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平成30年度 第4回
学生ミーティング@NHK技研
(平成30年9月19日(水)開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成30年度第4回は、参加対象を大学生・大学院生に限定し、「“202Xの公共メディア”学生ミーティング@NHK技研〜視聴者のみなさまと語る会〜」として、東京都世田谷区のNHK放送技術研究所で開催した。
 なお、大学生・大学院生に限定した「語る会」は、武蔵大学(平成21年度)、関西学院大学(平成22年度)、中央大学(平成25年度)、東京藝術大学(平成26年度)、埼玉大学(平成27年度)、お茶の水女子大学(平成27年度)、近畿大学(平成28年度)、立命館大学(平成29年度)に続き、9回目の実施となった。
 当日は、参加した学生を3つのグループに分け、各グループに経営委員、理事がそれぞれ加わり、「ネット時代の公共メディア」というテーマで、首都圏の12大学から集まった43名の学生から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

「“202Xの公共メディア”学生ミーティング@NHK技研〜視聴者のみなさまと語る会〜」

 

<会 合 日 時>

平成30年9月19日(水)午後2時〜午後4時50分

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

大学生・大学院生の皆さま 43名

〔経営委員〕

森 下 俊 三  (委員長職務代行者)

 

井 伊 雅 子  (委員)

 

村 田 晃 嗣  (委員)

〔執 行 部〕

児野 昭彦  (専務理事・技師長)

 

鈴木 郁子  (理事)

 

松坂 千尋  (理事)

〔司 会〕

加藤 成史  アナウンサー

 

< 会    場 >

 NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明、協会の基本方針、重要事項について

3 最新放送技術やNHK放送技術研究所の紹介

4 意見の聴取(グループディスカッション)

 テーマ:「ネット時代の公共メディア」

5 各グループディスカッションの報告

6 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、MITメディアラボ・伊藤穣一所長による「The Practice of Change 〜変革論〜」と題した講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、ホームページなどを通じて申し込みがあった46名のうち43名が参加した。

  • 当日は、3つのグループに分かれて「ネット時代の公共メディア」をテーマにしてディスカッション形式で進行した。

  • グループディスカッションでは、はじめに参加者がふせんに意見を書き、それらをすべてボードに貼り、意見を可視化した上で議論を進め、限られた時間の中でより多くの意見を聴取することができた。

  • 参加者からは、「常時同時配信」「インターネット向けサービスの取り組み」「公平・公正な報道」「若い世代の接触率向上に向けた取り組み」「受信料制度の理解促進」「地域発信」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、43名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり

    <参加者の満足度>
     「大変満足」11名、「満足」21名、「普通」9名、「不満」0名、未記入2名

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が36名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (井伊委員)

 NHK経営委員の井伊雅子です。NHKの経営委員には平成27年3月に任命されました。
 きょうは“202Xの公共メディア”学生ミーティングにお越しいただいて、本当にありがとうございます。皆さんの声を直接聞く機会をとても楽しみにして参りました。
 NHKの経営計画や活動について説明をする前に、私たち経営委員についてご紹介いたします。
 NHKの経営委員は放送法にもとづき、国会の同意を得て、内閣総理大臣から任命されています。さまざまな分野や地域から12人が選ばれており、経営委員会で経営の基本方針や予算、事業計画などを決めています。また、会長の任命も行い、執行部が決めた方針にそって、NHKを運営できているかどうかをチェックするのも経営委員の仕事です。
 私たち委員は、NHKの経営にあたり、視聴者のご意見をふまえた適切な判断や検討をおこなうことがもとめられています。そのため、放送法に基づき、本日のような機会をいただいて、皆さまから直接お話を伺う会合を各地で開いています。
 皆さまから、事前にいただいたアンケートに、こんな質問がありました。
 「ネット時代のテレビ局のあり方として、NHKはどんな形をめざしていますか」
 その「めざすもの」が書かれたものが「NHK経営計画2018-2020」です。概要を皆さまのお手元にもお配りしています。
 経営計画は、経営の基本方針です。私たち経営委員と執行部が、話し合いを重ねてまとめました。NHKは、「いつでも、どこでも」視聴者の皆さまのそばで役に立ち、「情報の社会的基盤」としての役割を果たす、“公共メディア”への進化をめざしています。

 

 ○ビデオ「公共放送NHK」より「NHK経営計画2018-2020」の5つの重点方針とその具体例について説明

  • “公共メディア”への進化(NHKニュース・防災アプリなどインターネットサービス、4K・8K放送、国際放送など)
  • 多様な地域社会への貢献(視聴者参加型番組、公開番組など)
  • 未来へのチャレンジ(東京オリンピック・パラリンピックなど)
  • 視聴者理解・公平負担を推進
  • 創造と効率、信頼を追求

 

 皆さんから頂いたアンケートの中には、こんな質問もありました。
 「NHKではなぜコマーシャルを流さないのですか?」
 NHKは皆さまからいただく受信料で運営されています。税金でも広告収入でもなく、皆さまに公平に負担していただく受信料だからこそ、特定の利益や意向に左右されることなく、公共放送NHKとしての役割を果たすことができます。こうした考えから、放送法の中で「NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」と定められています。
 学生の方が親元から離れてひとり暮らしをされている場合でも、ご家族とは別に受信料のお支払いが必要になりますが、受信料が半額になる「家族割引」などの制度もあります。
 受信料の負担軽減にも取り組んでいます。親元などから離れて暮らす学生のうち、経済的理由の選考基準がある奨学金制度の奨学金を受給されている学生の方や、経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている学生の方などを対象に、来年2月から、受信料の免除を実施します。
 最後に、こんなご質問もありました。
 「若者のテレビ離れをどうとらえていますか」
 未来を生きる皆さんがどんなメディアや情報なら必要と思っているのか。これがまさに私たちがきょう皆さんから聞きたいことです。
 ぜひ、グループディスカッションで、率直なご意見をいただきたいと思います。きょう一日、一緒に未来の公共メディアを考える仲間になってください。よろしくお願いいたします。

 

 (加藤アナウンサー)
 井伊委員からの説明でした。さて、本日ご来場いただきましたこのNHK放送技術研究所、放送技術研究の最先端の場所です。
 この技研にはどんな役割があるのか、概要について、NHK放送技術研究所三谷公二所長からご説明いたします。

 

 (三谷所長)
 本日は「視聴者のみなさまと語る会」“202Xの公共メディア”学生ミーティング@NHK技研にご参加いただきまして、ありがとうございます。NHK放送技術研究所の所長をしております三谷です。
 NHK放送技術研究所(技研)は、公共放送の研究機関として、最先端の技術を活用して、直近だけではなく、さらに未来を想定して放送技術およびサービスの研究開発において先導的な役割を果たしています。
 設立は1930年、ラジオ放送が始まった5年後になります。その当時は1940年に東京オリンピックが予定されており、そのオリンピックに向けて世界初のテレビ中継を実現しようということで研究を始めました。現在、職員数256名、6つの研究部と3つのマネジメント部門でデバイスなどの基礎研究からシステムやサービス技術までの一貫した研究を推進しています。
 技研から生まれた技術をいくつかご紹介します。今、皆さまにご覧いただいているハイビジョンは技研で研究開発されたものです。そして衛星からの電波を家庭で直接受信する衛星放送、これも技研で研究開発し実用化された世界初の技術です。さらに、技研で約20年かけて研究開発してきたスーパーハイビジョンも12月にいよいよ本放送を開始します。
 スーパーハイビジョンは、これまで技研の大きな研究開発テーマでしたが、実用化段階に達しました。そこで、技研では、次の大きなテーマの研究開発に着手しているところです。その一つとして技研が目指している、将来の放送サービス「ダイバースビジョン」について簡単にご紹介します。
 現在の放送サービスは、ハイビジョン放送ではハイビジョンの番組を制作して放送しています。そして、ハイブリッドキャストというテレビ放送とインターネットが連携したサービスのコンテンツも制作しています。また、新しく始まる4K・8Kの衛星放送では4K・8Kの番組を制作していくということで、それぞれの放送メディア、視聴スタイルに応じて、個別にコンテンツを制作して提供しています。
 最近、インターネットや通信技術、IoT技術などが目覚ましい進歩を遂げています。今後は、3次元表示やAR・VRなどの新しい表示デバイスや、体に装着してコンテンツを見る“ウェアラブルデバイス”なども高度に発達していくと考えています。
 このように、今後、コンテンツとその視聴スタイルがますます多様化していく中で、視聴者の皆さまからすると、もっと見たいコンテンツを簡単に、できるだけ高いクオリティで見たいという要望が出てくるのではないかと考えています。
 そこで私たちは、必要なデータをコンテンツや表示・再生デバイスに依存しない統一的なフォーマットで視聴者の皆さまにお届けし、コンテンツが利用する機器や視聴環境に合わせて適応的に再生される仕組みを作ることで、多様化する視聴スタイルに対応し、誰もが好みのスタイルで自由にコンテンツを楽しむことができる放送サービスを実現できるのではないかと考えています。このようなサービスを「ダイバースビジョン」と名づけて、その実現に向けて研究を進めています。
 本日のテーマの“202X”年よりさらに先になりますが、ダイバースビジョンが実現する2030年から40年頃には、番組制作では映像や音だけではなく、被写体の3次元形状や質感をさまざまなセンサーで取得して、さらに、それらをAI技術で自動的に処理してコンテンツとして作り上げるようになる。そしてコンテンツは、統一的なフォーマットで視聴者の皆さまに送られて、受信側では視聴スタイルに応じて再生される。例えば、画面の大きなテレビやスマートフォン、タブレット、さらには、3次元のディスプレイや、ヘッドマウントディスプレイなど、さまざまなスタイルでコンテンツを楽しむことができる社会が実現しているのではないかと想定しています。
 このような未来に向けて、この3か年、私たちは、リアリティーイメージング、コネクテッドメディア、スマートプロダクションという大きな3つのテーマで研究を進めていきたいと考えています。
 まず、リアリティーイメージングについてご説明します。ここでは臨場感を超えるリアルな体験空間の実現を目指し、技研で開発している8Kスーパーハイビジョンの技術をさらに発展させ、AR・VRの技術も加えた新しい空間表現メディアの研究開発を進めていきます。さらに、より高度な表現デバイスの実現に向けた基礎研究や、人間科学的な視点から3次元映像のコンテンツの制作手法などについても研究を進めていきます。
 次に、コネクテッドメディアでは、放送に加えてインターネット・通信も活用することで、多様化するコンテンツサービスを身近にあるモバイル端末でも簡単かつ快適に視聴できる技術や、日常の行動と番組情報を連携させることで、放送番組が日常の生活の中でより役立つサービス技術の研究を進めています。さらに、こうしたインターネット・通信の技術を番組制作にも活用して、離れた場所にある放送機器を使って番組を制作するIPリモート制作の研究開発も進めています。
 スマートプロダクションの研究では、AI技術を活用し、迅速・正確に幅広い情報を取得・解析して価値ある情報をタイムリーに視聴者の皆さまにお届けすることや、効率的な番組制作を実現するための研究を進めています。短時間でニュースなどの番組の素材や話題になるような情報を抽出することを目的とした、ソーシャルメディア・SNSなどのテキストビッグデータの解析技術、取材した映像の音声を効率的にテキストに書き起こす技術などの研究を進めています。
 また、視聴覚に障害のある方を含め、誰もが放送番組をより楽しんでいただけるよう、ユニバーサルサービス技術の研究も進めています。番組の内容をより理解していただけるように、映像の説明を付加する音声ガイド技術や、字幕や手話CGを自動的に生成する技術などを研究しています。また、海外からの日本に来ている方にも情報を届けられるよう、機械翻訳技術の研究も進めています。
 講堂の入口のスペースに、本日ご紹介した研究の成果の一部を展示しております。3次元ディスプレイ、スマートフォンとテレビの連携技術、リアルタイムの字幕生成システムを紹介しています。ぜひご覧ください。

 

 (加藤アナウンサー)
 三谷所長からの説明でした。
 本日は、NHKが海外に8Kスーパーハイビジョンを紹介するために、英語版で制作した北米のイエローストーン国立公園の番組と、サカナクションのライブ映像を2本続けてご覧いただきます。8Kの高精細映像と22.2サラウンドのダイナミックな音響を、ぜひお楽しみください。

 

