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平成23年3月8日

NHK経営委員会

 

新会長任命に至るまでの過程についての検証と総括

 


 経営委員会は、平成23年1月15日、指名委員会の審議を経て松本正之新会長任命を議決しました。しかし、ここに至るまでの過程に対する多くの厳しいご批判を真摯に受け止め、監査委員会からの「新会長任命に至るまでの過程についての調査報告書」(以下、監査委員会調査という)も踏まえて、経営委員会として検証を行うとともに今後の改善に向け総括を行いました。
 何よりもまず、安西祐一郎慶応義塾大学前塾長に対しましては、いったん会長就任を要請しながら今度は辞退を促すかのような受け止めをされても致しかたない事態となり、結果としてご名誉を大きく傷つけ、大変なご迷惑をおかけしました。心から深くお詫び申し上げます。また、国民、視聴者の皆様に対しましてもご迷惑、ご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます。

 

Ⅰ 検証

1.会長任命のための指名委員会の立ち上げについて
 指名委員会の立ち上げは、平成22年11月24日であったが、前回の会長任命時より遅かった。平成20年4月の放送法改正により経営委員会の権限が大きくなった後初めての会長任命を、公正に、透明性をもって進めるために検討すべきことが多いとの認識から、早期の取り組みを要請する委員も多かったが、前委員長の判断からこの時期になった。
 その結果、「会長候補を選考する際の手続き」を検討する時間が短く、周到さを欠いた。

 

2.会長候補を選考する際の手続きについて(以下、手続きという)
 12月7日開催の指名委員会で決定された、以下の(1)〜(4)の手続きがどのように運用されたかを検証する。

(1)会長候補の推薦者は全経営委員とする。
 会長任命に責任を持つ経営委員が候補者を推薦することを合意したが、公正性を保つため、推薦にあたり候補者との独自の事前交渉はしないことを申し合わせた。従って、会長候補になっていただけるかどうかの確認のないままであった。

(2)指名委員会で、候補者に打診する優先順位を決定する。
 12月21日の指名委員会で、複数の候補者が、会長候補になっていただけるかどうかの確認のないまま、推薦されたので、その打診をする優先順位を多数決で決定した。相対多数で第1位の安西氏について、会長任命の議決に必要な9票には届いていなかったが、一本化の議論は行われなかった。また、第1位の安西氏が受けなかった場合、次の順位の方に打診することを確認していた。
 各委員は、打診の結果、会長候補になることを受けた方について、次回の指名委員会で審議し経営委員会で議決するものと認識していた。

(3)優先順位第1位の候補者に対し、打診を行う。
 優先順位第1位の安西氏に対しては、推薦者である前委員長単独で打診を行ったが、その結果、交渉内容が他の委員に正確に伝わらなかった可能性が高い。 
 打診結果については、委員長から各委員に対し電話で「受けられた」旨の連絡があった。監査委員会調査によると、それに対して各委員は決定された手続き通り「会長候補になることを受けていただいた」と基本的には理解した。
 一方、安西氏は、前委員長より3度の「会長就任要請」に対し辞退していたが、12月27日に前委員長に「就任内諾の意向」を伝えた旨明言されている。安西氏に対する打診において、決定された手続き通りの正確な交渉だったか疑念を否めない。

(4)指名委員会の審議を経て経営委員会で任命の議決をする。
 いわゆる3条件報道などもあり、任命議決に必要な9票以上集まらないという状況を安西氏に伝えた結果、1月11日安西氏が会長就任拒絶の記者会見を行った。その結果、これまでの候補者打診に基づき予定されていた会長任命のための指名委員会及び経営委員会は開催に至らなかった。

 

3.情報管理について
 監査委員会調査により、会長任命に至るまでの過程において、経営委員会で管理されるべき事象についての基礎調査に基づき、情報管理の検証がなされた。その結果報告によれば、前委員長を含む12名の全委員が「経営委員会委員の服務に関する準則」を遵守して行動した旨確認すると共に、各経営委員が、各種報道の情報源になったという事実は認められなかったということである。経営委員会としては、これ以上の解明は出来ないと考える。
 しかし、経営委員12名のみで議論した会議内容が報道された事実から、情報管理に不備があったことは間違いなく、経営委員会として強く反省する。

