会の総意として、公表は差し控えていました。

 

2.審議委員会の答申について

  • 2020年5月に、審議委員会から第1回目の答申があり、視聴者に対する十分な説明責任を果たすことが求められている状況を勘案すると、対象文書を速やかに開示することが必要とされていました。
  • 審議委員会からの答申で開示せよとされた対象文書は、非公表の前提で議論された内容であり、当時の対象文書を公表することになると、非公表の前提を覆すことになり、今後の経営委員会の運営に支障をきたすことが考えられるので、経営委員会の総意として、公表しないことを確認しました。
  • ただし、NHK情報公開規程第21条「NHKは、審議委員会の意見を尊重して、再検討の求めに対する開示・不開示等の判断を行う。」に基づき、対象文書は非公表であり、公表する形に整理、精査されたものではないものの、経営委員会として、答申の趣旨を尊重し、その内容を整理したうえで回答しました。
  • 2021年2月に、審議委員会から第2回目の答申があり、前回の対応では不十分で、対象文書そのものを開示せよという指摘がありました。
  • 答申の中で「公開制度の対象となる機関自らが対象文書に手を加えることは制度上予定されていないことであり、それは対象文書の改ざんというそしりを受けかねない危険をはらむものである。」とありましたが、経営委員会としては、十分な説明責任を果たすという答申の趣旨を尊重し、その内容を整理したうえで回答したものであり、「改ざん」という意図は全くありません。

 

3.経営委員会での検討・結果について

 本件は、経営委員会が「役員の職務の執行の監督」という極めて重要な権限行使として会長を注意したという特異な事案であり、情報公開規程第21条をふまえ検討した結果、対象文書そのものを開示せよという審議委員会の2度目の答申を尊重して、対象文書を開示することを決めました。

 

4.当時の議論について

 一部の新聞報道等では、当時の経営委員会でのやりとりについて、放送法が禁じる経営委員の番組介入だという批判がありますが、放送法第32条の規定のとおり、経営委員会が番組の編集に関与できないことは十分認識しています。議論にあたり、会長が番組についての最終責任を負っている以上、郵政3社からの抗議のもととなる番組について確認する必要があり、郵政3社からの書状に記載されている担当チーフ・プロデューサーによる、番組制作について会長は関与しないという発言の経緯や状況について確認するために、既に放送された4月の番組や、7月7日と10日のSNS動画について、意見や感想を述べ合ったものであり、具体的な制作手法等について指示したものではありません。
 もともと上田会長は、現場にはのびのびと仕事をしてほしいという考えを示されていましたが、担当チーフ・プロデューサーの発言からも、番組制作の最終的な責任者が会長であるというガバナンスの放棄につながるおそれがあるため、会長から改めてガバナンスを効かせるべきだということを厳しく伝え、注意したものです。
 また、答申においても「本件文書を当委員会において見分したところ、各経営委員が率直な意見を述べ合い、突っ込んだ検討が行われていることが窺われる。内容的には、当時の会長に係るガバナンスに問題があったか否か、会長に何らかの対応を求めるべきか否かに関する議論が中心になっており、NHKの運営全般に責任を持つ経営委員会として必要な議論が行われたことが認められる」と記載されているとおり、あくまでガバナンスについて審議・検討した内容と確認されています。

 

5.その他

 対象文書の内容は、非公表を前提とした意見交換の場で行いましたが、経営委員会が会長に注意を申し入れたことの重要性や経営委員会の透明性に鑑み、当時の経営委員会の内容についてはすでに、2019年10月、および2020年3月にホームページに公表し、2020年7月には、所定の手続きを経て議事録に追記する形で公表しています。

 

以上