○ 8Kスーパーハイビジョンの上映

 

 (加藤アナウンサー)
 この後は、参加していただいた皆さま全員からお話を伺えるよう、3つのグループに分かれて、「ネット時代の公共メディア」というテーマについて、皆さまからご質問、ご要望、ご意見などを伺っていきたいと思います。

 

≪グループディスカッション≫

 

○ グループディスカッションでは活発に意見を出していただくため、はじめに参加者がふせんに意見を書き、それらをボードにすべて貼り、全員の意見を可視化した上で議論を進めた。

 

○Aグループ  森下 俊三 委員長職務代行者、児野 昭彦専務理事・技師長、加藤アナウンサー

 

(司会・加藤アナウンサー)
 司会をしております加藤成史です。NHKのアナウンサーになって30年になります。私も工学士でして、理系でした。

(森下委員長職務代行者)
 森下です。もともと私は工学部で日本電信電話公社に入って、電気通信をずっとやっていたのです。今のドコモ、移動体の立ち上げをやり、NTT西日本の社長を終えてから、阪神高速道路の会長をしているのですが、今は経営委員になって4年目です。
 きょうはネット時代に育ってきた皆さんの一番の新しい感覚をいろいろと聞かせてもらいたいなと、楽しみにしていますので、よろしくお願いします。

(児野専務理事・技師長)
 専務理事・技師長の児野といいます。僕の担当は技術全体なので、この技研も私の所掌範囲の中ですが、技研だけは経験していません。私はどちらかというと設備開発のほうが長かったのです。技術は研究と開発以外では、番組をつくっている、例えばカメラマンや、ミキサー、照明などの部門があります。あとは情報システムのセキュリティーなど、情報システムそのものの開発・整備というものも担当しています。よろしくお願いいたします。

(司会)
 今回の皆さんに討議していただくテーマが、この「ネット時代の公共メディア」です。202Xと銘打ちましたが、タイトルを、近未来のネット時代の公共メディアをイメージして、それに皆さんは何を求めるか、何が欲しいのか、これをお手元にありますポストイットにお書きいただければと思います。
 森下さんも児野さんも、大学に入ったときはネットのネの字もなかったですよね。

(森下委員長職務代行者)
 携帯電話が出始めてからもう30年近く経ちますが、きょう来ていただいている方は、もう生まれたときから携帯電話の時代です。あのときはもう携帯電話なんていうのは、最初は全然大物になるとは思っていなかったのです。

(司会)
 (ボードの意見を見て)森下さんはどの意見にまずひかれますか。

(森下委員長職務代行者)
 リアルタイム性というのと、ネットの送信速度、常時性、そのあたりです。

【会場参加者】
 ネットの最大のメリットは、多くの人がアクセスできて自由に発言できるところだと思うのです。多くの人が発言するから正しい情報なのか。その情報が正しいのに、多くの人が違うのではないかと否定してしまったら、それが真実になってしまうのか。正確性があるのに対して意見する人の量が、その情報の正確性が是なのか非なのかを決めてしまってよいものかと思います。これからもっとメディアがネットに偏っていくとなると、情報の真偽が発信元でなくて、見ている側に決定権が移ってくるのではないかということを考えました。

(森下委員長職務代行者)
 確かに今ネットで一番問題になっているのは、ご存じのようにフェイクニュースの話ですね、フェイクな話であって、本当なのかどうか。放送の場合は、必ずその情報が正しいかどうか、必ず根拠をとらないといけない。NHKが今取り組んでいるのも、ネットの情報をベースにやっている部分があるのですが、その場合は必ず確証をとってからでないと放送しない。それは放送の一つの価値といいますか、重要性というのがあると思うのですね。ネットの時代だから、NHKが出す情報は、必ず正確だということが一番大事だと思っています。

【会場参加者】
 あるニュースを発信するときに、ニュースのつくり手側が、例えば首相のコメントの中からある一部を抜粋して、よいほうに伝えることもできるし、逆に悪いほうに伝えることもできるという、そういうつくり手側の意識がのったような情報がわりと多いと思っています。実際に自分でその関連の記事で調べると、実はそういう意図で言ったのではなくて、こういう中の一部が抜粋されてそういうふうに聞こえているだけのような。最近テレビなどから取り入れる情報のよしあしというのが、あやふやになってきたということです。そういうものに影響されない本当の真実の情報というのを知りたいということで、将来のネット時代では、そういったものが排除できればよいと考えています。

(司会)
 記事を書くときには、その人の意思も多少なりとものりますよね。そこはNHKはどう考えているのですか。

(児野専務理事・技師長)
 できるだけ客観的にというのが基本的なスタンスです。それが間違った情報だといけないので、その客観性と同時に正確性というようなところも、必須の条件だというふうに思っています。

(森下委員長職務代行者)
 一方で、国営放送みたいなところだと、おっしゃるように、一つの考えを押しつけるということがあります。また何もかもが重要だと、どれが正しいのかわからない。日本の場合は民放とNHKとの二元体制になっていて、NHKはできるだけ公平に、どちらにも偏らないようにやっている。そういう意味では両方を見れば、そこの考えの差が出てくるというのが、私は日本の放送業界のよいところだと思います。そういう意味で民放と公共放送のNHKがあるというのが、非常に意味のあることだと思います。

【会場参加者】
 NHKの報道の番組等に限ると、例えば今話が出た正確さや公平さみたいなのがあると思うのですが、NHKはそれだけではなくて、例えばEテレもあるじゃないですか。Eテレは最近すごいとがった番組がいっぱいあると思うので、そういうほかの局ではやっていないことを、もっと押していけばよいと思って書きました。

【会場参加者】
 その上に書いたあらゆるニーズに応えるというのとちょっと関連しているのですが、何かネット時代は一人一人がいろいろなツールを通じて意見を言えるではないですか。昔の時代よりも今の時代のほうが、一人一人の意見が平等に扱われ得るではないですか。ツイッター等でも。だからそういう一人一人の意見や思考、趣味等が多様化しているので、それに応えられるとよいと思います。

【会場参加者】
 今でも動画配信サービスなどが結構はやってきていて、いろいろ個人で見たいものが違うと思うのですが、NHKの技術力というか、編集力等で何かそういったニーズにも、NHKでしか多分つくれないコンテンツがあると思います。いろいろなニーズに合わせるのは難しいとは思うのですが、多様なコンテンツ、同じような番組ではなくて、いろいろ番組があったほうがおもしろいと思っています。

【会場参加者】
 民放と違って公共放送であるNHKは、視聴率を気にし過ぎないで番組をつくれるので、Eテレなどの幅のある番組や海外のオーケストラの演奏などいろいろなニーズに応えてきちんと放送できるという印象を受けています。そういうところを強く押し出していくと、民放との差別化ができると思います。

(司会)
 もう少し見ている方に寄り添うということが必要だということですか。

【会場参加者】
 例えば朝の番組なども、昔だと、NHKはすごくかっちりしているニュース番組を朝からやっているイメージだったのです。でも、今見ると、例えばツイッターのおもしろい動画をやるなど、それは結構民放もやっているではないですか。そうすると、どの番組を見るかすごく悩むのです。
 今までだったら、例えば自分の知りたいかっちりしたニュースがあったら、じゃあNHKをつけようかなというのがあったのですが、民放もNHKも全部同じような内容をやっていると、どうしても同列に見られる感じがあります。ネット時代でさらにコンテンツが広がっている中で、NHKが選ばれるためには、一人一人のニーズにより寄り添って、NHKらしさを追求していくということが必要なのかなと感じています。

(森下委員長職務代行者)
 NHKは受信料をいただいて放送しています。それは放送するものが、できるだけ客観的に、政治にも左右されない、いろいろなことに左右されない、要するに視聴者の人には、できるだけ客観的な情報が出せるようにしようという前提です。
 一方で、お金を支払っていただく方から見ると、あまり見ない番組を、視聴率の悪い番組を作っていて無駄じゃないかと。みんなが見るような番組を作れという意見も出てくるわけです。そこはバランスが求められます。

(児野専務理事・技師長)
 放送電波というのは1方向で、放送はよくやゆされて、送りっ放しと言われるのです。それが旧来の法則でした。それに対してネットが出てきました。伝送路や受け端末が多様化していく中では、送りっぱなしだけでは新しい時代の公共メディアになり得ないのではないかと思っています。

【会場参加者】
 人それぞれ見たい番組の特性や嗜好は違うと思っていて、ネット時代になると、デバイスが多様化していくのでいろんな端末で見る、より見やすくなっていくとともに、本当に幅広いコンテンツを見ると考えていて、その人それぞれに、この人はこういう嗜好があるというのをレコメンドして送ることができれば、より見てもらうことにつながるのではないかと思います。
 レコメンドは、見たい番組をレコメンドするということもありますし、その人の好きなものを幅広く視聴者に対して情報提供するというのもあると思います。

(児野専務理事・技師長)
 例えば連続ドラマで、1回目、2回目を見ていないが、3回目ぐらいから評判になり始めましたということがよくあるのです。そうすると、4回目からはリアルタイムで見る。でも、1回目から3回目、は見逃したので、そこはオンデマンドで見るという、見方が増えてきています。例えば旅行に行くときもレストランに行くときも、必ず口コミサイトを見ますよね。行って失敗するということを避けたいという気持ちが強いのです。そうすると、ドラマも1回目から見ないで、ある程度評判が固まってきてから見るという傾向が強くなるのです。

【会場参加者】
 テレビを見るのに、その前まで行くのもちょっと面倒くさいです。そうすると、端末等で見られるといい。時間も場所もとらわれないというのがあれば魅力的だなと思います。

【会場参加者】
 私は「手軽」という言葉を書きました。たとえどんなによい情報を出していても、それにアクセスするのがすごく難しいというようなものだと、全くもって意味がないなと思っています。NHKの公共メディアに求められているものは、本当に小さな子供からお年寄りの方まで、みんなが同じようにその情報を共有できるというものでなくではいけないと思っています。

【会場参加者】
 例えば先ほど外国人向けのニュースがスマートフォンに出るというのも紹介されましたが、日本で暮らしている外国の人たちが、それなりに簡単に手軽に情報にアクセスできないと、公共メディアとしての役割が果たせないのではないかという部分は大きいです。

(森下委員長職務代行者)
 放送はずっと流していても、テレビを見ない限りはわからないですよね。ネットだとスマートフォンに緊急ニュースのようにぱっと出る。それですぐNHKに切りかえて、スマートフォンでそのとき見られるというようなことができると、さきほどのどこでも、しかもそれはレコメンドではないですが、プッシュ型で緊急情報などが出たときに、地震などが出たときにそのまますぐ見られると、ネット時代にNHKにアクセスできるというのが、非常に理想的かもしれません。それがネットと連携している一つの意味かもしれないです。

【会場参加者】
 ネットを若者が使うからこそ、先ほどおっしゃっていたと思うのですが、テレビをわざわざ見に行くのが面倒くさいということがあるのですが、そうなっていくと、8Kや4Kなどのテレビがあったとしても、手軽さを求めてみんな端末で見るようになってしまうのではないかというのが、気になっていました。

【会場参加者】
 手軽さというのは、確かに大事だと思うのですが、僕は共有感というのも書いたのですが、送り手と受け手側の共有というのもあると思うのです。受け手同士の共有感も大事だと思っていて、そういう意味では、別に情報は手軽に求められたらよいかもしれない。けれども、テレビは例えば家族と一緒に見る、そういう娯楽のものでもあるので、その意味では、テレビの画質などが向上していけばよいなと思っていて、テレビは今後なくならないのではないかと思います。

(司会)
 大きな画面でみんなで一緒に見る、パブリックビューイングとまではいかないけれども、皆さんで見るのは楽しいし、生き残ると感じています。

【会場参加者】
 私の家のテレビの見方も、ドラマでも、朝のニュース番組も、家族と見ているので、受け手側の形態や、ひとりで見るのだけではなくて、テレビというのは大人数で見られるものだと思っているので、それに関しては画質がよいほうがよいと思います。

(森下委員長職務代行者)
 今、私が関心を持っているのは、スポーツバーのようなものが非常にはやっていることです。結局そういう試合だと、ふだんはばらばらだが、サッカーでも何でも、そのチームのファンの人がそこへ集まっていく。