 

 

Ⅱ 総括

1.会長任命のための指名委員会の立ち上げについて
 指名委員会を早期に立ち上げていたならば、例えば優先順位第1位の候補者を相対多数で決定することに問題はないか等手続きを周到に検討し議論出来たと考えられる。しかし、委員間では、会議運営は基本的に委員長の所掌事項と認識していたため、結果的に指名委員会の立ち上げが遅れてしまった。今後は会議運営にも全経営委員の意見を反映し責任を持つこととする。その会議運営にあたっては、全委員が十分な検討と議論のできる時間を取れるようにする。

 

2.会長候補を選考する際の手続きについて
 今回採用した手続きについては、上記の検証のとおり問題点が指摘される。すなわち、

  • 会長候補となっていただけるかの打診の優先順位の決定において、第1位の候補者が会長任命に必要な9票に届かない可能性があること。
  • 会長候補になっていただけるかの打診と会長就任要請とは、その違いを十分に、正確に伝えなければ、それを受ける側には紛らわしく、誤解を招く可能性があること。また、この点に関しては、会長候補になる方はどなたも見識、実績等極めて高く、会長候補になっていただけるかの打診が失礼に当たり、この手続きそのもの

 を問題視する指摘もある。

 このようにみると、今回採用した手続きは、再検討すべきと考える。しかし、この手続きは会長任命の公正性、透明性をはかるとの趣旨から決定したことに鑑み、次回の会長選出に向けて、一概に見直すより、時間をかけて議論を尽くし再検討されるべきである。そのため、指名委員会で、上記の問題点を引継ぎ、周到に検討、議論し、あわせて適宜、経営委員会での意見交換も入れてまとめ、経営委員会において適正な手続きを明文化していく。

 

3.情報管理について
 監査委員会調査の結果、情報管理上望まれる事項の指摘があるので、経営委員会としては、これを真摯に受け止め、一つひとつ具体化していくこととしたい。

(1)外部に対する情報伝達についての経営委員共通認識の醸成
 経営委員会の議事は公開を原則とするが、情報内容について区分し、個人情報など必要と認められる事項は機密扱いとすることとし、全委員で認識を共有する。機密を含む事項については、その会議の終了までに取り扱いについて出席者全員で協議する。
 また、経営委員は毎年1回、「経営委員会の服務に関する準則」の厳守を誓約する。

(2)重要事項の外部伝達に関し、複数経営委員が立会うなどの方法論の策定
 外部関係者との経営委員会運営上についての重要な面談・接触については、複数の経営委員が立ち会う。

(3)経営委員会内部での必要な情報共有化ルールの策定
 全経営委員が同じレベルの情報を共有するため人事等重要事項については、委員が一堂に会して報告を受けることを原則とする。

(4)経営委員間の情報交換ルート、伝達ルールの確立
 緊急時に会合を持つことが不可能な場合等の情報交換について、セキュリティの整ったIT等の活用を検討する。その場合、委員間での情報レベルが同一となる伝達ルールを盛り込む。

 

 以上新会長任命に至るまでの過程についての検証と総括をすると、経営委員会として、指名委員会の立ち上げを含む手続きに関する不備、ならびに情報管理上の不備から混乱を来たしたものと痛感し、深く反省しています。
 この混乱については、前委員長が委員長だけでなく経営委員も辞任したということで、経営委員会としては包括的な責任を取ったと認識しています。他の経営委員は深い反省と責任を痛感しつつ、早期に、総括に基づく改善に取り組み、経営委員会に対する信頼を回復して、完全デジタル化など激変する状況下で公共放送NHKがその役割を果たしていけるよう、最大限努めていくことが責務と考えています。
 今後は、経営委員一人ひとりが、職責の重さを改めて認識し、信頼される経営委員会の運営の向上にいっそう真摯に取り組んで参ります。

 

以上