NHK INFORMATION
経営委員会議事録

  第925回



 

平成14年5月20日(月)公表


日本放送協会第925回経営委員会議事録
(平成14年4月9日開催分)


第925回 経 営 委 員 会 議 事 録



<会 議 の 名 称>
 第925回経営委員会


<会 議 日 時>
 平成14年4月9日(火)午後3時から午後5時まで


<出  席  者>
  〔委  員〕
  櫻 井 孝 頴   大 下 龍 介
    宮 崎    満   一 力 徳 子   北 島 哲 夫
    中 村 桂 子   堀 部 政 男   小 林   緑
    佐々木 涼 子        
 (◎委員長 ○委員長職務代行者)

  〔監  事〕
  中 里 監 事 梶 谷 監 事 内 川 監 事

  〔役  員〕
  海老沢 会 長    
  菅 野 副会長 中 村 技師長 山 村 理 事
  笠 井 理 事    


< 場   所 >
 放送センター  21階役員会議室


< 議   事 >
 須田委員長から、本日の付議事項および日程について説明があった。
 続いて、第923回経営委員会(平成14年3月12日開催)議事録を承認し、所要の手続きを経て平成14年4月15日に公表することとした。
 これに続き、付議事項の審議に入った。

付議事項
1 報告事項
 (1) 平成14年度業務体制の変更について
 (2) テレビジョン・ラジオ・FM中継放送局の開局・廃局について
 (3) 大阪新放送会館の土地交換差金の受け入れについて
 (4) 平成14年春季交渉結果について

2 その他
 (1) 国会関係について
 (2) 新年度を迎えて
 (3) 放送文化研究所シンポジウムでの特別講演について
 (4) BSデジタルふれあい広場について
 (5) 「アフガニスタン北部地震救援金募集」の実施について

議事経過
1 報告事項
 (1) 平成14年度業務体制の変更について
 山村理事から、概略以下のような説明があった。
 平成14年度は、デジタル時代に対応するため「番組の開発・制作」「権利の確保・展開」を進めること、業務運営についての透明性・説明性をいっそう高めることの2点をポイントに、業務体制の変更を行う。
 具体的には次の通りである。BSデジタル放送にふさわしい大型特集番組の開発に加え、地上デジタル放送を見据えた新機軸の定時番組開発機能を整備するため、番組制作局の業務体制を整備する。BSデジタル普及のための戦略的ハイビジョンソフト開発・制作機能を強化するとともに、編成や要員・予算等の計画業務をより統一的に実施するため、衛星ハイビジョン局の業務体制を整備する。デジタル時代に対応し、番組・素材の保存ならびに権利の確保と展開を一元的に推進するため、マルチメディア局の業務体制を整備する。また、放送総局の業務委託管理機能の強化と本体トータルコストの推進を図るため、放送総局に業務改革推進室を設置する。
 これら業務体制の変更は、管理職定期異動の発令にあわせて実施する。
 また、業務体制とは異なるが、関連団体の事業活動を審査するため、外部の公認会計士や弁護士を入れた、関連団体事業活動審査委員会(仮称)を設置する。設置日は7月1日を予定している。
 これに関する主な質疑は、次の通りである。
・ 放送総局に業務改革推進室をつくる理由は何か。
 これに対する関係役員の主な発言は、次の通りである。
・ 業務改革は全協会的な経営課題として推進しているが、とりわけ放送総局については、明確な権限や責任体制のもとで、業務委託管理機能の強化や、次の時代を見据えた新しい業務管理手法の開発を行う必要があり、あえて業務改革推進室を設けた。

 (2) テレビジョン・ラジオ・FM中継放送局の開局・廃局について
 中村技師長から、概略以下のような説明があった。
 第906回経営委員会(平成13年5月29日開催)で設置計画が議決され、その計画に基づいて建設を取り進めていた、千葉県の千葉テレビジョン中継放送局が平成14年3月13日に開局した。これにより、160,000世帯の外国電波混信による受信障害が改善される。また、第906回経営委員会および第884回経営委員会(平成12年5月23日開催)で設置計画が議決され、その計画に基づいて建設を取り進めていた、熊本県の南阿蘇ラジオ中継放送局が平成14年3月25日に、高知県の大豊ラジオ中継放送局が平成14年3月28日に、徳島県の山城ラジオ中継放送局が平成14年3月29日に開局した。これにより、それぞれ、5,100世帯、5,830世帯、2,000世帯の夜間における外国電波の混信が改善される。さらに、第906回経営委員会で設置計画が議決され、その計画に基づいて建設を取り進めていた、福島県の西金山FM中継放送局が平成13年11月22日に、群馬県の三波川FM中継放送局が平成14年3月23日に開局した。これにより、それぞれ、500世帯、1,690世帯の地形の影響による受信状況が改善される。
 第906回経営委員会および第922回経営委員会(平成14年2月26日開催)で、CATVへの全戸加入により受信者が皆無となったことに伴い廃局が議決されたテレビジョン中継局である、青森県の六ヶ所尾駮、新潟県の羽茂、奈良県の吉野南大野、岐阜県の上石津、埼玉県の三田川、埼玉県の小鹿野宮沢の6局が平成13年9月30日に、和歌山県の熊野川日足が平成14年3月15日に、北海道の白滝が平成14年3月27日に、新潟県の青海外波、栃木県の黒磯寺子、栃木県の矢板平野の3局が平成14年3月29日に、福井県の高浜高野、長野県の八重河内、静岡県の菊川倉沢、三重県の熊野大又北の4局が平成14年3月31日に、それぞれ廃局された。
 これにより、平成14年4月1日現在の放送局数は、総合テレビが3,433局、教育テレビが3,356局、ラジオ第1が217局、ラジオ第2が140局、FMが522局となっている。