【会場参加者】
 今の話とちょっと関連するのですが、最近IT企業で伸びている会社は、最近というか結構10年前くらいなのですが、ツイッター社やフェイスブック社、日本では、LINEなどがすごく若者の間ではやっていて、この3社は共通点があります。ほかの人とのつながりが一番重要なツールです。せっかくタイトルに「ネット時代の公共メディア」とつけてくださっているので、ネットということに注目すると、1対1のやりとりではなくて、ネットワークにつないで複数の人と情報共有ができるという意味で、すごいメリットがあるからこそはやっているというわけです。そういう視聴者が求めるものを取り入れるとしたら、例えばテレビを見ながらのほかの視聴者とのつながりです。今若者でやっているのが、テレビを見ながらツイッターで何かをつぶやくみたいなことで、テレビを見ながらほかの端末が今必要になっているのです。テレビにそういう機能があれば、はやる可能性はあるかもしれないと思います。

【会場参加者】
 情報の正確性という意味では、誰が言ったかわからないという問題があるので、それが確実に正しいかどうかという確認は必要ではあるかなと今の時点では思っています。

(司会)
 これも大事な問題です。このつながりが必要だというのは意外に落ちていたものですから、個のほうにずっと集まっていくのかなと思ったのです。

【会場参加者】
 これから2020年のオリンピックもありますが、そのときに今、若者がちょっとテレビ離れをしていると思うのですが、オリンピックはみんな見ると思うので、その際にネットワークの速度が遅くて見られない人が出てきてしまったら、新たなユーザーの獲得ができなくなってしまうというところがあるのかと。

【会場参加者】
 今はたまに、NHKではないのですが、ネットワークが遅くなる時はあると思います。

(司会)
 そのあたりの技術的な問題や通信速度は、お金とも絡んできますが、クリアにしていかなくてはいけない前提条件みたいなものですね。

【会場参加者】
 僕はNHKの受信料とオンデマンド利用料の統合化について気になっています。

(司会)
 オンデマンド利用料の統合化、NODは別にお金を支払わなくてはいけないのに、受信料と一緒にならないのかということですか。

【会場参加者】
 受信料を支払っているけれど、NHKのオンデマンドで後から一回見たいとなったときに、またお金を支払うのかということもあります。他局だと、見逃し配信を無料でやっているのに、NHKの場合はそれがない。見たい番組でも、BSで放送されたものなどで、たまに検索してもひっかからないので、見たいものがなくて、だからオンデマンドの充実化も必要ではないかというところは大きいです。

(司会)
 これはNHKの受信料のあり方もそうなのですが、こういった利用料というのも、今後考えていかなくてはいけない問題です。テレビを買う人が少なくなって、どのように受信料を取るのか、これをお書きになったのは。

【会場参加者】
 今1人暮らしの学生や自分の大学などに、テレビを持っていないという学生が結構多く、そういった人が多くなってくると、受信料を取れなくなると思うのですが、そうなるとNHKはどういうふうに受信料を徴収するのかと思いました。

【会場参加者】
 ネットや、SNSなどの動画配信サービスは、無料で楽しめるものなので、有料となってしまうと、学生としての意見もそうですが、ちょっと手が出しにくいです。

【会場参加者】
 私は結構ツイッターなどで、いろいろな新聞社のものをフォローして読んだりしているのですが、新聞社のコンテンツなどは追加料金を支払わないと、ストレートニュース以外は全く最初の数行しか読めないのです。

【会場参加者】
 ストレスがたまるのですが、見出しだけのセンセーショナルなものばかりを世の中にばんばん出すなど、本当は結論が違うのに、というものが実はあると思っていて、私は有料と無料があるというのは、世の中の意見の形成に関係しているのではないかと思っています。そういう意味では、もしNHKが先ほどおっしゃっていたような、できるだけ客観的、かついろいろな視点を提供しているという自負があるのなら、むしろ最初から最後まで全部見せて、いろいろな広告を流してお金をもらう会社とは違うスタイルができるのではないかと思ったので、ネットの世界では、私は最初から最後まで無料で見られるということが、大事だと思いました。

(児野専務理事・技師長)
 ネットの世界ではということで、受信料もただにしたほうがいいということではないですよね。

【会場参加者】
 ただ、先ほど皆さんがおっしゃっていたように、テレビを持っていない方もいらっしゃる中で、どんどんネットの世界では無料にしているけれども、もうテレビも見ない、買う人すら少なくなって、これからNHKはどうやってコンテンツをつくっていくのですかという部分にも、私の意見には答えがないと思いますし、オンデマンドとの統合化みたいなもので、ネットにつながるデバイスを持っている人からはお金を取ります、NHKの受信料的なお金を取りますとなったら、あまりにも横暴なのではないかという気もします。テレビができたばかりの時は、もしかしたらテレビを持っている人はお金を取りますというのは、横暴と感じた人もいるのかと、今皆さんの意見を聞いて、考えています。

【会場参加者】
 災害時などには、テレビは見られなくても、スマートフォンは使えるようなこともあると思うのです。そういうときに、どうしてもスマートフォンは通信料がかかって、特に映像というのはすごく見づらいコンテンツだと思うのです。そういう面で、インフラとしても常に当たり前のように映像が見られる環境である必要があると思います。

(森下委員長職務代行者)
 今回の北海道の地震のように、全道が停電するとテレビが見られない。そのときに自分たちのところがどうなっているのかわからない。そのときには携帯電話、NHKは今、緊急時はネットでも全部同じように流しているのです。携帯電話の電池がなくなってしまうので、充電の問題はあったのですが、そういった意味では、緊急時には放送もラジオも全部流すのです。本当はラジオがあると、それだけでもよいのです。小さい携帯のラジオがあればよいわけです。今回、北海道地震で、いかにインターネットや携帯電話で情報を流すことが大事かということが、わかったと思うのです。ことしは非常に災害が多いので、NHKも災害報道がたくさんあったために、通常の番組はかなり中止されたケースもあったのですが、それがNHKの役目だと思うのです。公共メディアと言っているのは、そういう意味では、どのような状態の中でも情報が流せる、テレビがだめなときはネットで流せる、ネットがだめだったら携帯電話、あらゆる手段でとにかく情報が伝わると、テレビを持っていない人にもきちんと情報が伝わるということが非常に大事だというのが、この公共メディアというイメージの中に入っているということです。

【会場参加者】
 災害が起きたときに、さきほど、映像を英語で放送するというお話があったと思うのですが、202X年のコンテンツについて考えるということではないですか。だからそういう2020年に向けて、日本を訪れる外国人はもっと増えると思うのです。もちろん英語をしゃべる人ではない人だって、いっぱいいると思うのです。全ての人に対してバリアがない、英語ではなくて違う言語でも、ちゃんと情報を平等に拡散できることが必要だと思います。

(児野専務理事・技師長)
 今、特に技研はそこに力を入れていて、外国人もいますし、視聴覚障害者など、そういう方々に向けて手話をCGでやるなど、ほぼ実用化していますが、この間の災害のときには、ネット上では16カ国語のライブ配信をしました。残念ながらそのエンジンは技研のものではなくて、グーグルの翻訳エンジンを使ったのですが、そういうトライアルはしていて、それはなかなか1方向の放送ではできないですが、ネットの世界だと自分がわかる言語を選んで、その情報を引き出すことができるので、そういうことは、やり始めているところです。

(司会)
 先ほど、テレビを余り見ないというご意見がありましたが、なぜ見ないのですか。

【会場参加者】
 朝のニュースなどは、わりと起きたときにご飯を食べながら見るのですが、それ以外の時間は学校に行っていたり、外で友達と遊んでいたりと、テレビを見る機会が減っているせいではないかと思います。

【会場参加者】
 アニメなどは結構見ていたので、そういった意味ではテレビはよく見ていました。

(司会)
 学生になってから見なくなってしまったというのは、忙しいからですか。

【会場参加者】
 そうですね。中学ぐらいから部活を始めていたりすると、テレビを見るより寝たりするのを優先していたので、テレビを見る機会は少なくなっていました。

【会場参加者】
 テレビは一応あるのですが、アンテナ線がつながっていません。

(司会)
 なぜ見ないのですか。

【会場参加者】
 朝起きたらすぐ学校に行って、帰りが遅いということです。

(司会)
 深夜番組などは。

【会場参加者】
 見ないです。インターネットでニュースを見て、朝起きたらたまにニュースを見るぐらい、ネットで見るぐらいです。

【会場参加者】
 自分もあまりテレビは見ていなくて、朝の食事を食べている間に見るぐらいで、ふだんはネットでちょっと事足りてしまって、わざわざつけて見る必要性がないというのが一番大きいと思います。

【会場参加者】
 僕も小さいころはテレビが大好きで、小学校、中学校までは見ていたのですが、高校あたりからスマートフォンを持ち出して、そのあたりから余りテレビのほうに関心が向かなくなったというか、スマートフォンのネットニュースで事足りていたり、バラエティーのほうにもあまり興味が向かなくなって、娯楽がもう何かスマートフォンに集約された感じがしています。

【会場参加者】
 昔はお笑いが大好きだったのです。最近もたぶん見たらおもしろいと感じると思うのですが、見ようという前の段階です。

(司会)
 モチベーションが湧かない感じですか。ここに記載してあるものが実現できたら見るようになりますか。例えば、画質がよい、また、臨場感があふれるお笑いなど、そういうのがあれば見ますか。

【会場参加者】
 たぶん技術的な問題ではないと思うのです。画質がよくなったからといっても、最初の1回ぐらいは、どんな感じなのだろうと見るかもしれないのですが、8Kなどを否定する感じになってしまうのですが、ちょっと画質がいいからといって、若者が見るようになるとは思わないのです。
 技術面ではなくて、もうちょっと何かきっかけづくりというか、例えば話がそれるかもしれないのですが、ドラマなども、ふだんはテレビを見ない人でも、はやりのドラマだったら若者は見ようとするではないですか。
 流行というか、テレビをもう一回見る風潮みたいなのをつくれば、またテレビは復帰できるのではないかなとは思います。

(森下委員長職務代行者)
 以前ほかのところで学生の方と話したら、ユーチューブで見て、それからテレビを見るという人と、それからツイッターなどで、こんなにおもしろいのがあるといって、それからテレビを見るなど、見てみたらおもしろかったという意見が結構あったのです。

(司会)
 ふだん見なくても、こうしたら見るのになどのご意見はありますか。

【会場参加者】
 好きな俳優などが出ていると、ドラマを見るきっかけになります。1話視聴して、おもしろければずっと見ますし、微妙だったらうーんとなります。

【会場参加者】
 先ほどテレビはみんなで見るものとおっしゃったではないですか。私は毎年大河ドラマを家族で見るのです。「西郷どん」は大好きで見ていたのですが、ちょっとこんなことを言ったらいけないのかもしれませんが、脚本が好きではないと思っている部分があって、モチベーションが下がってきたのです。
 ただ、家族ですごい「西郷どん」がはやっているので、この流行におくれてはならないと思って、普通におもしろい、プラス、見ようという気にはなるので、そこは先ほどおっしゃっていたような、一回みんなで見たら、はまれば続くというテレビのパワーというのは家族だけではなくて、それこそパブリックビューイングなどでもあり得るのかなと思いました。

(児野専務理事・技師長)
 ネットの世界でもネットフリックスみたいに有料配信しているドラマや映画があるではないですか。そういうものは皆さんあまり見ませんか。

【会場参加者】
 1か月間お試しみたいなのがあって、それを全部試してみて、自分の見たいコンテンツが充実しているところを選んで入って、いつでもオフラインで見られるので、結構楽しく使っています。

(児野専務理事・技師長)
 だから忙しくても、いいコンテンツがあると見るインセンティブにはなるというのが、我々としては期待するところです。

【会場参加者】
 僕はアマゾンプライムビデオを使っています。アマゾンプライムでずっとBGMのように同じのを見ていたりするのです。そこにNHKのドキュメンタリーなどがあれば、おそらくずっとそれでも見ています。「映像の世紀」が大好きなのですが、あれをずっと流しっぱなしで、BGMみたいにして見ていてもおもしろいです。そういうことができればいいのですが、NHKオンデマンドは月額900円ですが、アマゾンプライムは年で3,000円ちょっとなので、どうしても料金的にNHKの方がちょっと高過ぎる気がしなくもないです。その中でNHKのオンデマンドに入って見るとしても、そういうドキュメンタリーしか見ないとなると、そのドキュメンタリーのために月900円となると、手が出にくくなるというところはあります。

【会場参加者】
 オンデマンドは見たいものもたくさんあるので、できればそのあたり、オンデマンドの中のドキュメンタリー系の充実、放送されたものをオンデマンドにもう一回上げてほしいというのと、あとはずっと見られるように、できれば料金をもうちょっと、手ごろな価格になれば加入するのです。実際に単品で買うのです。216円の「映像の世紀」だけ。216円でぽんと買って見ます。

(司会)
 児野技師長にはこの会のまとめを、少しお時間いただければと思います。

(児野専務理事・技師長)
 非常に期待はしていたのですが、期待以上に真剣な議論、よいご意見をいただきまして、本当によかったと思っています。無料にこしたことはないのですが、何かものをつくる、これは製品であれ、コンテンツであれ、ものをつくるためには必ずお金が要るので、これは選択の問題だと思うのです。どこからお金を持ってくるか。コマーシャル料で持ってくるということもあるし、受信料もあるし、有料の従量制みたいなのもあるし、ネットフリックスみたいな、それはいろいろな選択だと思うのです。今の日本では、コマーシャルをとって広告料でやる民放と、NHKが受信料でやるという、いわゆる二元体制というものが言論の多様性など、それこそコンテンツそのもののいろいろな多様性を確保する上で、一番よい方法なのだろうという選択をしているということです。これが唯一無二の正解だとは思いませんが、現在のところ、NHKは受信料で運営するのが一番良い選択だと思っています。もっとよい方法があればそれに変えていくということもあり得るし、ヨーロッパとアメリカではまた全然事情が違うこともある。皆さんの世代で、これこそが公共放送にふさわしい財源だというようなものを見つけていただけると、非常にありがたいと思いますし、その財源をもとにこういうサービスをやっていこうということを、本当に次の世代を担う皆さんがつくっていただければというふうに思っています。ありがとうございました。

(司会)
 本当に貴重なご意見、ありがとうございました。

 

 

○Bグループ 井伊 雅子 委員、松坂 千尋 理事

 

(松坂理事)
 きょうは、40歳ぐらい年が違う皆さんと話すことができて楽しみにしております。よろしくお願いします。

(井伊委員)
 一橋大学の国際・公共政策大学院で公共政策を教えているので、絶えず公共とはどういうことかを学生のみんなと議論しています。けれども公共メディアという視点からは議論することはほとんどありませんし、NHKとしてもこういう形で若い皆さんにお会いする機会は少なく、どのような話でも役に立ちますので、気軽に質問、感想を言ってください。まずは、この「スマホに振り回されない」という意見はどのような趣旨ですか。

【会場参加者】
 スマホによってこの10年間で世の中が変わったということは、また数年したら10年スパンで何か新しいハードが出てくるかもしれないと思うので、今スマホに合わせて何かを作っていたのでは遅いと思うし、それを先回りして、スマホじゃない次の媒体に対応した放送づくりをするのが求められるのかなと思いました。

(井伊委員)
 媒体というよりはコンテンツ、中身が大切だということですね。確かにメディアもどう役割が変わるのか、10年どころか3年先もわからないですね。
 テレビ局でも最近はツイッターやフェイスブックなども活用しています。公共メディアはなぜ必要なのか、皆さんに意見を聞きたいのですが、「情報の信頼性」、「正しく速く正確に手元に」という意見をふせんに書かれた方たちは、公共メディア、特にネット時代の公共メディアに求めているものは何ですか。

【会場参加者】
 今、ツイッターなどですごく情報が氾濫している中で、これが正しいか正しくないかというのを、瞬時にみんながみんな判断できるわけではないから、その役割としてNHKのようなメディアが、正しいものを国民一人一人に伝えるというのは、すごく重要だと思います。この間の地震のときも、テレビではずっと「早く逃げろ」という情報が流れていて、私はそれを見て、公共メディアとして正確な情報を流すという役割を果たせているのではないかと思いました。

(井伊委員)
 北海道の地震でも結構フェイクニュースがいろいろ流れたそうですね。NHKでは専門の知識を持った人たちが、時間をかけて取材をするなり、地震の情報などは迅速に対応するわけですが、専門家がしっかりと調べて放送に出しているというところが違うと思いますね。ほかにはどうですか。

【会場参加者】
 以前、技研の見学に参加させていただいたのですが、そのときにメディアが伝えるまでの間に、ツイッターからAIが自動的に情報を拾ってくるという技術の展示がありました。その情報がどこまで信頼できるのかとか、どの情報を選んで報道しようかとか、そのあたりはやはり難しいのかなと感じました。

【会場参加者】
 ツイッターにある情報というのは、デマもものすごく多いし、信用できない部分も多いのですが、ただ、本当に一番の速報というのは、SNSに落ちていることが非常に多いので、マスメディアがSNSに歩み寄っていくことも大事なのかなと僕は思います。

【会場参加者】
 今開発されている技術が確立されれば、ファクトチェックもAIで代用できる可能性もあり、今後は変わっていくのかなと思います。

(井伊委員)
 人間でないとできないことは何ですか。

【会場参加者】
 人間じゃないとできないところは、画像の中に入っている情報を正確に判断すること、これは昔、本当にあったかどうかという確認は、人間の知識や経験が必要なのかなと思います。

(井伊委員)
 特に公共放送がやらなければならないこと、役割とはどのようなことでしょうか。民間がやってもよいのではないかということもあるでしょう。受信料のことに関心がある人も多いと思いますが、わざわざ受信料を集めて公共放送をやらなくてもよいのではないか、もしくは、やはり公共メディアとして役割を果たすべきなのではないか、というように考えたことはありますか。

(松坂理事)
 情報の速さや正確さが重要と書いた方が多くて、速さだけを言うと、今は確かにSNSとかのほうが速いでしょうね。正確さというところは情報の透明性や信頼性を求めるということでしょうか。でも、ネットのまとめ記事のようなものは、メディアの情報をもとにまとめているようなものもあって、ネットの情報がフェイクニュースばかりかというと、そうでもないのではないでしょうか。

【会場参加者】
 ウィキペディアはみんな見ると思うのですが、誰でも書き込めるようになったので、結構デマの情報が多いです。

(井伊委員)
 本当に正しい情報なのか、真実を伝えているのか、客観性があるのかという保証がないので、その点、NHKの場合は、さきほどもお話ししましたが、専門家が取材をして、正しい情報だと判断をしたものだけが伝えられていますので、そういう意味では信頼性があるのだと思います。
 私の周りでもヤフーニュースやLINEのニュースしか見ないという人がいるのですが、インターネットのニュースのデメリットの一つというのは、自分に関心がある情報しか入ってこない、例えば自分が猫のことに関心があると、しょっちゅう猫に関する情報が入ってくるといいますが、逆に自分が関心がなければその情報は入ってこないわけです。公共放送のニュースは、自分が関心のあるテーマだけではなくて、世の中で重要だと思われている大切なテーマを伝えています。
 どうですか、公共放送はいらないでしょうか。イギリスのBBCは有名ですけれども、公共放送がない国もあります。例えばアメリカは、教育テレビみたいな公共放送はあるのですが、国が何かやるというのを嫌がる国ですので、国としての公共放送ではありません。あとは国営放送がある国があります。北朝鮮やロシア、中国も国営放送です。日本のように公共放送から公共メディアにこれからなっていこうとしているところもあります。
 公共放送が必要だということであれば、何を期待しますか。これは、若者向けの番組を増やしてほしいという意見でしょうか。

【会場参加者】
 してほしいというよりも、先ほど、NHKを見ていない人も多いみたいなことを言っているので、若い年代層に向けたテレビ番組の制作をすれば、若い世代にもNHKの普及を促進できるのではないかと思います。例えば、スポーツ中継やバラエティー番組「LIFE!」のような若い人たちが見る番組を増やしたらよいと思います。

【会場参加者】
 僕は攻めた番組が欲しいという意見を書きました。この前の「NHKスペシャル 秘島探検 東京ロストワールド 第1集 南硫黄島」で、南硫黄島に昆虫学者たちが上陸して、生き生きと楽しんでいる姿がすごくツイッターで話題になったように、内容自体が若者に寄っているというより、やり方や手法が工夫されていて、若者の間ですごくバズって広がる番組がNHKには多いイメージです。制作に力を込めているのが伝わる番組が増えてほしいです。

(井伊委員)
 若い人に迎合しなくても、いいものをつくればわかる人にはわかってもらえるということですね。

【会場参加者】
 何かいいものをつくるというよりは、本気でばかなことをやっているというのが、特にSNSでは話題になることが多く、大事かなと思います。

(松坂理事)
 若い年代の皆さんは、どんなものだと見る気がするのか、私はこの何年もずっと考えているのですけれども、皆さんはユーチューブとかでどんなものを見ているのかを教えてください。

【会場参加者】
 あまりNHKが民放のようなことをすると、逆にこちらが冷めてしまいます。私もどちらかというと「NHKスペシャル」のように、未開の島にいっぱい学者を集めて、すごく楽しそうに研究しているところとか、「香川照之の昆虫すごいぜ!」のような番組がめちゃめちゃ大好きで、そういう番組は逆にNHKにしか作れないのかなと思っています。

(井伊委員)
 別に万人に受けなくても誰か見ている人がいるということですね。

【会場参加者】
 コアなファンを獲得できるような番組がいっぱいあると思っているので、私はそういうNHKのコンテンツが好きです。ユーチューブは、私はふだんあまり見ていません。

【会場参加者】
 ふだんは例えばゲームや音楽の動画などを見ます。ワールドカップをやっていた時期は、ユーチューブでNHKがまとめのハイライトをやっていたと思うのですが、その時期に、ふと「あなたへのおすすめ」みたいなものがポコっと出てきて、そういえばこんな試合があったんだと、ぱっと見てみました。2分ぐらいしかない短い時間の中でも、要点だけ詰め込まれてちゃんと伝わってくるというのは、あのコンテンツはすごくいいと思いました。

【会場参加者】
 僕はバンドのライブ映像を見ます。違法アップロードされているものもありますが、公式で上がっているものが好きです。

(井伊委員)
 さきほどのような8Kの映像は、リアルでいいと思いますか。

【会場参加者】
 あれはすごいいいです。前にNHKの展示に来たときにも見ました。あのときもサカナクションのライブ映像が流れていたのですが、これはすごいなと思いました。

【会場参加者】
 ユーチューブでは、はやっているユーチューバ―の動画を見ます。生き物が好きなので、趣味が悪いかと思うのですが、生き物の捕食シーンとか、自然のものなどを短い時間で見られるので、結構見ています。

(松坂理事)
 ユーチューブではなくとも、テレビでもどんなものが見たいかとか、NHKでこんなものが見たいというのを聞かせてください。

【会場参加者】
 実際もう見ているものですが、BS1で「駅ピアノ」という番組をやっていて、街の駅にぽつんと置いてあるピアノを、弾ける人が自由に弾いている姿をただただ映しているというあの番組は、広告料じゃ絶対にできないと思うし、でもユーチューブだったら、ただの景色の一環として、そういうのをだらっとアップしているような動画があってもおかしくないなと思います。ああいう番組は見る人は見ますし、僕は見ます。

(井伊委員)
 「駅ピアノ」は日本国内ですか。それとも海外ですか。

【会場参加者】
 海外です。ヨーロッパやアメリカの駅に置いてあるピアノを弾くのです。置いてあるピアノにただビデオを置くだけだと、音しか聞こえないのですが、演奏が終わった後に、その人のバックグラウンドやどういういきさつでこの駅に来たのかとか、その人のインタビューが見られるのがおもしろくて見ていて、ああいうゆったりした空気の番組があってもいいのかなと思います。

【会場参加者】
 僕はユーチューブでずっとユーチューバーを見ています。ユーチューバーといっても2種類いて、短い動画をポンポン出すタイプのユーチューバーと、生放送をずっとやっているタイプのユーチューバーがいます。僕は生放送の方を、作業する時や寝る時に、ラジオ感覚で聞く感じです。