 (3) 大阪新放送会館の土地交換差金の受け入れについて
 笠井理事から、概略以下のような説明があった。
 大阪新放送会館の用地は、平成9年11月20日に締結した大阪市との交換契約に基づき交換取得したが、それに伴い差金を生じたので受け入れを行った。取得した土地は、大阪市中央区大手前4丁目6番35の大阪市旧中央体育館跡地12,999.93uである。この土地は大阪市との共有であり、NHKの持分はその66.77%で、NHK の取得物件価格は117億22百万円であった。交換で提供した土地は、大阪市中央区馬場町5番3ほかの旧NHK大阪放送会館敷地13,659.30uであり、NHK提供物件価格は155億17百万円であった。これにより、37億95百万円を平成14年3月29日に交換差金として受け入れた。

 (4) 平成14年春季交渉結果について
 山村理事から、4月2日にベアゼロ(定昇のみ実施)で合意し、春季交渉を終了したとの説明があった。

2 その他

 海老沢会長から以下の項目について概要の説明があった。

 (1) 国会関係について
 NHKの「平成14年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、衆議院で承認されたのに続き、3月28日(木)の参議院総務委員会で審議が行われ、全会一致で承認された。あわせて各党共同提案による附帯決議が全会一致で付された。
 委員会では、17名の委員から、デジタル時代の公共放送の使命・役割、地上デジタル放送への取り組み、インターネットへの対応、障害者・高齢者向けサービスの充実、放送をめぐる課題等について質問や意見があった。
 このあと、「平成14年度収支予算、事業計画及び資金計画」は、3月29日(金)に開かれた参議院本会議でも全会一致で承認された。

 (2) 新年度を迎えて
 4月1日に平成14年度の職員採用発令式を行い、私から激励のあいさつをした。約1か月にわたる研修のあと、放送局等に配属することになる。
 年度が替わって、新番組がスタートした。朝の連続ドラマ「さくら」は、第1週の平均視聴率が20.7%で、「ほんまもん」や「ちゅらさん」と同程度の見られ方をしている。月曜ドラマの「私の青空2002」は好評で、第1回目が12.8%と、月曜ドラマシリーズの中で最高の視聴率であった。また、金曜時代劇「お美也」も良く見られている。これからも、内容の充実に努めていく。

 (3) 放送文化研究所シンポジウムでの特別講演について
 4月3日(水)に、放送文化研究所の春のシンポジウムをNHKホールで開催した。「デジタル革命の行方」と題し、民放各社のデジタル放送を推進している責任者を中心にしたシンポジウムであったが、それに先立ち、私がデジタル時代を迎えたNHKの取り組みについて特別講演を行った。その中で、10年で地上波デジタル放送を全国くまなく普及させる手法として、通信関係で技術開発を行っている「光波長多重」の可能性を検討してはどうかという提案を行った。これは、1本の光ファイバーに放送波と通信波を光波長多重して送る技術であり、ハイビジョンで150チャンネルの放送と高速大容量の通信をそれぞれ同時に独立して送ることができるものである。光ファイバー網の構築については、国、地方自治体、放送事業者、通信事業者が一緒に建設するとか、第3セクター的なところが建設して放送事業者がそれを借りるとか、第3セクター的なところに放送事業者が出資するとか、さまざまな方法があると思うが、これによって電波が届きにくい山間地域や過疎地域でも情報を格差なく入手できるようになると考えている。現在、この「光波長多重」技術を使って放送と通信の両方を送る実験が、北海道の西興部村や東京都心のマンションで行われている。これらの実験や新しい技術の開発に注目しながら、さらに勉強していきたい。
 これに関する主な質疑は、次の通りである。
・ 「光波長多重」では、放送と通信の機能、役割はどうなるのか。
 これに対する関係役員の主な発言は、次の通りである。
・ 放送の基本は無線である。今でも過疎地等では共聴施設、都市部等ではCATVという有線で放送しているところもあるが、これは通信ではなくて、放送の補完として位置づけている。同様に、光ファイバーという新しい伝送路ができれば、それを放送の補完として使うという意味合いである。放送と通信はあくまでも機能が違うので、それぞれの特色を生かしながら進めていくべきである。

 (4) BSデジタルふれあい広場について
 BSデジタル放送のいっそうの普及促進を図るため、5月3日(金・祝)から6日(月・休)までの4日間、放送センターを中心に、「BSデジタルふれあい広場」を開催する。4日間で10万人の入場者を見込んでいる。

 (5) 「アフガニスタン北部地震救援金募集」の実施について
 3月25日にアフガニスタン北部で地震が発生し、大きな被害を引き起こしている。NHKでは、NHK厚生文化事業団、日本赤十字社とともに、3月28日(木)から4月26日(金)まで、救援金の募集を行っている。全国のNHK各放送局に窓口を設けている。

 なお、これに関連して委員長から、経営委員1人あたり5,000円を救援金として拠出してはどうかとの提起があり、全員が賛同して救援金を拠出することとした。

 以上で付議事項を終了した。

 この後引き続き、技術局の榎並技術主幹から、アフガニスタンテレビ復興支援のための調査報告を聴取した。さらに、NHKのインターネットとデータ放送について、マルチメディア局の川上局長と和田部長から説明を聴取した。


 上記の通り確認する。

平成14年5月14日  
   櫻 井 孝 頴