(井伊委員)
 お気に入りのユーチューバーが何人かいるのですか。

【会場参加者】
 気分に応じて今はこの人だなという感じで使い分けをしています。最近バーチャルユーチューバーというのがはやっていて、普通のユーチューバーは、生身の人間がカメラの前でしゃべって、それがネットにストリーミングでのる形なのです。一方、バーチャルユーチューバーだと、身ぶり手ぶりを3Dのモデルなり2Dのモデルなりに投影させて、しゃべっている本人の顔は見えないのですが、そのキャラクターの声として話しているものをよく聞いています。あと作業中にユーチューブで音楽を聞くことが多いです。

【会場参加者】
 これからNHKでも放送だけでなく、常時同時配信もやるとなった時には、チャンネル数に縛られずに、同時に何個もコンテンツの配信ができるようになると思うので、インターネットでまず試しにこのコンテンツを流してみて、そこで人気だったら放送に流してみようというように、いろいろ実験的なコンテンツをインターネットで見られるのかなと期待しています。

【会場参加者】
 自分の部屋にテレビがないので、ネットでも見られればNHKも見るかもしれないので、ネット配信もしてほしいなと思います。

(井伊委員)
 大学生の皆さんは、ラジオは聞かないですか。今ラジオをインターネットで聞けるのですが。

【会場参加者】
 ポッドキャストは聞きます。

(井伊委員)
 ポッドキャストはいいですね。テレビもそういうのがあればいいのですが、それはまだ放送法でできないです。

(松坂理事)
 テレビの常時同時配信はできません。

【会場参加者】
 私もユーチューブで音楽の映像のPVや動画を見ますが、一番多く見るのはゲーム実況のチャンネルです。好きなゲームをやっているユーチューバーがいて、その人の映像をよく見て、まねつつ一緒にゲームをしています。

【会場参加者】
 ネットニュースは自分の関心のあるものしか見ないというような意見がありましたが、それを逆手にとって、NHKのニュースチャンネルみたいなものをつくって、例えばニュース、天気だったらその日の天気の動画を入れたり、1つの事件をまとめた動画を入れたりすれば、すぐ知りたいニュースについて、記事を読むのではなくて動画でわかるように伝えることができて、ちょっとはおもしろいかなと思います。

(井伊委員)
 それはNHKのホームページに掲載するということですか。

【会場参加者】
 そうではありません。正直に言うとNHKのホームページに行くのは、結構手間がかかるのです。だからユーチューブという気軽に使えるコンテンツでニュースを見られて、情報を得ることができればおもしろいと思いました。

(井伊委員)
 国際放送もいろいろなコンテンツがあるのですが、あまりにもいろいろあり過ぎて、どこから入っていいのかわからない、わかりにくいというのは多少あるかもしれないですね。

(松坂理事)
 今の法律の中でNHKがネットで流せるものは、短い番組のクリップ動画など、放送への理解促進というように、できる事は割と限られています。受信料というのはテレビの受信機を持っている方々から、公共放送を支えるということで広くいただいているので、ネットというのは、費用がこれぐらいしか使ってはいけないとか、今は限度がある中でやっています。同時配信も災害の時には既にやっていますが、常時同時配信は法律とか制度を変えてもらわないとできないということがありますので、少しでも多くの人に触れてもらいたいということで、実現させていきたいなと思っています。

【会場参加者】
 実は僕、ユーチューブなど動画をあまり見ていません。テレビも朝のニュースを30分間ぐらいしか見ていないのですが、NHKの「おはよう日本」が、ほかの民放と比べて扱っているコンテンツの数がすごく少ないような気がしています。例えば民放のニュースだと、芸能ニュースの後にちょっとしたコーナーがあり、ニュース自体を取り扱う時間がすごく短いと思います。
 逆にNHKの場合は、ニュースを扱っている時間が長いので、コンテンツが少ない上に、1つのニュースの時間が長いと思います。
 朝の忙しい時間に見ているときは、細かいコンテンツがたくさんあって、浅く知ることができるほうが助かると思います。その中で気になったニュースを通勤途中とか通学途中とかに調べるようにすれば、ニュースを深く理解できると思います。NHKはそのニュースに対して深く理解してもらおうとしてコンテンツをつくっているとは思うのですが、逆にそれがあだとなっていると僕は思っています。若い人たちはテレビに触れている時間が短い中で情報を得ようと思うと、NHK以外に目移りしてしまうのかなと思っていました。

(井伊委員)
 途中で飽きちゃって、ほかのチャンネルではこんなニュースもあるのだと、のぞき見したくなる感じでしょうか。

【会場参加者】
 僕はユーチューブで動画を幅広く見ていますが、その中で何度見ても飽きないものは、例えばスポーツの神わざのような人間離れしたプレー集です。自分の知らないスポーツでも、そうした動画を見たら、この人はすごいんだなと感じて、何度見ても飽きません。

【会場参加者】
 最近、若者がユーチューブで見ているコンテンツは、笑いのほうに走っているような気がします。テレビ局の中でもNHKは、情報や知識が得られます。民放は笑いに走っている感じがありますが、今の中高生の若者たちは笑いのほうを重視していると思うので、NHKのコンテンツや番組も、笑いに走っているような番組が増えてもいいのではないかと考えています。

【会場参加者】
 動画はテレビとかラジオの録画・録音をネットフリックスとかアマゾンプライムビデオなど、有料のVODサービスで見ることが多いです。最近は、番組をテレビにかじりついて見るということはなくなってきていて、見たいものを見たいときにスマホなどで見るということが自分に合っている見方です。最近、録画もあまりしていないです。

【会場参加者】
 ネットフリックスやアマゾンプライムビデオでは、そこでしか見られないオリジナルのコンテンツが結構多く、いわゆる地上波の番組づくりとは異なる、言い方を変えるなら昔寄りのコンテンツに魅力を感じます。今のテレビ番組、特に地上波はいろいろな自主規制があり、そういうところでもテレビは魅力が薄いと思います。

(井伊委員)
 例えばどのような部分ですか。

【会場参加者】
 例えば規制とか、あと予算です。爆薬をいっぱい使うなど、そうしたものは地上波では最近あまり見かけません。地上波で放送するとPTAに怒られそうなものです。

【会場参加者】
 韓国に住んでいる日本人の留学生が実際に自分で街を歩いて、街や人物を紹介するユーチューブチャンネルがあり、そういうものを見ていると自分もその場にいるようでおもしろいなと感じています。最初は、ユーチューバーなんて何を言っているのだろうかという感じだったのですが、実際に見てみたら本当にしゃべっているだけなのにすごくおもしろくて、みんながテレビを見なくなるのもわかるという気がします。

(井伊委員)
 話を聞いていくうちにテレビの危機感を感じてきますね。

【会場参加者】
 僕はテレビ番組をユーチューブで見ることが多く、昔はやった番組や、見逃してしまった番組を暇な時に見ます。自分の身近でユーチューバーをやっている人も多く、友達と話しているノリで動画を見るようなことも多いです。

【会場参加者】
 NHKがユーチューブで出したものでおもしろいなと思ったのは、最近だと「みんなで筋肉体操」です。あれは大学生の間でも、すごくはやっていました。NHKというとおかたいイメージだったのですが、ユーチューブに入ってきて、それがうまくフィットしていて、ものすごく僕はいいなと思いました。それからロックバンドで「ヤバイTシャツ屋さん」というバンドがNHKの曲を作って流していたものもあって、僕はすごく「ヤバT」が好きなので、「NHKやるじゃん」と思いました。動画だと、TikTokというアプリが最近はやっていて、中身は何もないのですが、ただ暇つぶしに見るということも多いです。テレビを見るとなると、身構えて見るというか、ちゃんとしっかりした内容がないと、長時間見続けることはできないなと思ってしまいます。ユーチューブは、すぐスワイプして消せるので手軽に見られます。

【会場参加者】
 僕も「ヤバT」のNHKとのコラボは、「案外わるないNHK」みたいな形で打ち出していて、すごく攻めているなというか、おもしろいなと思いました。最近は、ユーチューブを見ている間はほかの作業をしながら大体聞き流しているので、ラジオのように聞けるものがいいと感じています。
 あと、やはりAbemaTVはチャンネルが多数あって、タイムフリーでいろいろ番組も見られるので強いのかなと思っています。放送法を変えないとだめかもしれませんが、本当にNHKがああいう形になれば、いろいろなチャンネルを見て、ずっとNHKの番組を見るということも可能だと思います。AbemaTVはユーチューブで、その回のプレビューのような動画を流しているのですが、思わず番組を見たくなるようにいいところで終わるようにうまく作ってあり、ユーチューブとの連動もしっかりしていると思います。

(松坂理事)
 コンテンツは少し短いほうがいいとか、動画でわかるようにしてほしいとか、でも一方で、公共放送とNHKに求められることは、本気でやっているところを見せることとか、やはり内容がしっかりしていないといけないとか、皆さんいろいろご意見がありましたが、公共放送のコンテンツで皆さんが見たくなるものは、どういうものでしょうか。

【会場参加者】
 僕は時間的に短いものが好きです。短くても結構情報量があるような。

(井伊委員)
 お笑い番組とか歌番組だったら、そういうことはないと思いますが、ユーチューブとかを見ていて、本当にこの情報は正しいのかな、偏っていないかなと思うときはありますか。

【会場参加者】
 ユーチューブで見る感じだと、やっぱり偏っているなと感じることは結構あります。

【会場参加者】
 率直な意見ですが、人によってやはり見たいものが違うので、AbemaTVはいろいろなチャンネルがあって、いろいろな人のニーズに応える形になっていていいと思うのですが、NHKも12月にチャンネルが増えて、受信料もどんどん増えないかがちょっと不安です。チャンネルが増えていくという部分はある程度はユーチューブなどメディアに分担というか、そうしたことも必要ではないかと思います。資料を見ても、支出がどんどん上がっていって、受信料がどうなっていくのか気になりました。

(松坂理事)
 受信料額の水準というのは、予算を承認してもらうことで、国会などで決めますから、どんどん上げていくということはできません。役割分担というか、たくさんいろいろなメディアがある中で、公共メディアとして適正な規模でこういうようなことをやってくれれば、受信料も納得して支払って、NHKを使ったり見たりするというような、皆さんの求めるものを聞いてみたいのですが。

【会場参加者】
 そういうことは今すごくしっかりやられているなと現状は思います。しっかり正確に素早くわかりやすく伝えられて、その部分は十分足りていると思っています。

【会場参加者】
 ツイッター上でも、毎週、毎日NHKを見ているお子さんを持つお母さん方だったら、例えば「おかあさんといっしょ」に4,000円支払うのは別に苦でも何でもないという意見があったり、あとお年寄りだったらNHKのニュースは見ているので、4,000円支払うということには抵抗がないという意見が多かったりしています。例えば「プロフェッショナル 仕事の流儀」が何らかのパッケージごとに4,000円となっていれば、買いたくなるかもしれません。NHKにはコンテンツが十分過ぎるほどあると考えているので、それをどうキャッチして自分たちが明確に何に支払っているか認識をするというところが重要だと思います。

(井伊委員)
 私は経済学を教えていますが、自由に経済活動ができる国というのは、市場を通していろいろなサービスや商品が提供されるわけですが、市場だけでは行き届かないというか、お金にならない情報でも重要な情報があります。誰かの都合のために、都合がいい情報だけを伝えるとかということではなくて、そういう必要な情報を広く伝える役割がNHKにはあると思うので、皆さんがどういうものを求めているのか、何が必要なのかということを判断して、情報を提供するのが、公共メディアとしては大きな役割なのかなと思っています。

【会場参加者】
 NHKでもことしの夏はものすごく熱中症に関して報道していたと思います。その結果かどうかわからないのですが、僕の大学でも教授が、授業中に水分をとるのは気にしないでいいよと言っていました。ふだんユーチューブばかり見ていると、どうしても自分の興味・関心のあるものしか見えてこないのですが、そのようにNHKが熱中症に関して命を守る報道をすることによって、誰かが救われたり社会が変わったりするというのが、NHKに求めるものなのかなと思っています。

【会場参加者】
 なぜ若い世代に受信料を支払う人が少ないかというと「テレビ見ないし」みたいなことを言う人が多いからだと思います。私は「みんなが見る機会は公平に」と書いたのですが、公共放送という割にはおじいちゃん、おばあちゃんしか見ていないのではというのが正直な印象です。自分もそれこそ、「おかあさんといっしょ」を毎日見るような子どもがいる家庭だったら支払うことにも納得できるのですが、やはりそういう部分が本当に公平なのかなと思うことがすごく多くて、そこが多分腑に落ちていないから支払う人が少ないのかなと思っています。
 私も1人暮らしなのですが、引っ越してお休みの日に急にNHKの人が来てすごく怖かったです。訪問してくる以外にもペイジーとかATMで簡単に支払えたりとか、コンビニ支払いとか、支払いの方法とかも多様化して手軽に支払えるようにしたり、公平だなと感じられるようにしたりすれば、多分みんなちゃんと支払うのかなと思います。そこが公共という意味につながってくるのかなと思っています。

(松坂理事)
 ペイジーによるATMでのお支払いやコンビニでのお支払いは、今でもできます。現在でもいろいろな支払い方法ができるのですが、周知がうまくされていないのかなというように思います。

【会場参加者】
 「受信料徴収の効率化・公平化」と書いたのは私なのですが、まさに彼女が言っていることで、受信契約のしかたをもっといろいろ電子化したらよいというか、ネット時代に合っていないなという印象です。公平じゃないというのも、この資料を見ると全世帯に対して80%の世帯が支払っているということですよね。うちは受信料を支払っていて、受けているサービスにはすごく恩恵を受けていると思ってはいるのですが、やはり公平じゃないということは感じています。

(井伊委員)
 支払っていない人が20%いるということについてですね。

【会場参加者】
 はい。また、支払っている人の中でもあまり見ていない人もいるでしょうし。インフラとしてのサービスの恩恵は受けていても、やはりそのあたりのサービスの不公平さがあるので、何かそのあたりも公平化とか効率化ができればと思いました。

(井伊委員)
 特にこれから常時同時配信をめざすというときに、テレビは持っていないけれども、パソコンやスマホだけを持っているという人には、どのように受信料を考えればよいですか。

【会場参加者】
 考えていることが2つあります。今NHKというのは公共放送だから、放送の受信料というものを支払っているわけで、これを公共メディアと名乗るのであれば、もはや放送に限らないので、放送の受信料という呼び方が適切なのか今後は疑問符がついてくると思いました。
 もう一つは、北海道の地震の際に停電が続き、携帯電話の無料充電サービスが話題にもなりましたが、いくらスマホが普及しようといざという時はこれがただの板になってしまうわけで、そういうときに情報を伝えることがNHKの使命なのではないかと思いました。例えば、避難所の体育館に校内放送を使ってNHKのラジオを流し続けるなど、いざというときに何も手に持っていなくても、どこからか情報がもらえる、そういう設備づくりをするのも公共放送の役割かなと思います。

(井伊委員)
 日本はとても災害の多い国なので、重要なことです。ふだんNHKを見たり聞いたりしていなくても地震であったりそういうときに信頼の置けるニュースなり情報を提供できる、一種の保険のような形で考えることもできるのかもしれません。
 理系の学生の皆さんも多くいらっしゃいますが、ご意見やご質問はありますか。

【会場参加者】
 衛星放送で12月1日から4K・8Kの放送が始まりますが、地上波では流せないネックは何ですか。

(松坂理事)
 地上の電波の送信送出設備を変えると、莫大なお金がかかるのです。民放も含めて。衛星は降らせればいいという意味では、途中のインフラはそんなにお金がかからないということがあるのですが、地上放送を今後どうしていくかというのは、一つの課題ではあります。
 衛星であれば12月からは、少なくとも4Kは比較的簡単にチューナー内蔵の4Kテレビがあれば見られますし、今の4K対応テレビにも4Kチューナーを付ければ、12月からの放送は見られるようになります。8Kはテレビがまだ高いのと、左旋円偏波というものが受信できるアンテナとかそういう設備が新たに必要になります。

(井伊委員)
 ここの技研もそうですが、愛宕に放送博物館がありますし、渋谷のNHK放送センターでもそうした展示会をやることもあります。また、各地方のNHKの放送局できょうのような8Kの映像を見ることもできます。また、埼玉県川口市にあるNHKアーカイブスには、過去の番組が9,000ぐらい見られる施設があるのですが、各放送局にもアーカイブスがあると聞きました。受信料で賄われている公共放送、メディアならではと感じました。
 もっといろいろお伺いしたいことがありますが、また、皆さんも言い忘れたことや思いつかれたことがありましたら、NHKのホームページに意見や要望を自由に投稿するところがありますので、ぜひこれを機会に意見をお願いします。NHKの放送、メディアを、受信料を支払っている皆さんが意見を言って皆さんがつくっていくということです。
 きょうはどうもありがとうございました。

(松坂理事)
 お疲れさまでした。短い時間でしたが、どうもありがとうございました。

 

 

○Cグループ 村田 晃嗣 委員、鈴木 郁子 理事

 

(司会)
 きょうのテーマ「ネット時代の公共メディア」について、これからディスカッションを始めます。皆さんが今、どんなことをNHKに対して期待、要望など考えていらっしゃるのかということを、このふせんに書いていただいて可視化したいと思います。
 (参加者が意見を紙に書き、テーマごとにボードに貼る作業が終了)

(村田委員)
 何人かの方が、質の高い放送、質の高いコンテンツなど、「質の高い〇〇」と書いています。テレビの番組が「質が高い」という時、どういうことを基準にして、この番組は「質が高い」と皆さんはお考えですか。

【会場参加者】
 書いたのは僕です。その問いの前に、そもそもNHKはこれからもテレビ放送だけにこだわるのですか、という疑問があります。ネット時代と書いてあるので。ネットは、見る側がコンテンツを選べる世界だと思うんです。当然、見たい場所で見たいときにということだと、今のテレビのあり方って、ミスマッチが起きてきています。

(鈴木理事)
 NHKは所轄官庁が総務省です。NHKは放送法という法律で経営内容を定められていますが、この放送法を変えて、24時間365日、ネットでもNHKの番組を見られるようにしてほしいという要望を出しています。NHKは今、オリンピックの期間や災害があったときだけ例外的に流させていただく許可、特別認可はもらっていますが、24時間365日という意味では法律を変えていただかないと流せません。今、ヨーロッパとアメリカでは1週間から1か月の見逃し配信というのは、放送に付随してサービスとしてついているのが当たり前であるので、世界標準というか、欧米水準の見逃し配信というのもやらせてほしいというのを今、あわせてお願いをしている最中です。

【会場参加者】
 その前提で「質が高い」ということは何かと考えると、コンテンツの深さという切り口では先ほど言った「映像の世紀」だったり、もしかしたら、アニメが面白いというのもコンテンツの深さかもしれない。それぞれのジャンルによっていろいろな深さがあると思いますが、どこかが深くないと、誰も見ない番組になってしまいます。行くところは世界一のレベルまで行くべきだし、その時に、対象が日本人だけというのはあまりにも効率が悪いと思います。NHKがつくるドキュメンタリー番組はとても深いと思いますが、最初から世界をターゲットにしてコンテンツをつくるという考えが必要なんじゃないかと思います。

(鈴木理事)
 ありがとうございます。今の話に出ましたように、アニメ番組や「映像の世紀」のような番組については、最初から実は世界で売ることを、念頭に置いています。特にアニメの場合はきちんとつくれば、国に関係なく売れます。

(村田委員)
 コンテンツの質が高いという話と、提供できる環境が多様であって、質が高いとか、いろんなレベルの質というのがあると思うんです。

【会場参加者】
 映像をライブカメラで、24時間撮れるとか、ドローンで人が行けないところも行けるとか、この間、深海に潜っている映像もありました。なかなか小さな放送局や、ユーチューバーのようなレベルでは行けないところにNHKは行けるので、そういうものはとても価値が高いのではないかと思います。

【会場参加者】
 私はすごい技術とか映像技術ということよりも、社会の中でその番組がどういう意味を持つのかというところが大事だと思っています。例えば、8月31日に教育テレビで、いじめのことについて、長時間の番組を放送していたのは、NHKしかできないなと思いました。報道やドキュメンタリー番組の量がほかの民放に比べて圧倒的に多かったりします。ほかの民放のワイドショーで、ポピュリズムを招きやすい、助長しやすい報道をしている中で、NHKは質が高く、社会的、政治的な価値のある放送をしています。私はふせんに、「大衆に流されず、市民を形成する放送」と書いたのですが、NHKはそのような放送をしていると思っていて、それを、テレビ離れがあるからというような理由で、失うというか、方針を変えてほしくないというのが、自分が思っているところです。

【会場参加者】
 質になってくると、見ている人の満足度がそのまま出てくるのではないかなと思っています。例えばクイズ番組で、自分の知っている知識に対して、少しでも何か思い当たるようなクイズ内容だったりすると、見ている側も楽しくなることが多いと思うので、そのようにジャンルごとに分かれた満足度というのがあり、それが質に関わってくるのではと思います。

(村田委員)
 もう一つ私が伺いたいのは、何人かの方が指摘している「イメージからも硬さをなくして」という点についてです。このハイクオリティで硬くないというのは、なかなか路線としては難しい。質を高くすると、ある程度お笑い的な要素が排除されていって、普通に見るとちょっとかた苦しいかなと。ドキュメンタリーと報道ばかりだと、民放と違ってかた苦しいかなとか、芸術や文化などの話ばかりだと、ちょっと難しいなという印象を持たれるかもしれない。だから、この質の高さというのと、かた苦しくないというのか、これはどういう線で追求したらいいのでしょうか。

【会場参加者】
 それは二律背反ではなくて、「チコちゃんが叱られる!」や「にほんごであそぼ」などはその路線だと思います。コンテンツは高いクオリティですが、それを大上段から教えるのではなく、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」というお笑いに乗せて、結構大事なことを教えてくれます。ああいう路線がいいのじゃないかなと思います。

(村田委員)
 逆に、そういう番組があるのに、なぜかた苦しいと感じるのでしょうか。

【会場参加者】
 私が小さい頃に見ていたNHKのイメージよりは、どんどん硬さは最近なくなっていっているなと思います。それでもやはりNHKにはちょっとかた苦しい印象があって、それが番組表を眺めてみた時に、NHKよりは民放を見よう、となる原因の一つになっていると私は思っています。その硬さが生きる場面、災害時などは、その硬さだからこその信用度とかはあると思うので、そういうところは大切にしてほしいですが、崩れる部分が崩れないと、バラエティー番組などでは勝てないのかなと思いまして、そういう意見を出しました。だから、さきほどの「満足度の高さ」という意見にすごく納得いく部分がありました。

(村田委員)
 硬さ、質、だけじゃなくて、NHKのイメージについてはいかがですか。

【会場参加者】
 「LIFE!」(今年度放送中)や「サラリーマンNEO」など、番組が終わっても評価され続けているようなバラエティー番組がNHKでも多くあると思うので、番組全体の作り込みなどのクオリティが高いと思うのです。硬いというイメージは、ひな壇芸人が出てくるような、ジャンクフード的な、質が低いけども、何となく見てしまいたくなるというような番組がないからなのかなと思いました。でも、それが果たして公共放送で、受信料をもらっている放送局として、あえてそういうことをやる必要性はあるのかという論点はあると思います。

【会場参加者】
 ABC、BBC、CNNなど海外の報道番組では、この人にこんなことを聞いてしまうのかという質問をズバッとぶつけるのを見ます。あれは、バラエティー感があると思うんです。お笑いの要素は一つもないのですが、何かわくわく感があります。だから、決してお笑いだけではなく、かた苦しくないイメージも出せると思います。一方、今のNHKのニュース番組は、キャスターが座っていて、多少くだけていますがスタイルは昔から変わらない。男性キャスターと女性キャスターが出てきて、おはようございますから始まるみたいな、そういうところは変わってもいいのかなと思います。

【会場参加者】
 24時間テレビの裏で放送していた、障がいのある方が出演している番組(「バリバラ!」)を見て、びっくりしました。24時間テレビでは障がいのある方を通して感動を伝えるみたいなつくりになっている裏で、障がいのあるリアルをどんと、本人たちから突きつけられているようなものが流れているという、その空気感が僕はすごく好きでした。ああいう番組は、民放だと絶対流せない気もします。
 インターネット番組だと、むしろそういうのは流しやすい気もしますが、NHKでも踏み込みづらいテーマを、あのように視覚化してくれると、こちらとしても新しい価値観みたいなものができていいと思いました。

【会場参加者】
 「ねほりんぱほりん」が好きで見ています。内容が重かったりするのに、「バリバラ!」みたいに、ちょっとおもしろおかしく、いろいろな世の中があることを伝えてくれるというのがおもしろいです。いろんな背景も伝えてくれるし、世の中の少し暗い部分をよく取材しているNHKが、その力を生かして、おもしろく、気軽に見られるようにしているのがいいです。

(村田委員)
 NHKと民放って、皆さんがご覧になっていて、何が一番違うと感じるのか、そして、どういうところが違うべきだと思われるのか、ご意見があったら聞かせてください。

【会場参加者】
 NHKは受信料をもらって、公共放送という形をとっていますが、民放であればコマーシャルがあり、スポンサーの企業のイメージを崩さないような番組づくりをするなど、そういったものにとらわれてやってしまうところもあるのではと思います。NHKはコマーシャルがないので、表現とか、結構、自由の幅が効くのかなと思います。

【会場参加者】
 僕は北海道の胆振出身で、この前災害があった時に、民放を見ていましたが、民放はとりあえず、札幌の状況を流しておけばいいというように見えたんです。視聴率は一番とれると思うんですけど、やっぱり実際地震があったのは胆振でしたし、そっちの方の誰も知らないような町の情報や映像も、NHKには流してほしいなと思っていました。その前の西日本豪雨の時にも「あさイチ」の中で、僕も知らないような小さな四国の町の情報を流していたのを、僕はこうあるべきだなと感じたので、これからも日本国内で災害が起こると思いますが、情報が隔絶されたようなところにもしっかり取材しに行って、情報を流してほしいなと思います。

(村田委員)
 ご家族はご無事でしたか。

【会場参加者】
 大丈夫でした。

【会場参加者】
 視聴率を無視しろというのは無理だと思いますが、あまり公共放送というところで、視聴率にとらわれないでほしいと思います。僕はクラシック音楽が好きなのですが、クラシック音楽の交響曲は、1曲流すと1時間です。1曲1時間の曲を流して、視聴率がとれるかと言われると、たぶんとれないと思います。そういうことを公共放送として絶対やめてほしくないなという思いがあります。これは絶対、民放だったらできない放送だと思うので、こだわってもらいたいです。

【会場参加者】
 民放はビジネスとしてスポンサーからお金をもらっているから、当然、流す対象としては一番多いところじゃないといけないと思うので、どうしてもお笑いなどの方が人気をとれるという循環だと思います。でも、公共放送はそうじゃない形でお金が入ってくるしくみをわざわざやっているので、公共財だと思うのです。さっきの報道の話もそうですが、民放はたぶんコストの面から、現場に人を派遣できないのだろうと思うのですが、やっぱりそういうところはちゃんと拾ってほしいし、最近、民放もそういうのができないから、ネット上に上がっている情報をそのまま報道したりして、きちんと確認していない、報道とは言いがたい報道がどんどん増えている気がします。

【会場参加者】
 NHKはあまり非の打ちどころがないものをつくっているように感じるんですけど、それが実際、なぜか視聴率が出ないとか、それを見ない人たちがいるとか、そういうようなことが起こっているように思っていて、その対立と、民放とNHKというものの対比が重なるなと思ったりしています。

(村田委員)
 きょうの大きなテーマは「202Xの公共メディア」。2020年、一番近くてあと2年、一番遠くて2029年ですから、11年から2年ぐらい先の話なのですが、先ほど来、災害報道について話が出て、最近、日本でもこれまでなかったような災害が起こって、自然環境も変わっていき、オリンピックの後、経済環境や社会、人口動態の変化、政治など、いろんなものがこれから11年、2年の幅で変わっていくだろうと思います。皆さん自身も、この2年から11年ということになると、もう大学生ではなくて、働いているとか、11年先だったら、もしかしたらお子さんがいらっしゃってというふうに、皆さんの人生も2年、11年という幅だと随分大きく変わると思います。この202Xということで、11年から2年ぐらいの近未来、NHKの放送がどうなっているだろうかということについて、技術面、あるいはコンテンツの面、NHKの放送がどうなっているだろうかというのと、どうなってほしいというご意見を伺えればと思います。

【会場参加者】
 きょうは最新技術を実際に見て、スマートフォンでいろんなことができるようになるとか、近未来はさまざまなことが可能になってくるのだろうなと思いました。しかしやはり力のある、質の高い番組が最終的に視聴者に届かないと、すごくもったいないなと思うので、放送番組がたくさんのプラットフォームで見られる環境になるということに加えて、同時に画面の前に座って、今、見たくなる番組、テレビの前に座って見たくなるような番組も今後増えていってほしいと思います。

【会場参加者】
 私はネットフリックスやアマゾンプライムなどで見ることが結構増えていて、そういうのを見ていく中で、テレビ局は何か新しいコンテンツをつくるというだけではなく、過去の作品を生かすことができるのではないかと思っています。ネットフリックスなどの配信サイトで見ている、配信されているものというのは、リアルタイムで配信されているものというのはあまり多いわけではなく、ほとんどが結局2,3年前から10年ぐらい前の作品です。特に映画は、10年とか20年くらい前の作品でも、お父さん、お母さんたちの世代にとっては、昔の作品かもしれないですが、私たちの世代にとっては、すごく新しい映画やドラマとして受け入れることができます。ネット時代になるから、新しいものを次々と時代に合わせてつくっていくということも必要かもしれないですが、昔のNHKにはいいドラマや、番組があるので、大切にしていただいて、どんどん提供していただける場所ができたらいいなと思っています。

【会場参加者】
 最終的にどのような空間をつくり出したいのかという観点では、聴覚とか視覚だけではなく、味覚や臭覚の技術も最近すごくなっているので、そういうところもチャレンジしてほしいと思います。

【会場参加者】
 やはり移動している際に、テレビチューナーではなくて、普通のチューナーを搭載していないスマートフォンでも見られるような形態があればいいです。災害時だけでなくて、ドラマ番組なども見られる形態がもしできてくるのであれば、よりNHKの放送を見やすくなるのかなと考えています。それをやっぱりフルハイビジョンで見られればなと思っています。

【会場参加者】
 6月にNHK技研の展示会に行った時に感じたのですが、技術が進むにつれて、便利になるところはたくさんあるのですが、テレビの前に座って見るということから離れてきている感じがします。例えばSNSでリアルタイムにニュースが流れるなどは便利だと思います。3D画面で見るのも確かに面白いとは思うのですが、今までの時代とはかけ離れてしまって、そういうところからテレビ離れにつながっているのではないのかと思います。

【会場参加者】
 今から10年後だと、もう少しウェアラブル端末は発達していて、曲がるディスプレイや、今よりも持ち運びのしやすいディスプレイというのが生まれてくると思います。テレビの前に座るという、テレビの根本的な楽しみ方もあると思うのですけど、それに対して質的には少し落ちるかもしれないけども、常に持ち歩くことで、情報をリアルタイムで視聴したり、自分の欲しい情報が手に入るという環境がこの5年から10年で出てくると思います。

【会場参加者】
 感じるのは、日本のメディアのプレゼンスというものが海外だと圧倒的に低いということです。言語の問題が一番あると思うのですが、せっかくいいドキュメンタリーを制作したり、調査報道をおこなっていたりしても、それが伝わっていないと感じます。2020年にオリンピックもあることですし、今後もっと国際共同制作などを通して、日本のドキュメンタリーというものを海外に発信したり、海外のジャーナリストやドキュメンタリストと一緒に制作したりすることで、さまざまな価値観を織り交ぜながら発信していくということが必要ではないかと思います。

(司会)
 この10年先、日本の地方がどうなっているのかというのも考えながら、10年後、それぐらいの時期に、NHKが地域から発信するとか、各地方をカバーするということにはどんなことが期待されるでしょうか。

【会場参加者】
 私は北海道札幌市出身ですが、日本という国家の視点で見ると、結局、東京一極集中があまりにも激しいと思っています。災害が多いのに一極集中は本当にまずいなと思いますし、例えば東京は多分発展していくと思うのですけど、仮に東京だけが発展した日本が残ったとして、それは結局、劣化版のシンガポールや劣化版の香港でしかないと思っています。
 日本のアニメとか、世界から評価される文化というものは、結局、日本の多様な地域、広い国土の、南北に広い国土の文化から生まれてくるものだと思っています。地方の文化や経済を維持していかなければなりません。まずそれを、スムーズに情報を交換する、交換するというか、地方で見たものを、全国に流して、その相互の地方ごとの理解、都市と地方の理解を深めて、円滑な情報交換をするという意味で、NHKが大きな役割があるのではないかと思います。

【会場参加者】
 日本人は自分たちの良さに気づかないし、地方の人も自分たちの良さに気づかないところが多いと思います。大自然があるのに、わざわざ箱ものを作ってしまったりします。一方で、そういう良さを外国人だとすぐに気づいて、インバウンドが増えているということがあったりします。NHKが海外にどんどん日本の良さを伝えていけばいいと思います。

【会場参加者】
 情報として、地方の良さや、地方が今どういう状況なのかというのを、東京の人とか都市の人に発信していかないといけません。僕が北海道から東京に出てきて思ったのは、みんな知らないというか、僕が育ってきた環境が異世界のように感じてしまう、知らないまま、ずっと東京に住み続けちゃうというのももったいないことだと思うので、選択肢を与えるという意味でも、一極化が進む中で、地方の情報を発信してほしいなというふうに思います。

(村田委員)
 人口が減るということは、当然、受信料収入も減っていくわけです。他方で、今までお話が出ているように、このテレビのコンテンツを見るような機会、媒体はどんどん多様化していって、必ずしもテレビの前で、家で、家族でみんなで見るというのでなくなっている。ネット配信みたいなものになった時に、何人かの方がサービスに応じた受信料とか、あるいはオンデマンドの無料化とかいうことを言ってくださっていますが、受信料についての何かご意見はありますか。

【会場参加者】
 僕は1人暮らしをしていて、受信料は支払っています。「丁寧な説明」と書いたのですが、放送法についてなど一般の人は知らない人も多いと思います。そのようなことを丁寧に説明しないと、NHKと支払いたくない人たちの溝というのは埋まっていかないと思いました。

【会場参加者】
 「サービスに応じた受信料」。選べるサービスとそのサービスに応じた料金体系という整備があったほうが親しみやすいのではないかと思いました。

【会場参加者】
 僕は全く逆で、受信料はなくして、税金で全部まかなえばいいのではと思います。今の放送法では無理だというのもわかっていて、あえて言っていますけど、方向としては、そっちのほうがシンプルです。むだ使いしないような仕組みを踏まえてあれば、それで十分なんじゃないかという気がします。

【会場参加者】
 私は1人暮らしをしていて、友人も1人暮らしが多いですが、取り立ての方が結構問題だなと思っています。私は親にはあまり出るなと言われているのですが、NHKらしい人が午前中だけで3回ぐらい来たり、友人も結構しつこく来られて、そもそもテレビを置くのをやめたという意見もあったりしました。1人暮らしで親元を離れていると、別々で料金を支払うというのは金銭的にも問題で、先ほどの経営委員からの話で、奨学金を支払っている方とか、家庭的に経済困難の方が免除というお話がありましたが、私の家は奨学金はないのですが、やっぱり私立で奨学金がないとなると、それだけで結構いっぱいいっぱいで、1人暮らしをしていること自体、経済的に大変なので、1人暮らししている学生には受信料を免除して、親の支払いだけでまかなえたらいいんじゃないかと思います。

【会場参加者】
 税金という意見がありましたが、自分は税金では絶対やってはいけないと思っています。NHKがなぜ公共放送なのかというところで、やっぱり民間の経済的な圧力からも政治的な圧力からもフリーで、強くあらなければいけないと思っていて、逆に受信料じゃなくても、寄附とか、あとはNHK独自の投資とか、あとはコンテンツをもっと売っていけるようにするということをしてでも、やっぱり政府とは一定の距離を保たないといけないのではないかと思っています。

【会場参加者】
 SNSっていうのはすごいです。速報性に関してはとても優れている一方、問題点としてはデマも多々あります。信じるに足る情報なのかどうかという見極めは重要ですけど、それを引いてあまりあるメリットというのがあると思います。

(村田委員)
 理系の方もいらっしゃったし、それから、文学部の新聞学科という方がいらっしゃって、メディアのことを勉強してみてどうですか。学生の皆さんで、将来NHKで働いてみたいと思う関心をお持ちでしょうか。NHKに限らず、例えばテレビとか、あるいは新聞を含めて、メディア業界みたいなのに興味があるという方はいらっしゃいますか。

【会場参加者】
 インターンでCM制作会社にいます。私は映像制作関係に興味があります。

(村田委員)
 最後に鈴木理事に一言いただいて、ディスカッションを終わりたいと思います。

(鈴木理事)
 きょうは本当にありがとうございました。私はディレクターで30何年前にNHKに入って、もともと私も実は理系で、科学番組をつくりたくて受けたのですが、なぜか報道局に配属をされていかにも硬い番組をずっとつくってきました。国際報道も担当していたのですが、本当に皆さんからいただいたご意見はもっともで、国際ニュースは視聴者にあまり関心を示してもらえないのです。NHKは視聴率を目指しちゃいけないというか、目指す必要がないということはわかっているのですけれども、どうしても引きずられてしまうこともありました。本当にそういうご意見を忌憚なく日々いただかないと、なかなか変わっていけないので、ぜひ応援、叱咤激励を続けていただきたいと思います。受信料については、今後、ネット時代にどうするかというのは議論していきます。ぜひよろしくお願いいたします。

 

 

≪各グループディスカッションの報告≫

 

(加藤アナウンサー)
 それぞれのグループで、どのような内容が話し合われ、どのようなご意見や質問が出たのか、グループの代表の方にご報告をお願いしたいと思います。

 

【Aグループ代表者】
 Aグループでは、主にネットとテレビの違いについて、考えてみました。
 ネットは初めに真偽が不明という点で、リアルタイム性であったり、信頼性であったり、そういった部分で放送とは違うことが挙げられていました。
 放送は、主に公共放送としては客観的な視点が大事ということで、それをネット時代にどう生かすかという話が出ました。また、公共メディアとしては、どんな状況でも情報を発信することが必要ということで、ネット時代においてもそういった点は引き続き行っていただければと思います。
 ネットとテレビの違いについては、テレビを1人で見ないという方が多く、主に家族で見たり、共有したりすることが大事な点だという話が出ました。
 またテレビを見ながらツイッターをするといういい例も出て、共感性が重視されるのがネットならではのところなのではないかと思いました。
 話の流れで出てきた部分としては、有料か無料かの是非についてです。今、受信料を取って有料で見ているものをネットのときにどうするか。今、NHKオンデマンドは有料で行っており、無料であることが大事、無料にしたほうがいいという意見は多く出ました。
 最後に、テレビ離れについても話しました。大人になるにつれ、テレビを見る機会がなくなってきたということですが、いいコンテンツがあれば、ネットフリックスなどのように有料コンテンツであっても見るので、コンテンツ次第では今後もテレビは存続していくのではないかということでした。

 

【Bグループ代表者】
 私たちのグループで最初に出た意見としては、やはりネット時代ということで、動画をスマホで見ることが多いという意見でした。
 その中で、委員の方もご関心があったユーチューブ、ユーチューブで何を見るかという話し合いがありまして、ハイライトのまとめ動画を見ることが多いという意見が多く出ました。例えば、サッカーの試合のハイライトやオリンピックのハイライトなどです。
 そのほかにも、音楽を聞いたり、一番多かったのはユーチューバーの動画を見る、ラジオのように聞いたりする人もいるということでした。
 マイナーな動画が好きな人もいました。例えば、生物の捕食シーンなどを見るのが好きだという人にも応えられるのがユーチューブで、そういったものもNHKのコンテンツで応用できるのではないかという意見も出ました。また、笑いを重視する傾向が強いのがユーチューブで、それも参考に取り入れてみたらどうかという意見もありました。
 また、NHKオンラインのホームページに行きづらいので、ユーチューブなどから気軽に入れるように工夫したらどうかという意見や、受信料の公平負担についても話が出ました。「おかあさんといっしょ」などは親の世代にはもちろん必要かもしれないけど、自分たち若者世代に果たして本当に見合った番組があるのかどうか、NHKのコンテンツが腑に落ちてない人もいるのではないかという意見も出ました。
 また、災害時などに、NHKが正しい情報を流すメディアとして重要であり、保険のような存在でもあるという意見も出ました。

 

【Cグループ代表者】
 Cグループでは、ネット時代の公共メディア、“202Xの公共メディア”に何を求めるかということで、大きく3つの観点がありました。
 1つ目が国際化、2つ目が受信料について、あとは技術についての3点です。
 まず、国際化という点では、ネットを通じてNHKが日本の代表としてどんどん国際化するべきだという話が出ました。世界標準に日本の放送やネットの状況が追いついていないということで、海外経験のある方からはその世界標準に追いついてほしいという意見がありました。
 これから日本の人口が減少し、地方も過疎化が進むということで、地方の魅力を発信するという点でも、日本の魅力を海外に発信することによって、日本の人たちにその良さを気づいてもらえるんじゃないかという意見が出て、それをできる公共メディアであるべきだという話が出ました。
 受信料については、ひとり暮らしをしている方からは、取り立てのような怖い体験など、受信料に関してネガティブなイメージがあるという意見が多くあったので、インターネットのサービスを進めていく上でも、受信料制度の理解を深めるための丁寧な説明が、これまで以上に求められるのではないかという話が出ました。また、一部では、サービスに応じた受信料の制度をつくるべきではないかという意見も出ました。
 技術については、これからはネットに進出することで移動中に気軽に見られたり、アクセスできる端末が増える、また8Kなどで臨場感を味わう体験ができるなど、便利でいい面もたくさんあるけれども、最終的にはテレビの前に人が座って見てもらう、そんな放送ができたらやっぱりいいんじゃないかなという意見がありました。

 

(加藤アナウンサー)
 ありがとうございました。最後に、経営委員からの感想です。

(村田委員)
 きょうは長時間にわたり、ありがとうございました。
 私は経営委員に就任したのが今年3月でしたので、このようなミーティングに初めて出席をさせていただきました。
 学生の皆さんからさまざまなご意見を伺うことができ、私自身も大変勉強になりました。これを契機に引き続きNHKや、日本のメディア、メディアを取り巻く社会の変化に、若い方々に関心を持っていただきたいと思います。
 きょうのテーマは“202X”でしたので、2年から11年ぐらいの先の話なんですけれども、恐らくここにいらっしゃるほとんどの方々は11年どころか、あと50年も70年も80年もこれから人生を歩んでいかれるので、その間にNHKやメディアが、さらにどう変わっていくのかというのを、今後ともぜひ想像たくましく考えていただければと思います。ありがとうございました。

(井伊委員)
 ふだんから皆さんの年代ぐらいの学生さんたちと接しているので、そんなに珍しいことではないのですけれども、初めて聞くバーチャルユーチューバーの話など、いろんな新しい言葉や概念を教えてもらいました。学生の皆さんと話をすると必ず学ぶことがあります。きょうはとても参考になりました。
 今、世界的にオンラインの講義がはやっているのですが、やはり面と向かってみんなで議論するという良さがとてもあるなと思いました。公共メディアをどのように生かして守っていくかというのは、将来を担う皆さんにかかっていると思いますので、今回この会に出て、将来、社会のために何か役に立つ仕事をしたいと思う方がいたら、ぜひNHKも将来の働き場の選択肢の一つとして考えていただければと思います。ありがとうございました。

(森下委員長職務代行者)
 きょうは皆さんと、短い時間でしたが話ができました。
 その中で私は非常に感じたのは、皆さんはもう生まれたときからもうネットのあった時代に生きていて、そういう方の感覚というのは、もう当たり前のようにスマートフォンがベースだということです。
 やはりこれからの公共メディアを考えるときには、スマートフォンやネットというものからテレビを見てかないといけないなと改めて思いました。
 これからずっと視聴者の皆さんに見ていただけるためには、スマホとどうやってうまく連動できるか、インターネットとうまく連動できるかということが非常に大事だということがひとつです。
 ネットの情報の中からは、たくさんいろんな意見が出てきます。何が正しいかわからない。だから、情報の正確性、信頼性ということが非常に大事です。そういう意味では、テレビの大事さ、テレビがいかに情報をきちんと伝えるか。それによって、視聴者の人がネットで流れる情報に対して、テレビの情報と突き合わせて正確な情報を得ることができます。
 公共メディアとしてテレビのあり方というのが、きょうのお話の中でも出てきたなと思っておりまして、我々もこれから考える中で、それをベースにしていかないといけないと思った次第です。
 もう一つは、今のネットの中では無料が普通なので、これをどうするかです。この料金の話というのは、非常にいろいろ考えないといけない部分がたくさんありますので、経営委員会でもこれから議論をしていかないといけないという分野であります。
 きょうは皆さんの非常にアグレッシブで前向きなご意見を聞かせていただいて、私としても勉強になりました。202X、10年先というのはどんな時代になるかというのはなかなか想像がつかないのです。皆さん、今スマートフォンを当たり前のように使っていますけど、スマートフォンが実際出てきたのは2009年。実際に爆発的に売れるようになったのは2010年ぐらいですから、まだ10年もたっていないのです。その前はいわゆるガラケー、iモードというのはありましたが、これから10年先というのはまた変わってしまうという時代です。公共放送が公共メディアにどう変わっていくかということを日ごろから考えていますが、きょう皆さんからいただいたいろんな意見を参考にして、経営委員会でも公共メディアとしてのNHKのあり方について議論していきたいと思っております。
 ありがとうございました。

(加藤アナウンサー)
 繰り返しになりますが、本当にきょうは貴重なご意見を伺いました。
 心よりお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 これで、学生ミーティングを終了させていただきます。

 

 

<「“202Xの公共メディア”学生ミーティング@NHK技研〜視聴者のみなさまと語る会〜」>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性
30 13

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代
4 38 0 1

質問3:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 普通 不満 大変不満
11 21 9 0 0

質問4:今回のイベントをどのようにお知りになりましたか(複数回答)

HP(NHK) 放送(テレビ) ラジオ メール・Twitter 大学からの案内 友人・知人から その他
0 0 0 0 27 4 12

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 4K・8Kなど夢のある技術やネット進出など、これからのNHKが大きく変わり、世の中も大きく変わる時代を生きるというのがとても楽しみだ。
  • 受信料は高く、不公平である。支払っていない人もいる。支払っていてもあまり見ない人もいる。NHKから受ける恩恵に応じて利用料は決まるべき。
  • インターネットの時代だからこそ、新しい技術が可能になり、注目されているが、テレビで番組作りをしたいと考えている学生としては、技術よりもいかに視聴者に見てもらえるか、内容で勝負してほしいと思った。
  • 受信料について、「料金はなるべくかからない方がいい」という考えしかなかったが、話を聞き、料金をどこから集めるのかが問題だと気づいた。
  • どんなに良いコンテンツをつくっても、人にリーチしなければ意味がないと思う。どのようにリーチさせるかが課題だと思う。

 

放送・インターネットサービスについて

  • 4K・8Kスーパーハイビジョンの臨場感が特に印象的だった。風の音や動物の走る足音、ライブの振動までリアルに感じることができた。スポーツ観戦の時に皆で観ることができたら盛り上がるだろうと感じた。
  • NHKのSNSを活用したインタラクティブなコミュニケーションは素晴らしい。健全で民主的なインターネットの言論文化をつくっていってほしい。
  • ラジオは災害時に必要なので、大事に続けて欲しい。
  • 技術展示では、NHKの未来を感じた。

 

運営・その他について

  • 同世代の人たちがどんなことを考えてテレビやメディアを見ているのかを知って新鮮だった。他大学の人とディスカッションできてよかった。
  • NHKが本当に視聴者や学生の意見を求めていると感じた。
  • 大学でメディアのあるべき姿や課題を議論することがあるが、今回のように理系の学生の知見に触れる機会は少なく、新しい価値観に出会った。
  • グループディスカッションの雰囲気が堅く、議論が盛り上がらなかった。
  • 経営委員がとても気さくに議論をまとめていて、楽しく学ぶことができた。
  • グループディスカッションをもう少し充実したものにしてほしかった。意見を言えていない人や長く話す人もいた。
  • アナウンサーの進行がスムーズで良かった。
  • NHKに対して自分が思っていた意見の他にもさまざまな意見が存在していることがわかった。